• フランス大統領、原子炉8基の増設計画を再確認
  • バッテンフォール、SMR供給業者の選定を絞り込む
  • フィリピンの電力会社、LNG代替に原子力を検討
  • ウェスティングハウス、カナダでのプレゼンスを強化
  • チェルナボーダ1号機大改修プロジェクトの枠組契約に署名
  • ウクライナでSMR、使用済燃料集中貯蔵施設向けコンポーネント製造工場の建設が加速
  • TAEテクノロジーズとOXY、核融合発電によるDACの探求へ
  • 核融合の可能性をケンタッキー州議員と議論
  • 米国企業が原子力電池の画期的進歩を主張
  • GEヘルスケア、MINItraceサイクロトロンを発表
  • 学会: PET/CT により心血管疾患と認知障害の関連性が明らかに
  • 米陸軍工兵隊、ペンシルバニア州の処分場修復を2025年夏に開始する予定
     

フランス大統領、原子炉8基の増設計画を再確認

フランスのエマニュエル・マクロン大統領は6/12、原子炉8基の増設計画を確認した。「将来の政府計画は、この(エネルギー)移行に不可欠な8基の新しい原子炉のような強力な決定を下さなければならない」とマクロン大統領は言う。

 

バッテンフォール、SMR供給業者の選定を絞り込む

スウェーデンのバッテンフォールは、リングハルス発電所での小型モジュール炉(SMR)の供給業者候補として、ロールスロイスSMRとGE日立ニュークリア・エナジーを最終候補に挙げた。一方、同国の原子力規制当局は、認可手続きをより効率的かつ予測可能なものにするため、新しい原子炉技術の早期評価を可能にすることを提案した。バッテンフォールは2022年6月、リングハルス原子力発電所に隣接して少なくとも2基のSMRを建設する決定を進めるための条件を評価するためのパイロットスタディを開始すると発表していた。同社は2030年代初頭に新しい原子炉を稼働させることを目指している。並行して、バッテンフォールはリングハルスに大規模原子炉を建設するための条件の調査を継続する。大規模原子炉の評価に含まれるサプライヤーは、ウェスティングハウス、EDF、韓国水力原子力(KHNP)である。

既設リングハルス原発ではBWR1基,PWR1基が廃止。PWR2基が運転中(画像:バッテンフォール)

関連報道:

https://www.nucnet.org/news/vattenfall-shortlists-two-smr-designs-for-new-reactors-evaluation-at-ringhals-6-3-2024

https://www.barrons.com/news/sweden-shortlists-uk-us-firms-for-new-nuclear-reactor-897f6f3e

 

フィリピンの電力会社、LNG代替に原子力を検討

フィリピンのマニラ・エレクトリック社は、カーボンフリーのエネルギーを得るため、長期的には液化天然ガスを原子力エネルギーに置き換えることを検討している。フィリピンには核物質を輸入するための規制の枠組みがなく、原子力技術者を認可するためのプロトコルもないため、この動きは困難なものになる可能性がある、とマニラ・エレクトリック社の公益事業経済責任者であるローレンス・フェルナンデス氏は言う。

フィリピン、マニラ首都圏ケソン市にあるマニラ・エレクトリック社の変電所(画像:ブルームバーグ)

 

ウェスティングハウス、カナダでのプレゼンスを強化

ウェスティングハウス(WH)は、成長を続けるCANDUと世界的な新規建設事業をサポートするため、オンタリオ州キッチナーに新たなグローバルエンジニアリングハブとなる拠点を開設した。今やカナダは、AP1000 にとって世界第3の規模のエンジニアリングセンターとなった。13,000平方フィート(1,208㎡)の新施設には、既設CANDU炉と国際プロジェクトのサポート、および大型炉AP1000、小型モジュール炉(SMR)AP300、マイクロ原子炉eVinciを含むWHの新設技術の世界展開に特化したグローバル設計エンジニアリングチームが拠点を置くことになる。

キッチナーの新グローバルエンジニアリングハブの開設(画像:ウェスティングハウス)

関連報道:

https://www.cbc.ca/news/canada/kitchener-waterloo/westinghouse-opens-new-nuclear-engineering-hub-in-kitchener-1.7231802 

 

チェルナボーダ1号機大改修プロジェクトの枠組契約に署名

ルーマニア国営原子力発電会社(SNN社)とカナディアン・ニュークリア・パートナーズ社は、チェルナボーダ原子力発電所1号機(CANDU6型、65万kW)の大改修に関するプロジェクト管理サービスを提供する長期枠組契約に署名した。この契約額は推定2億4000万ユーロ(407億円)で、国営オンタリオ・パワー・ジェネレーション(OPG)の子会社であるカナディアン・ニュークリア・パートナーズがプロジェクト管理サービス、技術支援、コンサルティングサービス、関連トレーニング、および「1号機の試運転から営業運転再開までの組織と調整」を提供する。

(画像:SNN)

 

