• ウクライナ・エネルゴアトム、戒厳令下でも国家原子力産業をダイナミックに発展
  • DOE長官: 大手ハイテク企業はデータセンターの電力供給にSMRを利用できる
  • アルゼンチン・アトーチャ長期運転プロジェクトに対する規制当局の安全目標
  • オランダ政府がボルセラ原子力発電所の株式購入の可能性
  • ホルテック、パリセーズ再開に向け地域社会を巻き込む
  • オーストラリア首相が原発批判、反発相次ぐ
  • GLE がパデューカ施設の用地取得に合意
  • 米国核燃料サプライチェーン、輸入禁止措置で復活の兆し
  • DOE 設計の鉄道車両が使用許可を取得
     

ウクライナ・エネルゴアトム、戒厳令下でも国家原子力産業をダイナミックに発展

ロシアがウクライナへの全面的侵略を続ける中でも、エネルゴアトムはウクライナの原子力発電の開発を続けている。同社は国際パートナーとの協力関係を強化することで、業界にとって目覚ましい成果を上げてきた。ウェスティングハウス(WH)と共同で、VVER-440型原子炉用ロシア製核燃料を米国製に置き換えた。WH技術による燃料集合体製造技術複合施設の建設の先行プロセスに着手。国内での小型モジュール炉(SMR)向けコンポーネント製造に向けホルテックの技術を導入する契約も締結した。エネルゴアトムとホルテックは、ウクライナ国内に乾式使用済燃料貯蔵向けコンポーネントの製造工場も建設する計画だ。フメリニツキー原子力発電所でWHのAP1000技術を採用した2ユニットの建設を開始した。発電所の敷地内では、同発電所3号機と4号機の修理と復旧作業も活発に行われている。

フメリニツキー1~6号機完成予想図(画像:エネルゴアトム)

 

DOE長官: 大手ハイテク企業はデータセンターの電力供給にSMRを利用できる

米バイデン政権は、データセンターのニーズに対応するため、クリーンエネルギーへのビッグテック投資を要請している、とDOEジェニファー・グランホルム長官は言う。ひとつの選択肢は、ハイテク企業が共同で小型モジュール炉(SMR)を使うことだ。「ハイテク企業が参入し、送電網からクリーン電力を引き出そうとするのであれば、電力も一緒に持ってくるべきだ」と同長官は言う。

DOEジェニファー・グランホルム長官は、2023/3/8、CERAWeekエネルギー会議でスピーチ。ロイター/キャラハン・オヘア/資料写真

 

アルゼンチン・アトーチャ長期運転プロジェクトに対する規制当局の安全目標

アルゼンチン原子力規制庁(ARN)は、アトーチャ1号原子力発電所の20年間の運転延長を目指すアップグレードと改善により、「施設の設計基準が、当初認可されたレベルよりも高い安全性レベルに引き上げられる」と述べている。運転事業者のアルゼンチン原子力発電会社(NA-SA)は、2024年から同ユニットの改修のための長期停止に着手する予定で、合計2~3年かかると見込まれている。ARNは、長期運転(LTO)プロジェクトの最新情報の中で、改善により「原子力発電所の安全性は当初の設計より向上する。これらの改善の選択は、安全性への影響、その適用性、および発電所の設計との関連での正当性を考慮し、ARNが要求し検討した広範な評価に基づいて決定された」と述べている。

アトーチャ1号はこれまで50年間稼働している(画像:NA-SA)

 

オランダ政府がボルセラ原子力発電所の株式購入の可能性

オランダ政府は、ボルセラ原子力発電所(旧西独KWU社製PWR、48万2000kWの単一ユニット)の運転が2033年以降も延長される決定が下された場合、同発電所の株式取得を検討すると述べた。2023年11月の選挙で成立した新連立政権は、現在、発電所運転事業者EPZおよび株主とともに、運転延長を可能にするために何が必要か調査中であると述べている。現在、ボルセラ電所の70%は、ゼーラント州やゼーラント州のさまざまな自治体などの地方自治体が所有するゼーラントエネルギー公社(ZEH)が所有。残り30%はドイツの電力会社RWEが所有している。内閣は、経済・気候政策省が「一定の条件の下で」株式移転の可能性について予備的な協議を開始することを決定した。「中央政府は、安全に実施できるという条件で、原子力発電所の運転期間を延長する決定権を政府に与える場合にのみ、株式購入を選択肢として考えている」と政府は述べた。

