• チェコの新規原子力発電所の供給に韓国水力原子力を選定
  • 中国・徐大堡2号機の建設開始
  • トルコ、ロシアを第2原子力発電所建設の有力候補と見る
  • ロシアのロストフ原子力発電所、トラブルで停止していた1号機を運転再開
  • MITの経済学者が国家送電戦略の必要性を訴える
  • 核融合への資金と雇用が急速に増加していると、業界主力レポートが報告
  • スーパーコンピューター「ビタールート」が先進原子炉研究を支援
  • 大学がサスカチュワン州から原子力研究資金を獲得
  • IAEA:原子力産業は今こそ人材育成を
  • パーミアン盆地での使用済燃料中間貯蔵施設を認めるよう連邦最高裁に要請
  • 米国DOE、Mo-99生産のためにシャインに3,200万ドルを供与
     

チェコの新規原子力発電所の供給に韓国水力原子力を選定

韓国水力原子力発電(KHNP)は、チェコ政府による少なくとも2基の新規原子力発電所建設の入札で勝利し、フランスのEDFの入札に対して優先権を得た。新規原子力発電所の入札は当初、ドコバニの新設1ユニットに対する拘束力のある入札並びにドコバニへの更なる1ユニットとテメリンの2ユニットの計3ユニットまでを含む拘束力のない入札の2種だったが、2月、チェコ政府は、ユニットあたりのコストが節約できるとして、入札を最大4ユニットまでの拘束力のあるものに変更すると発表していた。第3の入札者であるウェスティングハウスは、このプロセスに進むのを控えた。EDFはEPR1200原子炉を提案し、KHNPはAPR1000を提案したが、両社とも優先入札者に選ばれた場合はチェコの供給業者と現地で作業を行うという合意を強調した。チェコ共和国のペトル・フィアラ首相は記者会見でこの決定を発表し、Facebookに「専門家の評価によると、価格を含む評価基準のほとんどでより良い条件を提示した韓国企業KHNPとの契約交渉が開始される」というメッセージを投稿した。

ドコバニの4ユニットは1980年代に稼働を開始した(画像:ČEZ)

 

中国・徐大堡2号機の建設開始

中国遼寧省徐大堡原子力発電所2号機の1次系建屋にファースト・コンクリートが打設され、同発電所の建設が正式に開始された。徐大堡原子力発電所1/2号機の建設は、2023/7/31に中国国務院によって承認された。11/6、生態環境部 国家核安全局(NNSA)が徐大堡1/2号機の建設許可を発行。両号機は、ウェスティングハウスAP1000の中国版である電気出力125万kWの CAP1000型炉を採用する。

2号機にファースト・コンクリートが打設される(画像:CNNC)

 

トルコ、ロシアを第2原子力発電所建設の有力候補と見る

トルコのアルパルスラン・バイラクタル・エネルギー天然資源大臣は、ロシアのロスアトムがトルコのシノップ原子力発電所建設の最有力候補であると語った。韓国もまた、トルコで2番目の原子力発電所となるシノップ原発の建設について協議している。

(画像:ブルームバーグ)

 

ロシアのロストフ原子力発電所、トラブルで停止していた1号機を運転再開

ロシアのロストフ原子力発電所(NPP)は7/17、機器の故障により停止していた1号機の運転を再開した。7/17 05: 45時点で、同ユニットは100万キロワットの定格全出力で運転されているとロスエネルゴアトムは発表。前日の7/16には、ロストフ原子力発電所の発電設備の運転に不具合が発生したため、ロシア連邦南部でエネルギー消費を制限するための暫定スケジュールが発表された。同発電所の広報サービスによると、発電機保護装置の作動により1号機が停止されたが、残りは正常に運転している。その後、原子力発電所の広報サービスは、1号機の停止後もロストフ原子力発電所の安全な運転に支障はなかったと述べた。

 

MITの経済学者が国家送電戦略の必要性を訴える

マサチューセッツ工科大学(MIT)の経済学者と研究者らは、2050年までに脱炭素化を達成し、再生可能エネルギーに全面的に依存するという目標を達成するためには、国家送電戦略の策定が不可欠であると述べている。同グループは、連邦エネルギー規制委員会(FERC)の「オーダー2023」で具体化された相互接続改革では、この課題に対応するには不十分だと主張している。

マサチューセッツ工科大学の研究者らは、2024/7/4に発表された論文の中で、最近の発電機相互接続改革措置は2050年までに電力網を脱炭素化するには不十分である可能性が高いと述べた。画像:Chimperil59 via Getty Images

 

