• 中国・漳州原子力発電所1号機で格納容器試験が完了
  • メガ・エンジニアリング社がインドで原子炉2基を建設
  • カザフスタンで原子力に関する国民投票を2024年中に実施へ
  • デュアン・アーノルド原発の再稼働でデータセンターに電力供給の可能性
  • 大手ハイテク企業の創業者たちがAIの動力源として原子力に注目
  • アビリーン・クリスチャン大とナチュラ社、今秋の溶融塩研究炉建設許可に期待
  • フランスの溶融塩ラボが分野のリーダーを目指す
  • 3Dプリント下部ノズル付燃料集合体を試験
  • カザフスタン、モリブデン99/テクネチウム99mジェネレータをキルギスタンに送る
     

中国・漳州原子力発電所1号機で格納容器試験が完了

中国福建省漳州原子力発電所1号機で格納容器構造の健全性を確認する試験が完了した。同号機は、同サイト内で建設中の華龍一号(HPR1000)原子炉3基のうちの1基目。中国核工業集団 (CNNC) の子会社である中国核工業二三建設有限公司 (CNI23) は、試験は 6/20 に無事完了したと発表した。

漳州1号機と2号機の建設現場(画像:CNI23)

 

メガ・エンジニアリング社がインドで原子炉2基を建設

インド原子力発電公社(NPCIL)は、南部のカルナータカ州に70万キロワットの原子炉を2基建設する契約を、インフラ企業メガ・エンジニアリング&インフラストラクチャーズ(MEIL)と15億3000万ドルで結んだ。原子力は、二酸化炭素を排出しないエネルギー源による発電を増やそうとするインドにとって、重要な要素になりそうだ。

MEILのロゴ

 

カザフスタンで原子力に関する国民投票を2024年中に実施へ

カザフスタンのカスムジョマルト・トカエフ大統領は、同国の原子力発電所計画に関する国民投票を今秋に実施すると述べた。大統領は国内のメディア代表者に向けた演説で、「原子力は正しく、効果的に利用されるべきだ。この問題に関する最終決定は国民が下すことになる。国民投票は今秋に行われ、正確な日付は政府が決定する」と述べた。

(画像:カザフスタン共和国大統領府)

 

デュアン・アーノルド原発の再稼働でデータセンターに電力供給の可能性

米アイオワ州パロ近郊にあるデュアン・アーノルド原子力発電所の廃炉は2020年に始まったが、退職したエンジニアのスティーブ・マイヤーによれば、閉鎖時に高い評価を得ていた同発電所は、再稼働すれば相当量のエネルギーを供給できるという。この原子力発電所はネクステラ・エナジー社が所有しており、同社のジョン・ケッチャムCEOは、「安全かつ予算内で可能であれば 」データセンター顧客向けに電力を供給するため再稼働を検討すると述べた。

2015/4/17、デュアン・アーノルド氏の娘ヘレン・アーノルド氏が、デュアン・アーノルド原発で使用済燃料貯蔵プールを覗いている。(写真:ザ・ガゼット)

 

大手ハイテク企業の創業者たちがAIの動力源として原子力に注目

世界の二酸化炭素排出量の約2%がIT産業によるものであり、AIやデータセンターへの電力供給を目的としたエネルギー需要が急速に高まっている。その結果、大手ハイテク企業は原子力のような低炭素エネルギー源を求めている。ビル・ゲイツはウォーレン・バフェットと共同でテラパワー社を設立し、オープンAI創業者のサム・アルトマンはマイクロ原子炉企業オクロ社を設立し、核融合をも推進している。

(画像:oilprice.com)

 

アビリーン・クリスチャン大とナチュラ社、今秋の溶融塩研究炉建設許可に期待

テキサス州アビリーン・クリスチャン大学(ACU)構内での溶融塩研究炉建設を支援するナチュラ・リソーシズ社は6月中旬、NRCが安全審査を完了し、9月にゼロ出力試験炉の許可を出す見込みであることを発表した。ナチュラMSR-1と名付けられたこの原子炉は、ナチュラ社、DOE、そしてナチュラ・リソース・リサーチ・アライアンスとして知られる大学コンソーシアムの支援を受けて建設される。このコンソーシアムには、ACU、ジョージア工科大学、テキサスA&M大学、テキサス大学オースティン校が参加している。最大熱出力1,000kWで運転される原子炉は、FLiBe塩(フッ化リチウムとフッ化ベリリウムの混合塩)にHALEUを溶解させて使用する。

ACU の NEXT Lab の概念図(画像: ACU)

 

フランスの溶融塩ラボが分野のリーダーを目指す

溶融塩高速中性子マイクロ原子炉XAMRの開発企業ナレア(NAAREA)社は、溶融塩化学に特化したラボの設立に向け、フランス国立科学研究センター(CNRS)およびパリ・サクレー大学と提携する。溶融塩原子炉への適用と非原子力利用の双方の研究開発において、欧州のリーダーになることを目指している。新しい「イノベーション溶融塩ラボ」は、「イレーヌ・ジョリオ=キュリー2無限物理研究所( IJCLab )」の20年にわたる溶融塩化学の専門知識と、ナレアの「材料、中性子工学、安全分析、材料および燃料データの分野における技術的知識」を結集する。このプロジェクトを発表する声明では、新しいラボのロードマップは「溶融塩原子炉と冶金や集光型太陽光発電などの他の非核用途の両方において、溶融塩の研究開発の分野で欧州のリーダーになることを目標とする」と述べている。

ナレアが提案する XAMR の概念図 (画像: ナレア)

 

3Dプリント下部ノズル付燃料集合体を試験

ウェスティングハウス社(WH)が供給した3Dプリントされた下部ノズルを備えた4体の先行照射試験集合体が、アラバマ州にあるサザン・ニュークリア社のファーレイ原子力発電所に装荷されています。WHによると、この下部ノズルで燃料集合体への異物捕捉性能と燃料の耐久性が向上する。同社によれば、燃料棒被覆材の異物による摩耗作用(デブリフレッティングと呼ばれる)が、加圧水型原子炉(PWR)燃料集合体のリークの主な原因となっている。積層造形技術は、設計の自由度が高まり、原子炉に侵入し得る異物の直径が小さくなるため、異物のフィルタリングが大幅に改善される。試験では、積層造形されたノズルの耐デブリ性能が65%から96%へと30%向上した。

積層造形法で製造された燃料集合体下部ノズル(画像:WH)

関連報道:

https://www.powermag.com/first-ever-additively-manufactured-debris-filtering-bottom-nozzles-installed-at-farley-nuclear-plant/ 

 

カザフスタン、モリブデン99/テクネチウム99mジェネレータをキルギスタンに送る

カザフスタンの核物理研究所は、IAEA(国際原子力機関)との協力の下、キルギスタンにモリブデン99/テクネチウム99mジェネレータを納入した。カザフスタンとIAEAは2023年、原子力インフラ、核・放射線セキュリティ、食糧安全保障、核医学の優先分野を含む2023-2028年国別プログラム・フレームワークに署名している。

写真提供:カザフスタンエネルギー省