• ベトナムとロシアが原子力協力について協議
  • オランダの研究炉パラスの基礎ピットの建設が進展
  • ウェストバージニア州選出上院議員、故郷にSMRへの準備を促す
  • ワイオミング州とBWXT社が原子力計画を推進
  • インドネシアのネットゼロ目標のカギを握る原子力発電
  • 米国送電網を最適化するスマートワイヤの送電網強化技術
  • EU が フラマトムの VVER-440 燃料開発に資金提供
  • ニジェール、イモーラレン・プロジェクトの採掘許可を取り消す
  • 追悼:ウィリアム・アンダース― NRC を率いた宇宙飛行士
     

ベトナムとロシアが原子力協力について協議

ベトナムの原子力科学技術センター建設プロジェクトに関する覚書が締結され、同国における大規模および小型モジュール炉の将来的な選択肢についても協議が行われた。ロスアトムのアレクセイ・リハチェフ総裁は、ベトナムのファム・ミン・チン首相と会談し、2011年に政府間協定の対象となった同センターの建設計画と、原子力分野での協力の可能性について協議。この会談は、プーチン大統領のベトナム訪問中に行われた二国間首脳会談に先立って行われた。リハチェフ総裁はベトナムのフイン・タン・ダット科学技術相とも会談し、両氏はセンター計画に関する省庁間覚書に署名した。首脳会談後のメディア向け声明で、プーチン大統領は「二国間協力を拡大する有望な分野は原子力だ」と述べ、ベトナムのトー・ラム国家主席は「我々はまた、新エネルギー源とクリーンエネルギーに関する協力を強化する機会を模索し、グリーン移行と持続可能な開発を促進することで合意した」と述べた。

(画像:www.kremlin.ru)

 

オランダの研究炉パラスの基礎ピットの建設が進展

オランダ・ペッテンの研究炉パラスの建設ピットで、長さ33mの基礎杭380本の設置が完了した。パラスは、既存の高中性子束原子炉(HFR)を代替する予定。パラス原子炉準備財団は、2022年6月に原子力安全・放射線防護庁(ANVS)にパラス原子炉の建設と運転の許可を申請した。ANVSは昨年2月中旬に建設許可を付与した。基礎の準備作業は2023年5月に開始された。この作業は、2022年11月に契約を獲得したベルギーの建設会社BESIXによって行われている。

パラスの建設現場(画像:パラス)

 

ウェストバージニア州選出上院議員、故郷にSMRへの準備を促す

米国ウェストバージニア州には、ブラウンフィールドや閉鎖された石炭火力発電所が多数あり、原子力発電の導入で利益を得るのに有利な立場にあると、ウェストバージニア州選出のシェリー・ムーア・カピト連邦議会上院議員は言う。カピト氏は、州当局は小型モジュール炉に適した場所を特定すべきだと述べた。

カピト上院議員(画像:ウェスト・バージニア・ニュース)

 

ワイオミング州とBWXT社が原子力計画を推進

ワイオミング州エネルギー局とBWXテクノロジーズ(BWXT)社は、州内の既設原発サイトに配備可能な小型原子炉の概念設計の開発を進めている。BWXT社のモジュール式原子炉システムであるビヨンド・グリーン・リバーは、トラックや鉄道で輸送できるほど小型で、5万キロワットの出力をとぎれることなく供給できる。特に遠隔地での採鉱作業に適している。

BWXTのマイクロ原子炉プロジェクト (BWXT先進原子炉、またはBANRと呼ばれる) は、工場で製造されるモジュール式システムを開発している。(BWXT提供)

 

インドネシアのネットゼロ目標のカギを握る原子力発電

インドネシア国家研究革新庁(BRIN)によると、インドネシア初の商用原子力発電施設は、早ければ2030年にも試験運転が開始される予定だ。PeLUIt-40は、4万キロワット(40メガワット)のガス冷却超高温原子炉と産業用蒸気発生器であり、インドネシアの再生可能エネルギー計画の重要な要素であると、BRINの原子力技術研究センター長のトパン・セティアディプラ氏は言う。

(画像:Energy Central)

 

米国送電網を最適化するスマートワイヤの送電網強化技術

米国DOE(エネルギー省)から6,000万ドル(96億円)の支援を受けた米国の2つのプロジェクトが、系統増強技術の一種であるスマートワイヤ社の送配電制御装置スマートバルブの導入を準備している。これらのプロジェクトは、DOEが合計35億ドルの支援を受ける58のプロジェクトのうちのひとつである。バーモント電力と電力研究所(EPRI)はスマートバルブを使用し、送電網の柔軟性を高め、混雑を緩和する予定である。

