• 海外報道:日本の大飯原発の10年間の運転延長を承認
  • インドの原子力発電は向こう5年で70%増加
  • カナダ・OPG、グリーン・ファイナンスを拡大し新設原発も対象に
  • SMR発電所をスウェーデンのサイトに建設へ
  • ロールス・ロイス、マイクロ原子炉プロトタイプを初公開
  • スペイン、原発運転事業者への課税を30%引き上げ
  • ブルガリア・コズロドイ使用済燃料貯蔵施設の許認可が更新
  • カナダNWMOが多層構造の核燃料廃棄物貯蔵設計を披露
     

海外報道:日本の大飯原発の10年間の運転延長を承認

日本の原子力規制委員会は、福井県にある関西電力大飯原子力発電所3号機と4号機の長期施設管理計画を承認し、30年を超えて運転することを許可した。新しい法制度の下で40年までの運転が許可される最初の原子炉となる。新法では、運転期間が30年以上の原子炉の運転継続には、運転事業者が長期施設管理計画を策定し、少なくとも10年に1回は規制委の承認を得なければならないとしている一方、検査のために停止していた期間を全耐用年数から除外することで、原子炉の運転期間を60年超に延長することもできる。大飯3号機と4号機は、それぞれ2021年11月と2022年8月に旧規制制度下での運転延長40年を認可されていた。

大飯原発。手前に3/4号機、後ろに停止された1/2号機が見える(写真:関西電力)

関西電力プレス:

https://www.kepco.co.jp/corporate/pr/2024/pdf/20240626_3j.pdf

 

インドの原子力発電は向こう5年で70%増加

インド原子力庁(DAE)の100日間行動計画を見直しにより、インドの原子力発電容量は2029年までに748万ギガワットから1,308万キロワットに増加する。ジテンドラ・シン閣外大臣(首相府担当)は、新しい原子炉7基が発電量を増加させ、経済的・社会的利益をもたらすと述べた。

原子力発電所の代表的なイメージ ( 写真: PTI)―訳注:この写真は火力発電所にしか見えない。チャンドラプール火力発電所ではないか?

 

カナダ・OPG、グリーン・ファイナンスを拡大し新設原発も対象に

カナダのオンタリオ・パワー・ジェネレーション(OPG)社は、2021 年のグリーン・ボンドの枠組に代わる新たな持続可能な資金調達枠組を立ち上げ、より幅広いクリーン・エネルギー技術への資金調達を可能とする。これにより、ボンドからの純収益を既設原子力施設への資金調達だけでなく、新設原子力プロジェクトにも使用できるようになる。OPG は、新たな枠組により、より幅広いクリーン・エネルギー技術への資金調達が可能になるほか、先住民コミュニティや企業に機会を創出する取り組みにも資金提供できるようになると述べている。

OPGはダーリントンの原子力新設サイトにSMRも建設する計画(画像:OPG)

 

SMR発電所をスウェーデンのサイトに建設へ

小型モジュール炉(SMR)プロジェクト開発会社シャーンフル・ネキスト社は、最大6基の原子炉を建設する新たな候補地として、スウェーデン南東部エステルイェートランド県のバルデマースビク市を発表した。同社は、この土地の原子力発電に関する調査権について、土地所有者のラトナ グループと独占的提携契約を結んだ。同社は、この土地には 1970 年代にまで遡る調査で原子力発電に適していると特定された地域が含まれていると指摘した。総面積1,300ヘクタールを超えるこの土地は、AI データセンターなど、2030年代のエネルギー集約型産業との共同立地に魅力的であると述べた。

候補サイト(画像:ラトナグループ)

 

ロールス・ロイス、マイクロ原子炉プロトタイプを初公開

ロールス・ロイスの新しい可搬式原子炉のプロトタイプは、炉心の各ウラン粒子を取り囲む複数の保護層を備えたコンパクトなモジュール式装置で、最大1万キロワットの電力を供給できる。この原子炉は簡単に組み立てられ、鉄道車両、船舶、宇宙船で輸送できるように設計されている。

ロールス・ロイスのマイクロ原子炉(X動画からのキャプチャ)

ロールス・ロイスXポスト:

 

スペイン、原発運転事業者への課税を30%引き上げ

スペインは、放射性廃棄物処理と原発の廃炉に充てるため、原発運転事業者への課税を約30%引き上げる。原子力発電はスペインの総電力の約20%を占めているが、政府は2035年までにすべての原子炉を停止すると宣言している。

 

ブルガリア・コズロドイ使用済燃料貯蔵施設の許認可が更新

ブルガリア原子力規制庁(BNRA)は、コズロドイ原子力発電所の使用済燃料貯蔵施設を操業できる新たな無期限の許認可を発給した。この許認可変更は、2024年3月に導入された「原子力安全利用法」の改正を受けたもの。許認可は(よくある10年と言った)期限付きではなく無期限だが、この許認可の下では少なくとも10年ごとに安全レビューを実施するという条件が付されている。

BNRAツァンコ・バキイスキ委員長(右)が、コズロドイ原子力発電所のヴァレンティン・ニコロフ執行役員に新たな許認可状を手交(写真:BNRA)

 

カナダNWMOが多層構造の核燃料廃棄物貯蔵設計を披露

カナダ・オンタリオ州オークヴィルにある核燃料廃棄物管理機関(NWMO)の「発見・実証センター」の科学者らは、使用済核燃料棒を地下の定置室に永久処分するためのライニングを施した炭素鋼製キャニスタとベントナイト粘土製ボックスを設計し、モックアップを製造した。NWMOは、カナダ初の恒久的な核燃料廃棄物処分施設の建設地を2024年中に決定する予定である。

処分用キャニスタを説明する(画像:CTVニュース動画からのキャプチャ)

 

放射性チップが密猟からサイを守る可能性

南アフリカの科学者たちは、ウィットウォーターズランド大学の放射線・保健物理学部門が主導する密猟防止プロジェクトで、20頭の生きたサイの角に小さな放射性ペレットを注入した。この放射性チップは環境やサイの健康に害を与えることはないが、角が人間の食用に適さなくなり、国境や空港、港湾での発見が容易になる。

麻酔されたサイにジェームズ・ラーキン教授(右)が慎重にラジオアイソトープをサイの角に埋め込む 写真:エマニュエル・クロゼット