• オンタリオ州大臣、SMR 準備工事の第 1 フェーズ完了を記念
  • エストニア議会が原子力決議を可決
  • ノルウェー北東部に原子力発電所建設を提案
  • 欧州原子力産業界が次期欧州委員会に期待を表明
  • カリフォルニア州議会、ディアブロ・キャニオンへの融資を廃止する計画を示唆
  • 反核団体、PG&E ディアブロ・キャニオン発電所の費用は 120 億ドルと主張
  • マサチューセッツ州、温室効果ガス削減の推進で原子力に注目
  • ゲイツ氏、Natrium炉、AIと原子力の関係について語る
  • テキサスのアルタ・メサ・プロジェクトでウラン生産が再開
  • 新しいPETトレーサーが慢性疼痛の原因を可視化
     

オンタリオ州新任大臣、SMR 準備工事の第 1 フェーズ完了を記念

カナダ・オンタリオ州の新任エネルギー・電化大臣スティーブン・レッチェ氏は、オンタリオ・パワー・ジェネレーション(OPG)社のダーリントン新規原子力開発プロジェクト(DNNP)サイトを訪問し、同州初の小型モジュール炉 (SMR) の建設準備工事の第 1 フェーズ完了と、ルーマニアとフランスへの最近の貿易使節団の訪問を記念した。OPGは3月、最大4基のBWRX-300 SMRのうち最初の1基を建設するDNNPの初期段階の工事が予定通り予算内で完了し、主要な敷地準備作業を開始する道が開かれたと発表していた。

レッチェ氏がエネルギー・電化大臣に就任して初めてDNNPサイトを訪問(写真:OPG/X)

関連報道:

https://toronto.ctvnews.ca/video/c2940125-milestone-reached-at-darlington-nuclear-station

 

エストニア議会が原子力決議を可決

エストニア議会リーギコグは、同国における原子力の導入を支持する決議を可決し、必要な法的および規制的枠組みの構築への道を開いた。議会は、原子力作業部会が実施した分析に基づいて決定を下した。同部会は、エストニアにおける原子力導入は実現可能と結論付けた。リーギコグ決議「エストニアにおける原子力導入支援」(431 OE)では、2035 年までのエストニアの国家開発計画では、「気候中立型エネルギー生産への移行期間中」のエネルギー供給の安全性を確保するために、原子力導入の影響を考慮しなければならないとしている。これには、原子力と安全性に関する法案の策定、必要に応じて既存の法律の改正と補足、原子力の安全使用に関する規制当局の設立、およびこの分野での専門能力開発が含まれる。

(画像:リーギコグ)

 

ノルウェー北東部に原子力発電所建設を提案

ノルスク・シャーナクラフト社は、ノルウェーのトロムス・オ・フィンマルク県に複数の小型モジュール炉(SMR)をベースとした発電所を建設するための申請書をノルウェーエネルギー省に提出した。同社は、これが同県に原子力発電所を建設する正式な手続きの第一歩となると述べた。2023年4月、フィンマルクのバルド市は、ノルウェーで電力集約型産業と連携してSMR発電所を建設、所有、運営することを目指しているノルスク・シャーナクラフト社に対し、原子力発電所の候補地として近隣のスバルトネスを提案した。バルド市とノルスク・シャーナクラフト社は、2023年6月に調査プログラムの提案を含む報告書を作成する契約を締結した。同社と同市は連携して、フィンマルクのエネルギー状況をマッピングし、スバルトネス現地の状況を考慮。最大60万kWの電気容量と最大50億kWhの年間出力を持つ原子力発電所が提案されている。これは「フィンマルクの電力供給を3倍にするのに十分」だという。

バルド (画像: visitvardo.com)

 

欧州原子力産業界が次期欧州委員会に期待を表明

欧州の原子力業界のリーダーらは、新しい欧州委員会への優先事項をまとめたマニフェストを発表した。原子力は、EU に安全で安価なエネルギーを供給する上で極めて重要な役割を果たしていると、彼らは指摘している。6/6~9にかけて、EU市民は次期欧州議会の720名の議員を選出する投票を行った。新しい欧州委員会とその委員長はまもなく選出される。原子力利用拡大にコミットするEU加盟国の「原子力アライアンス」のマニフェストでは、原子力が2050年までにEUで最大1億5,000万kWの電力容量を提供できると認識していると指摘している。これは現在の約1億kWに比べて大幅に増加している。このコミットメントは、2023年11月にCOP28で開始された、2050年までに世界の原子力容量を3倍にすることを目指すネットゼロ原子力イニシアチブと一致している。

業界のリーダーたちがマニフェストを発表(画像:Nucleareurope)

 