ボルセラ原発(画像:EPZ)

関連報道:

https://www.reuters.com/business/energy/dutch-government-considers-buying-shares-nuclear-power-station-2024-06-04/

 

ホルテック、パリセーズ再開に向け地域社会を巻き込む

ホルテック・インターナショナル社は、ミシガン州のパリセーズ原子力発電所の再開に向け、地域社会を巻き込んだオープンハウスを開催した。ホルテック社は透明性を約束し、安全性と使用済燃料廃棄物に関する懸念を和らげるためにこのイベントを開催した。同発電所は「安全性と信頼性において素晴らしい実績がある」と、ホルテックの政府広報担当シニアマネージャー、ニック・カルプ氏は言う。

ニック・カルプ氏(WWMT-TV (Kalamazoo, Mich.)の動画からのキャプチャ)

 

オーストラリア首相が原発批判、反発相次ぐ

オーストラリアのアンソニー・アルバニージー首相が、野党のピーター・ダットン党首が提案する大規模な原子炉の増設についてXに投稿したところ、批判が集まっている。この投稿は、原子炉の増設はオーストラリアの美しい自然を台無しにすると述べているが、Xのユーザーは、アルバニージー首相の労働党が支持している太陽光発電や風力発電のインフラは、特に見ていて心地よいものではないと反発している:「おかしな話だ。君らの政府は、あの手つかずの保護地域に太陽光発電や風力発電のタービンを設置するために何千キロもの開拓のゴーサインを出しているが、私なら原子炉の方がましだ」とあるユーザーは反応した。

アンソニー・アルバニージー首相は、野党の原子力推進を非難しようとしたことで激しい反発に直面している(画像:AAPIMAGE)

 

GLE がパデューカ施設の用地取得に合意

グローバル・レーザー・エンリッチメント (GLE)社は、ケンタッキー州に計画中のパデューカ・レーザー濃縮施設の用地を購入するオプションを付与する一連の契約を締結した。GLE は、オーストラリア開発のSILEXレーザー・ベース・ウラン濃縮技術の独占ライセンスを有しており、ノースカロライナ州ウィルミントンのテストループパイロット施設で 同 技術の実証に取り組みながら、パデューカ・レーザー濃縮施設 (PLEF) での商業規模の導入に向けた活動も進めている。GLE が取得する用地は、米国DOE(エネルギー省)の旧第 1 世代パデューカ・ガス拡散プラント (PGDP) に隣接した戦略的ロケーションにある。PGDP は数十年創業後、2013 年に閉鎖。この結果、大量の劣化テールウラン在庫が発生し、PGDP サイトで保管されている。

PLEFの計画図(画像:GLE)

 

米国核燃料サプライチェーン、輸入禁止措置で復活の兆し

米国がロシア産ウランの輸入を禁止したことで、米国の核燃料産業の復興が促進される見通しだ。ウレンコによれば、エネルギー生産者はロシア産ウランへの依存度を下げるために十分な行動をとっており、米国はその能力を備えているようだ。ウレンコの広報担当者は、「現在、十分な供給が可能であり、この10年の後半には新たな生産能力が稼動する予定です」と言う。

(画像: REUTERS/George Frey)

 

DOE 設計の鉄道車両が使用許可を取得

使用済核燃料と高レベル放射性廃棄物の輸送用に米国DOE(エネルギー省)が開発した鉄道車両「アトラス」が、米国鉄道協会 (AAR) により、米国のすべての主要貨物鉄道で運行できることが認定された。12軸の貨車には、ハイテクセンサーと監視システムが完備されており、最大48万ポンド(218トン)の商用使用済核燃料を安全性とセキュリティを担保して輸送できるように設計されている。DOEによると、貨車プロジェクトの完成には10年かかり、費用は約3,300万ドルだった。

鉄道車両アトラス(画像:DOE)

DOEプレス:

https://www.energy.gov/ne/articles/new-railcar-designed-transport-spent-nuclear-fuel-cleared-operation