• ウズベキスタンのSMR発電所が建設準備を開始
  • ベルギー加速器駆動核変換システムMYRRHAの第1フェーズの工事開始
  • 米連邦議会議員、ボーグルをサクセス・ストーリーと見る
  • サザン・カンパニー CEO: 米国にはもっと多くの原子力発電が必要
  • 米DOE が低濃縮ウラン国内供給契約を模索
  • 核燃料を追跡する核鑑識用添加剤の研究
  • ランテウス、パイプライン拡大のためセラノスティックス ペアに 3,500 万ドルを投資
     

ウズベキスタンのSMR発電所が建設準備を開始

ウズベキスタンの6基の小型モジュール炉(SMR)原子力発電所のインフラ工事は、2024年5月に締結された建設契約の発効に関するプロトコルの署名を受け、秋に開始される予定である。調印式は、原子力庁(ウザトム)とロスアトムの代表者が計画中の原子力発電所サイトを訪問した際に行われた。訪問中、9月から土地測量と建設キャンプおよびインフラ施設の設置が開始される場所を視察した。

(画像:ウザトム)

 

ベルギー加速器駆動核変換システムMYRRHAの第1フェーズの工事開始

ベルギーのモルにあるミネルバ粒子加速器建設現場で起工式が行われ、加速器駆動研究炉MYRRHA建設3フェーズのうち第1フェーズが開始された。「ハイテク用途多目的ハイブリッド研究炉(MYRRHA:Multipurpose Hybrid Research Reactor for High-tech Applications)」は、陽子を加速してターゲットで生成した中性子を打ち込むことで低濃縮ウラン炉心での核分裂連鎖反応を維持する熱出力5万7,000kWの加速器駆動未臨界システム(ADS)。陽子加速器が600MeVの陽子ビームを液体鉛ビスマス (Pb-Bi) 核破砕ターゲットに打ち込み、Pb-Bi冷却された高速中性子未臨界炉心に接続される。

MYRRHAは3フェーズで建設される。フェーズ1では、粒子加速器と2つのターゲット施設で構成されるミネルバ施設が建設され、フェーズ 2 で粒子加速器を 600 MeV に拡張して基礎物理学ポートフォリオを拡大し、放射性同位体ビーム施設を増設する。フェーズ 3 で、原子炉本体が建設される。このプロジェクトは 2038 年にフル稼働の予定。老朽化した BR2研究炉を代替し、高レベル廃棄物中の長寿命放射性核種の転換の概念実証、医療用ラジオアイソトープの製造から、原子核物理、原子物理学、基本相互作用、固体物理学、核医学など基礎科学研究にも使用される。

ミネルバ施設の外観イメージ(画像:SCK-CEN)

 

米PPL 電力がケンタッキー州の原子力実現可能性調査を拡大

米国の電力会社PPLコーポレーションは、同社の子会社2社が、ケンタッキー州ゲント石炭火力発電所での原子力フィージビリティに関する以前の評価に基づき、同州での原子力に資する他の候補地とパートナーシップを模索すると発表した。ゲント石炭火力発電所は送電端電気出力合計191万9,000kWの 4 ユニットを段階的に廃止する予定。同サイトは、大量の電力を消費し、プロセス熱の潜在顧客となる複数の工業会社から5マイル(8㎞)圏内。PPL は、ゲント発電所サイトを含む周辺に約2300エーカー(約9.3㎢)の土地を所有している。DOEの 「原子力の技術革新を加速するゲートウェイ(GAIN)」イニシアチブの助成金による3月に発表された以前の調査では、ゲント サイトが小型モジュール炉 (SMR) プラントに適していることが判明している。

ゲント発電所サイト(画像:PPL)

 

 

米連邦議会議員、ボーグルをサクセス・ストーリーと見る

米国連邦議会における原子力発電への支持は高まっており、保守気候党員集会のメンバーは、最近ジョージア州に新たに運開したボーグル原子力発電所を視察し、原子力の重要性についてパネルディスカッションを行った。しかし、ボーグル原発の遅れとコスト超過、そして顧客に対する電気料金の不評な値上げが、他の電力会社がさらなる大型原子炉の建設を進めることを思いとどまらせるかもしれない。

ボーグル3・4号(写真:ジョージア・パワー)

 

サザン・カンパニー CEO: 米国にはもっと多くの原子力発電が必要

米国で30年以上ぶりに原子力発電所を新設した企業のトップが、米国には少なくとも10基の原子炉を1基ずつ持つ新しい原子力発電所か、それに相当するものが必要だと語った。サザン・カンパニーのクリス・ウォマックCEOは、「この多くは、人口増加だけでなく、人工知能や大規模な学習モデル、データセンターが消費する電力量に左右される」と語る。

2023/1/20、ボーグル原子力発電所3号機の原子炉と冷却塔

 

米DOE が低濃縮ウラン国内供給契約を模索

米国DOE(エネルギー省)は、国内の供給源から低濃縮ウラン(LEU)を調達するための提案依頼書(RFP)を発行した。このRFPは、ジョー・バイデン大統領の「米国への投資(Investing in America)」計画から 27 億ドルの資金を得て、国内の核燃料供給チェーンの強化を目指すもの。DOEは、クリーンエネルギー生産をサポートし、ロシアからの輸入への依存を断ち切るために、米国の原子炉を稼働している電力会社に LEU を販売する計画。DOE は、最長 10 年間の契約を 2 件以上締結する。

(画像:米国NRC)

 

核燃料を追跡する核鑑識用添加剤の研究

Journal of Nuclear Materials誌に掲載された研究によると、核燃料に核鑑識用添加剤を標識することで、規制当局が規制管理外で発見された核物質の出所を特定するのに役立つ可能性があるという。オークリッジ国立研究所(ORNL)の研究者らは、添加剤によって、元の物質の特性に、添加剤に明確に紐づけできる形での影響を与えられるかどうかを調べるため、添加剤を合成していると、主執筆者のタイラー・スパノ氏は語る。

ORNLの科学者タイラー・スパノと米国地質調査所の協力者によって発見されたウラン鉱物finchiteサンプルが、フーリエ赤外分光法で検査されている。写真提供:ジェフ・オットー/ORNL、DOE

日本語情報:

https://tiisys.com/blog/2024/06/27/post-139930/ 

 

ランテウス、パイプライン拡大のためセラノスティックス ペアに 3,500 万ドルを投資

ランテウス ホールディングス社は、ガストリン放出ペプチド受容体 (GRPR) を標的とするライフ・モレキュラー・イメージング社の高親和性GRPR拮抗剤製品RM2と、RM2を標識する セラノスティクス・アイソトープ・ペアの世界的な権利を取得した。ランテウスは、RM2とセラノスティクスを構成するアイソトープのペア、治療用のルテチウム177 (Lu-177) DOTA-RM2 および検査用のガリウム 68 (Ga-68) DOTA-RM2 の権利獲得によって、前立腺がんにおける同社のプレゼンスが強化され、が乳がんやその他のがんにまでパイプラインを拡張できると述べた。RM2 はベルン大学とバーゼル大学で発見され、当初はバイエルファーマ社が開発を担当した。ランテウス社によると、RM2 はその後ライフモレキュラー社にライセンス供与されていた。