エネルホダル市のルーチ変電所に続き、ラドガ変電所もドローン攻撃を受け、変圧器が油漏れを起こしてエネルホダル市が16時間にわたり停電。ザポリージャ原発外側の放射線モニタリングステーションも、一部機能を停止したが復旧した。

 

 

IAEA(国際原子力機関)ラファエル・マリアノ・グロッシ事務局長は、6/23、ウクライナのザポリージャ原子力発電所(ZNPP)の職員の大半が住む市(訳注:エネルホダル、露語名エネルゴダル)は、同地域の第2の変電所が被害を受けて機能できなくなったため、この週末、16時間にわたって停電に見舞われたと発表した。

 

ZNPP駐在のIAEAの専門家チームは6/22、今回被害を受けたエネルホダル市のラドガ変電所の現場を実地検分し、2基の変圧器のうち1基に、プラント側によると6/21夕方のドローン攻撃が引き起こしたとしている被害を視察した。

 

エネルホダルの別の変電所の1つであるルーチが破壊されてからわずか数日後の今回の件で、グロッシ事務局長は、ZNPPの原子炉6基への電力供給は今回影響を受けなかったものの、ウクライナの電力インフラの脆弱性と脆弱性に対する深刻な懸念がさらに深まったと述べた。電力インフラは原子力安全・核セキュリティにとっても極めて重要だ。

 

電力インフラへのここ数日間の被害の結果、IAEAは、ZNPPに隣接するエネルホダル市で6/21午後8時頃から停電し、電力が復旧したのは6/22正午であったと説明を受けた。変電所は、国の発電、送電、配電システムの重要な部分を構成するものだ。

 

「誰が背後にいるにせよ、これを止めなければならない。プラントとその周辺に対するドローンの使用はますます頻繁になっている。これは全く容認できないものであり、全会一致で承認された安全の柱と具体的な原則に反する」とグロッシ事務局長は述べた。

 

6/19、エネルホダル市の一部と他の地域に電力を供給していたルーチ変電所が破壊された後、ラドガ変電所はエネルホダル市の5つの地区に失われた電力の一部を供給していたが、その後、これも被害を受けた。

 

IAEA専門家らは、ルーチ変電所の被害状況を調べるためにエネルホダルを実地検分してから2日後の6/22、ラドガ変電所で電気部品やその他のドローンの残骸、および損傷した変圧器の近くの地面に不発弾があるのを確認した。

 

現場の当局者らは、変圧器の穴から冷却油が漏れ、変電所が機能停止したと述べた。流出した油は砂で覆って修理を進め、午後遅くには完了したと付け加えた。IAEAの専門家らは、変圧器自体に油の痕跡は確認できなかった。ラドガ変電所の被害はルーチ変電所の変圧器よりも軽かったようで、そのエリアには火災ないし消防当局者は見えなかった

 

ZNPP側はその後、ラドガのバックアップ変圧器を使用することて、エネルホダルの電力が6/23の午後に回復したとIAEAチームに報告した。

 

ルーチ変電所の被害と同様に、ラドガからの電力供給停止は、ZNPPでまだ利用可能な2系統の電力系に直接影響を及ぼさなかった。同発電所は、停止中の原子炉の冷却に必要な外部電力は、最後に残った750kVの主電力系と最後の330 kVバックアップ電力系から引き続き受電している。

 

しかし、ラドガ変電所の故障は、ZNPPに隣接する非原子力工業エリア、ZNPPの輸送ユニット、水道水用ポンプ、および周辺地域の所外環境放射線モニタリングステーションの一部への電力供給に影響を及ぼした。放射線モニタリングステーションは、6/22朝にバッテリー切れで一時的に機能停止したが、電力が回復すると想定どおりに稼働を再開した。

 

ラドガ変電所復旧作業(画像:タス通信動画のキャプチャ)

 

関連報道(ロシアメディア):

https://tass.ru/proisshestviya/21168457

https://tass.ru/proisshestviya/21170611 

https://tass.ru/mezhdunarodnaya-panorama/21175959 

https://tass.ru/mezhdunarodnaya-panorama/21175833

 

 

https://iz.ru/1717044/2024-06-23/glava-magate-rafael-grossi-prizval-ostanovit-ataki-na-energodar

https://iz.ru/1716684/2024-06-22/neskolko-podrazdelenii-zaes-okazalis-obestocheny-posle-ataki-vsu

https://iz.ru/1716539/2024-06-22/na-zaes-zaiavili-o-narushenii-raboty-infrastrukturnykh-obektov-iz-za-ataki-vsu