6/19のエネルホダル市のルーチ変電所が破壊された事件について詳しく述べられている。ZNPPの電源系統には影響しないが、プラントのごく近くで、プラントスタッフが居住する地域が攻撃されたことは、プラントの原子力安全・核セキュリティへの脅威であるとの認識。

IAEAからの報告の後、更に、もう一つのラドガ変電所へもドローン攻撃があったことをロシアメディアが報じており、IAEAにも通報するという。

 

 

6/21、IAEA(国際原子力機関)ラファエル・マリアノ・グロッシ事務局長は、スイスが最近主催した「ウクライナ平和サミット」では、ウクライナ紛争中の原子力事故防止におけるIAEAの重要な役割が国際的に広く認識されたと述べた。

 

「サミットに参加した多くの国や組織が、IAEAの不可欠な活動に対する強い支持を表明してくれたことに感謝する」とグロッシ事務局長は述べた。

 

ウクライナ最大の原子力施設であるザポリージャ原子力発電所(ZNPP)では、6/16~17の同施設近くでの爆発を含め、過去1週間にわたり、同施設に駐在するIAEAチームに軍事活動の兆候が聞こえ続けている。ZNPP側はIAEAの専門家に対し、施設自体やその近くでは影響はなかったと報告している。ほとんどの日、IAEAの専門家は施設からさらに離れた場所でも爆発音を聞いた。

 

ウクライナの電力網は紛争の影響を深刻に受けており、ここ数カ月のインフラ攻撃による甚大な被害も含め、外部電源の利用可能性へのリスクが絶えることがなく、原子力安全・核セキュリティにとって依然として大きな懸念事項となっている。

 

こうした危険を示す最新のものとして、6/19にエネルホダル市のルーチ変電所が破壊された。ZNPP側からIAEAチームに対し、破壊の原因はドローン攻撃であるとの説明があった。この変電所が被害を受けるのは2022年以降2度目となる。エネルホダルには、ZNPPスタッフの大半が住んでいる。同市はルーチ変電所とラドガ変電所から電力を供給されていたが、この事件の後、6/19夕方に停電した。ZNPP駐在のIAEAチームは6/20にルーチ変電所を実地検分し、変電所が破壊されて機能していないことを確認した。

 

ルーチ変電所は通常、エネルホダルの一部と、市の給水ポンプ場、工業地帯、周辺の小さな町などの他の地域に電力を供給している。6/20時点で、エネルホダルの一部は、代わりにラドガ電力系統を通じて受電している。ZNPPは、ルーチ電力系統からもラドガ電力系統からも外部電力を受電していないため、プラントへの電力供給は、今回、直接影響を受けなかった

 

しかし、グロッシ事務局長は、今回の事象は、運転中の原子力発電所と停止中の原子力発電所のいずれにおいても、原子力安全を維持するためには、原子力発電所と外部電力系統の間に信頼性の高い接続が不可欠であることを改めて思い起こさせるものだと述べた。各原子力発電所は電力網との接続が切断された状況に対応できるように設計されているが、原子力発電所への外部電力の喪失は、原子力安全の基本的な要素として防がなければならない重要な事象である。

 

ウクライナのいずれかの原子力発電所への電力供給に影響を与えるような攻撃は、紛争中の原子力安全・核セキュリティを確保するための不可欠な7つの柱に違反することになるだろうと、事務局長は述べ、第4の柱として「すべての原子力サイトで、送電網から確かな所外電力供給がなされなければならない。」と述べられていると指摘した。

 

「ウクライナの原子力発電所の外部電力状況について、私は依然として非常に懸念している。すでに外部電力系のほとんどを失っているザポリージャ原子力発電所は、この点で特に脆弱だ。紛争中、同発電所は繰り返し外部電源を完全に失っている。ルーチ変電所の被害は、プラントのごく近くのエネルホダルに住むプラントスタッフに直接影響を及ぼしたため、原子力安全・核セキュリティにも影響を及ぼした。したがって、エネルギーインフラを常に保護し、維持することが不可欠だ」とグロッシ事務局長は述べた。

 

IAEAの専門家チームは6/20、ウクライナのザポリージャ原子力発電所の職員の多くが居住するエネルホダル市の変電所の被害状況を評価している。(写真提供:IAEA)

 

ZNPPでは、IAEA専門家らが、原子力安全・核セキュリティおよびサイト全体にわたる関連動向を監視するための通常活動の一環として、引き続きウォークダウンを継続している。

 

また、同サイトでの保全活動の綿密な監視も継続している。保全活動は、原子力安全・核セキュリティの維持に不可欠だが、紛争中に課題に直面している。IAEAの専門家らはこの週、ZNPP1号炉及び2号炉の保守計画、特に2024年後半の保守計画について議論した。

 

前週、ZNPPは2024年初めに稼働を開始した4基のディーゼル蒸気発生器(DSG)を運転し、500㎥の放射性廃液を処理した。処理後の水は、プラント運転に再利用される予定である。この作業が完了した6/18、DSGは待機モードに復帰した。

 

6/18、別の動きとして、2号炉の主変圧器が、バルブ、センサー、電気部品、オイルのテストを含む1か月の保守作業を終え、稼働を再開した。また、IAEAの専門家らは、ZNPPが将来的に予備の変圧器を購入する計画であるとの説明を受けた。

 

IAEAチームはこの週、非常用ディーゼル発電機(EDG)を含む5号機の安全系設備の試験も視察した。ZNPPのスタッフは電源喪失を模擬し、EDG起動を開始し、25分間運転した後、待機モードに復帰させた。

 

6/19、IAEA専門家らはZNPP訓練センターを実地検分し、プラントのさまざまなコンポーネントの据付状態モックアップと、3台のフルスコープシミュレータのうち2台を視察した。そのうちの1台では、中央制御室の運転シフトスタッフの訓練が行われていた。

 

フメリニツキー、リウネ、南ウクライナの各原子力発電所とチョルノービリ・サイト駐在のIAEA専門家からは、過去1週間、数日の空襲警報など、進行中の紛争の影響にもかかわらず、原子力安全・核セキュリティは維持されているとの報告があった。

 

6/20早朝、南ウクライナ原子力発電所のIAEA専門家らは、近くで小火器の発砲音が聞こえた後、ホテルのシェルターに向かった。その後、ドローンがホテル付近で撃墜されたが、ホテルや原子力発電所を狙ったものではなかったとの説明を受けた。

 

IAEA Xポスト:

 

関連報道:

 

関連報道(ロシアメディア):

https://tass.ru/ekonomika/21162721

https://tass.ru/mezhdunarodnaya-panorama/21167493

https://tass.ru/ekonomika/21167863

 

 

https://tass.ru/proisshestviya/21168057 6/21,ラドガ変電所にドローン攻撃。

 

 

https://iz.ru/1716295/2024-06-21/v-energodare-soobshchili-ob-udare-vsu-po-podstantcii-raduga

https://tass.ru/proisshestviya/21168457 ZAESの運転安全には影響なし。

 

エネルゴダル主要部への電力・水供給がストップ

https://iz.ru/1716316/2024-06-21/energodar-ostalsia-bez-sveta-v-rezultate-udara-vsu-po-vtoroi-podstantcii-goroda

https://iz.ru/1716354/2024-06-22/informatciiu-o-novoi-atake-vsu-na-energodar-dovedut-do-magate