核融合への資金と雇用が急速に増加していると、業界主力レポートが報告

民間の核融合企業を代表する核融合産業協会(FIA)の2024年版世界核融合産業年次報告書によると、過去1年間に核融合産業に9億ドル以上が投資され、1,000人以上の雇用が創出された。FIAが毎年作成しているこの報告書の第4版によると、調査対象となった45社の合計は、業界全体が近年71億ドル以上の投資を集めていることを示唆している。前回の報告書以降に企業が報告した9億ドルの新規資金調達には、公的資金4億2,600万ドルが含まれており、前年の公的資金額から57%増加している。2024年の報告書に含まれる注目すべき投資は、エクシマー(Xcimer)の1億ドル、シャインの9,000万ドル、ヘリオンの6,500万ドルである。

レポート表紙の一部(画像:FIA)

関連報道:

https://www.bnnbloomberg.ca/investing/2024/07/16/fusion-received-900-million-in-funding-to-tame-power-of-stars/ 

 

スーパーコンピューター「ビタールート」が先進原子炉研究を支援

アイダホ国立研究所(INL)は、先進原子炉の研究の強化に向け「ビタールート」と名付けられたスーパーコンピューターを導入した。「ビタールート」は43,008個のプロセッシングコアと広帯域幅メモリを備え、高度なモデリングとシミュレーションをサポートし、原子炉設計の開発と許認可取得を支援する。

スーパーコンピューター「ビタールート」のインストール プロセス(写真:INL)

 

大学がサスカチュワン州から原子力研究資金を獲得

カナダ・サスカチュワン州にあるレジャイナ大学の3件の原子力研究プロジェクトが、政府機関である「イノベーション・サスカチュワン」からイノベーション・サイエンス基金(ISF)を通じて総額58万カナダドル(6億6,000万円)の資金を獲得した。第1プロジェクト(20万カナダドル)では、小型モジュール炉(SMR)の燃料を保護するために使用される材料の錆や損傷を防ぐ方法を研究し、SMR技術の高度なトレーニング機会を提供。第2プロジェクト(83,109カナダドル)は、極限条件下での核物質の研究のためのシミュレーション実験装置をアップグレード。第3プロジェクト(30万カナダドル)は、世界で最も強力な顕微鏡の1つであるソレノイド型大強度装置(SoLID)の重要な部分であるヘビーガスチェレンコフ(HGC)検出器のコンポーネントの構築とテストに使用される。

(画像:レジャイナ大学)

 

IAEA:原子力産業は今こそ人材育成を

IAEA(国際原子力機関)は、人材育成に関する積極的かつ国際的な協力を呼びかけている。IAEAは、2033年までに労働人口の3分の1が退職し、原子力発電容量が増加することから、2050年までに400万人以上の専門家が必要になると予測している。

IAEA事務局長ラファエル・マリアノ・グロッシ氏は、7/1~5日までオーストリアのウィーンで開催された原子力知識管理と人材育成に関する国際会議で開会演説を行った。(写真:ディーン・カルマ/(IAEA))

 

パーミアン盆地での使用済燃料中間貯蔵施設を認めるよう連邦最高裁に要請

米国原子力エネルギー協会(NEI)は、パーミアン盆地における使用済燃料の地上中間貯蔵施設を差し止めた上訴審判決を覆すよう、連邦最高裁判所に要請するためのアミカスブリーフ(第三者意見)を提出した。NEIによれば、この施設のNRC(原子力規制委員会)の許認可を阻止した判決は、「このまま放置されれば、原子力産業に広範囲に及ぶ不安定な結果をもたらすだろう」という。

 

米国DOE、Mo-99生産のためにシャインに3,200万ドルを供与

米国DOE(エネルギー省)の国家核安全保障局(NNSA)は、モリブデン99(Mo-99)の生産を支援するため、シャイン・テクノロジーズ社に3,200万ドルを交付した。この資金は、ウィスコンシン州ジェーンズビルにあるシャインの大規模医療用ラジオアイソトープ施設、クリサリス(Chrysalis)の建設に充てられる。同社によると、クリサリスが完成すれば、米国に持続可能で信頼性の高いMo-99の供給源を提供し、世界の需要の3分の1以上を満たすことになるという。同社によれば、この資金はNNSAとシャインとの既存の協力協定に追加されたもので、高濃縮ウランを使わずに、最も一般的に使用されている医療用ラジオアイソトープであるMo-99について、信頼性の高い米国産供給を確立するNNSAの取り組み(訳注:シャイン社は液体低濃縮ウランターゲットを用いた加速器ベースの生産)の一環である。シャイン社によると、Mo-99の商業生産は2027年初頭に予定されている。

ウィスコンシン州ジェーンズビルに建設中の革新的施設クリサリス(写真:シャイン・テクノロジーズ)