カリフォルニア州議会、ディアブロ・キャニオンへの融資を廃止する計画を示唆

米国カリフォルニア州議会議員の議決から、ディアブロ・キャニオン発電所の存続を支援するパシフィック・ガス・アンド・エレクトリック(PG&E)社への4億ドルの融資を廃止する計画が示された。政府の予算はまだ詰める必要があるが、この議決結果により、エネルギー需要と気候変動に対処するには原子力発電所が不可欠だとするギャビン・ニューサム知事と議会の対立が引き起こされることになる。

 

反核団体、PG&E ディアブロ・キャニオン発電所の費用は 120 億ドルと主張

「原子力責任アライアンス(A4NR : Alliance for Nuclear Responsibility)」によると、PG&Eはカリフォルニア州ディアブロ・キャニオン発電所を 2030 年まで稼働させ続けるために 120 億ドル近くを費やす予定だが、PG&Eが表明している最大コスト支出は 83 億ドルしか見込んでいないと述べている。「環境ワーキンググループ(EWG)」はA4NRが提示した金額を支持し、ギャビン・ニューサム知事に原子力発電所の運転延長への支持を撤回するよう求めた。

資料写真 – 2010/6/20、ディアブロ・キャニオン原発の航空写真 (ジョー・ジョンストン/ザ・トリビューン、AP通信経由)

 

マサチューセッツ州、温室効果ガス削減の推進で原子力に注目

エネルギー委員会の共同委員長を務めるマサチューセッツ州のジェフリー・ロイ下院議員とマイケル・バレット上院議員は、州が2030年までに温室効果ガス排出量の50%削減を目指す中で、クリーンエネルギーを増やす必要性を指摘している。その取り組みの一環として、ニューイングランド州のミルストン原子力発電所とシーブルック原子力発電所を中心に、原子力エネルギーをマサチューセッツ州の「クリーンエネルギー発電」の定義に含めるというロイ議員の法案がある。ロイ議員によれば、これらの原発で生産されるエネルギーは手に入るものだし、比較的安価でもあるという。

シーブルック原子力発電所1号機(写真 Rich Beauchesne)

 

ゲイツ氏、Natrium炉、AIと原子力の関係について語る

テラパワー社の創業者ビル・ゲイツ氏は、今週着工したワイオミング州の発電所に10億ドルを投資し、原子力に全面的に取り組んでいる。この発電所はナトリウム冷却高速炉Natriumを採用しており、ゲイツ氏は懐疑的な人たちを味方につけることができると期待している。ゲイツ氏は質疑応答で「この設計の安全評価は、受動的なメカニズムが関与しているだけに、信じられないほど強力だ」とし、AIと原子力の関連性にも触れた。

2024/6/13、ワシントンD.C.のNPR本部でポートレート撮影に応じるビル・ゲイツ氏(ベン・デ・ラ・クルーズ/NPR)

 

テキサスのアルタ・メサ・プロジェクトでウラン生産が再開

エンコア・エナジー社とボス・エナジー社のJVであるアルタ・メサでの生産開始により、エンコアは米国で唯一、複数の生産施設を現に稼働させているウラン生産者となり、ボス・エナジーにとっては、この8週間で2度目の生産開始となる。イエローケーキの初出荷は60~90日後に予定されている。以前にも生産していたこの原位置浸出(ISL)プロジェクトは、許認可を完備して建設済みのアルタ・メサ・ウラン中央製錬プラント(CPP)と坑井で構成されており、2023年2月にエンコアがエナジー・フュエルズ社から1億2,000万米ドルで買収した。12月には、同社はオーストラリアのボス・エナジー社と契約を締結し、ボスが30%の株式を取得した。このプロジェクトはエンコアによって運営されている。

(画像:エンコア・エナジー)

関連報道:

https://www.valleycentral.com/news/south-texas-uranium-plant-enters-production/

https://www.mining-technology.com/news/alta-mesa-plant-texas-us/

 

新しいPETトレーサーが慢性疼痛の原因を可視化

6/10に核医学・分子イメージング学会(SNMMI)年次総会で発表された研究によると、最近開発されたPET放射性トレーサーが、複合性局所疼痛症候群(CRPS)患者の痛みの原因を特定し、効果的な治療につながった。カリフォルニア大学サンフランシスコ校の放射線科研修医であるジョー・バアル医博は、CRPS患者の末梢性疼痛発生源を特定するために開発された、新しい疼痛特異的PET放射性トレーサーであるフッ素18(F-18) FTC-146の全身PET/MRI研究を発表した。現在、CRPSの根本的なメカニズムは十分に理解されておらず、その臨床症状が多様であることと、疼痛の原因を特定できる特定の検査がないため、診断が困難な場合があると彼は指摘した。前臨床研究において、このF-18 FTC-146が炎症や痛みの状態に関与するニューロンやグリア細胞上のシグマ1受容体(S1R)に結合することを明らかにした。

治験に参加した 21 歳の男性サッカー選手の F-18 FTC-146 PET/MRI スキャン。画像提供: ジョー・バアル医博