英国の送電網運営会社ナショナル・グリッドの変電所に設置されたスマートバルブ。スマートワイヤ社は、ナショナル・グリッドの3変電所に スマートバルブを設置している。(画像:スマートワイヤ)

 

EU が フラマトムの VVER-440 燃料開発に資金提供

ユーラトム研究・訓練プログラムに基づく欧州連合(EU)からの 1,000 万ユーロ (17億円) の拠出は、VVER 原子炉向け「欧州燃料ソリューションの迅速かつ安全な開発と導入」を目的としている。フランスのフラマトム社が主導するVVER-440燃料の「安全な欧州代替VVER (SAVE:Safe and Alternative VVER European)」 プロジェクトには、EUで VVER 原子炉を運転する電力会社 (チェコの ČEZ、フィンランドのフォータム、ハンガリーのMVMパクシュ、スロバキア電力(SE)) を含む17のステークホルダーが参加。エネルギー安全保障を強化し、燃料サプライ チェーンのリスクを軽減することを目的としている。ソ連時代に開発され、歴史的にロシアの燃料供給に依存してきた19基のVVER原子炉が現在EUで稼働しており、ブルガリアとチェコの4 基のVVER-1000原子炉と、チェコ、フィンランド、ハンガリー、スロバキアの 15 基の VVER-440 原子炉が含まれる。

フラマトム VVER-440 燃料集合体の外観(画像:フラマトム)

 

ニジェール、イモーラレン・プロジェクトの採掘許可を取り消す

フランスのオラノ社は、ニジェール当局が2009年に子会社のイモーラレンSA社に発行したイモーラレン・ウラン鉱山の操業許可を取り消したと発表した。イモーラレン鉱床は、20 万tUを超える埋蔵量を有し、オラノによれば世界最大級のウラン埋蔵量を誇る。運営会社であるイモーラレン SA (オラノ・エクスパンションが 66.65%、ニジェール国と同国ソパミン社が33.35%を所有) は 2012 年に採掘を開始したが、市場条件の好転を待つため 2015 年に開発を中断していた。最近のメディア報道によると、ニジェール鉱山省は、オラノの鉱床開発計画が当局の期待に沿うものではないと考えている。同省は 6/11にオラノに書簡を送り、通知期間は6/19に終結し、「同日以降、同社の操業許可は取り消される」と述べた。オラノは「この件に関してニジェール当局とあらゆるコミュニケーション手段を開いたままにしておく用意があるが、採掘許可を取り消す決定に対して国内または国際管轄権のある裁判所に異議を申し立てる権利を留保する」と述べた。

イモーラレン鉱山(画像:オラノ/モーリス・アスカニ)

関連報道:

https://www.france24.com/en/live-news/20240620-niger-revokes-french-operating-licence-at-major-uranium-mine 

 

追悼:ウィリアム・アンダース― NRC を率いた宇宙飛行士

アポロ 8 号の宇宙飛行士として、ビル・アンダースは月から見た地球の最初のカラー写真を撮影した。この写真は現代の環境保護運動のきっかけとなったと言われている。しかし、彼のキャリアはそれだけにとどまらなかった。アンダース氏はその後、米国NRC(原子力規制委員会)の初代委員長に就任した。

NRCは、アンダース氏が操縦していたヴィンテージ機がシアトル北部のジョーンズ島近くのサンファン海峡に墜落し、6/7に逝去したのを受け、同氏を追悼する多くの団体に加わった。ウィリアム・A・アンダース(ビル)氏は、1933/10/17に香港で生まれた。同氏は海軍兵学校を卒業し理学士号を取得後、米国空軍に入隊し、NASAに入隊する前に戦闘機パイロットを務めた。同氏はまた、ニューメキシコ州の空軍兵器研究所に在籍中に、原子力発電炉の遮蔽および放射線影響プログラムの技術管理を担当していた。

ビル・アンダース(中央)とアポロ8号の乗組員フランク・ボーマン(左)およびジェームズ・ラベル。1968年のミッションは、サターンV型ロケットで打ち上げられた初の有人アポロミッションであり、月周回軌道に入った初の有人アポロ宇宙船であった。(画像:NASA)

アンダースの象徴的な写真は「地球の出」として知られるようになった(画像:NASA)