ウクライナでSMR、使用済燃料集中貯蔵施設向けコンポーネント製造工場の建設が加速

6/12、ウクライナ国営原子力発電会社エネルゴアトムのペトロ・コティンCEOホルテック・インターナショナルのウクライナ事業担当リアズ・アワン副社長は、経営幹部や専門家の参加を得て合同会議を開催。ホルテックの技術を使用して、ウクライナで小型モジュール炉(SMR)と使用済燃料集中貯蔵施設(CSFSF)向けコンポーネントを製造する工場を建設する場所の選定について協議した。アワン副社長によると、新製造工場建設プロジェクトは、ウクライナに経済的・財政的なプラスの効果をもたらすだけでなく、CSFSFシステム、SMR、国産コンポーネントを欧州諸国や全世界に輸出する機会を提供するという。

(画像:エネルゴアトム)

 

TAEテクノロジーズとOXY、核融合発電によるDACの探求へ

核融合開発企業TAEテクノロジーズ社とオクシデンタル石油(OXY)の子会社OXYローカーボン・ベンチャーズ(OLCV)社は、TAEの核融合技術をOXYの大気直接炭素回収(DAC)プラントの動力源として使用する可能性について、安全性、信頼性、コストを調査することで合意した。OLCVのフランク・コラー電力開発担当副社長は、「核融合は、重要な気候ソリューションとして大規模なDACの商業化を進める中で、持続可能なエネルギー源を探求する我々の努力を前進させる有望な技術である。」という。

 

核融合の可能性をケンタッキー州議員と議論

ニューコア・スチール・ガラティン社は、核融合エネルギーへの投資の重要性を認識しており、同社敷地内に核融合プラントを建設することを検討していると、同社のキャシー・ワデル氏がケンタッキー州議会暫定天然資源・エネルギー委員会で語った。「核融合は壮大な(moonshot)プロジェクトかもしれないが、成功すれば発電にどのような革命をもたらすかを考えれば、努力する価値はあると信じている」とワデル氏は語った。

ケンタッキー州議会暫定天然資源・エネルギー委員会 写真:スチュ・ジョンソン

 

米国企業が原子力電池の画期的進歩を主張

カリフォルニアに拠点を置くインフィニティ・パワー社は、電気化学エネルギー変換を利用した非常に強力で長寿命の原子力電池の開発に成功したと発表した。同社によると、米国防総省の支援を受けて開発された同社の原子力電池は、60%を超える総合効率を達成したという。原子力電池(RI電池とも呼ばれる)は、ラジオアイソトープ(RI)の崩壊によって放出されるエネルギーを利用し、半導体コンバーターを介して電気エネルギーに変換するという原理で機能する。同社の電池は新しい電気化学的エネルギー変換を使用しており、「小型のコインセルスタイルのデバイスは、100年以上にわたって数十ミリワットの電力を供給できる」と主張している。

十分な遮蔽と閉じ込めを保証するため、金属ケース入りコインセルパッケージが開発された(画像:インフィニティ・パワー)

 

GEヘルスケア、MINItraceサイクロトロンを発表

GEヘルスケアは、核医学・分子イメージング学会 (SNMMI) 2024年次総会において、PET放射性トレーサー内製用の小型サイクロトロンMINItrace Magniを発表した。また、米国食品医薬品局(FDA)承認待ちのPET/CTスキャナーOmni Legendも紹介した。

(画像:GEヘルスケア提供)

 

学会: PET/CT により心血管疾患と認知障害の関連性が明らかに

核医学・分子イメージング学会 (SNMMI) 2024年次総会で発表された研究によると、PET/CT により心血管疾患 (CVD) と認知障害の関連性が明らかになった。米フィラデルフィアのトーマス・ジェファーソン大学の医学生、エリック・タイクナー氏が率いるチームは、PET/CT 画像により「視覚分類に重要な領域である紡錘状回において、 F-18 FDG PET と F-18 フッ化ナトリウム (F-18 NaF) の摂取との間の相関関係に、有意な相互作用効果が見られる」ことを発見した。CVD は世界中で罹患率と死亡率の大きな原因となっており、世界の死亡者の 32% を占めていると共同発表者のシブ・パティル氏は指摘した。この病気は主に動脈硬化が原因で、臓器への血液と酸素の供給が減少する。頸動脈に影響を及ぼすと、認知障害や認知症につながる可能性があると同氏は説明した。CT や MRI などの構造画像診断法では、CVD に関連する初期段階の変化を捉えることはできないが、そこで分子画像診断が役に立つ。PET 画像診断では、臨床症状や構造変化が現れる前に血管や神経の変化を特定できるとパティル氏はセッション参加者に語った。

タイクナー氏:Xポスト

https://twitter.com/EricTeichner/status/1781774401018449923

 

米陸軍工兵隊、ペンシルバニア州の処分場修復を2025年夏に開始する予定

米陸軍工兵隊(USACE)によると、ペンシルベニア州の浅地処分場は2025年夏に修復を開始し、6年以内にすべての放射性廃棄物をユタ州に移送する予定である。1960年から1970年にかけて、ニュークリア・マテリアルズ・アンド・エクイップメント社(NUMEC)が44エーカー(18万㎡)の敷地に廃棄物を埋設した。

2024/6/11 新たな構築物と共にフェンスで囲われた、パークス・タウンシップの放射性廃棄物処分場(写真:Louis B.Ruediger/TRIBLIVE)