- 中国・太平嶺原子力発電所1号機の格納容器建設が完了
- EPRI:データセンターのエネルギー需要は2030年までに2倍に
- 米DOE長官、原子力発電への幅広いコミットメントを要請
- EUは原子力を支持、各国のエネルギーミックスには口を出さない
- サスカチュワン州のSMR建設サイトはエステバンが候補
- ラスト・エナジー、マイクロ原子炉について NATO に助言
- ロスアトム、原子力発電所設備向け鋼材をレーザーで強化
- 意見: 原子力は国家安全保障の脅威ではない
- 米国、ガーナのSMR計画を支援する新たな協力を発表
- フィリピンDOE、原子力を推進する新部門を設立
- ロシア、ニジェール産フランス・ウラン資産に注目
太平嶺原子力発電所1号機の格納容器建屋の外側ドームのコンクリート打設が完了した。中国広核集団(CGN)は、中国広東省の同発電所サイト内に建設が予定されている華龍一号6基のうちの初号機の主要構造が完成したと発表した。太平嶺1号機の外側格納容器は、円筒構造、外部水タンク、半球形のドーム構造の3つの部分で構成されている。直径55m、高さ13m、重さ約420tの外側ドームはが内側ドーム上に設置された。
太平嶺1号の外側ドーム(画像:CGN)
EPRI:データセンターのエネルギー需要は2030年までに2倍に
データセンターは、2030年までに現在の2倍の電力を消費し、米国の全エネルギー消費の9%を占めると予想されると、米電力研究所(EPRI)が報告している。この傾向は人工知能(AI)の需要に起因するとしている同レポートは、4つの消費増加シナリオと送電網の潜在的課題を特定している。「1年から2年の接続リードタイム、信頼性の高い電力への需要、新たな炭素フリー電源からの電力への要求は、地域や地方における電力供給の課題を引き起こす可能性がある。」と言う。
EPRIの分析によると、データセンターは2030年までに米国の電力生産の9%を消費する可能性がある。Andrey Semenov、Getty Images経由
米国DOE(エネルギー省)ジェニファー・グランホルム長官は、ジョージア州のボーグル原子力発電所における2基の新しい原子炉の商業運転開始を祝い、米国内にあと98基の原子炉が必要であるとして、原子力発電へのより大きなコミットメントを呼びかけた。しかし、ジョージア州のプロジェクトにかかった費用は350億ドルで、見積もりを110億ドル超過しており、建設業者のサザン社は、これ以上の原子力プロジェクトに着手する計画はないとしている。
ジェニファー・グランホルム米DOE長官は、ジョージア州に350億ドルかけて建設された原子炉2基を視察し、原子力発電へのより強力な取り組みを訴えた。(APビデオ:シャロン・ジョンソン、マイク・スチュワート)
EUは原子力を支持、各国のエネルギーミックスには口を出さない
EUのカドリ・シムソンエネルギー担当委員は、「欧州SMR産業アライアンス」の初会合で、気候変動目標を支援するクリーン技術としての原子力を提唱した。シムソン委員は、加盟国は自国のエネルギーミックスを決定すべきだが、同アライアンスは2030年までにSMRのサプライチェーンを確立し、資金調達や安全性などの問題に対処することを目指していると強調した。
EUエネルギー担当委員は、原子力は気候目標の推進に活用されるべきクリーン技術だが、各国のエネルギーミックスを決めるのは加盟国の責任であるべきだと述べた。(画像:RIGZONE)
カナダ・サスカチュワン州のサスクパワー社は、2025年の最終建設予定地選定に先立ち、同州初の小型モジュール炉(SMR)の建設予定地2カ所を特定し、詳細な建設予定地分析を開始した。建設予定地はいずれも、同州南東部のエステバン地域にある。
エルボーとエステバンの調査地域の分析、サスクパワー社がプロジェクト全体を通じて継続する予定のパブリックコメント、先住民とのエンゲージメントの結果、バウンダリーダム貯水池とラファティ貯水池の2か所が「可能性の高い場所」として、さらなる調査対象に選定された。各候補地の詳細な評価がこれから始まる。同社は2025年初頭に最終的な建設地を選定し、2029年に最終投資決定を行う予定である。
バウンダリーダム・サイト(画像:サスクパワー)
米国のマイクロ原子炉開発企業ラスト・エナジーは、「NATOエネルギー安全保障センター」(ENSEC COE)と提携し、マイクロ原子力発電技術の軍事応用を共同で研究し、NATO 軍事施設への将来の配備の可能性を探っている。パートナーシップ契約が、ラスト ・エナジーのブレット・クーゲルマスCEO と ENSEC COE のディレクターであるダリウス ウズクライティス大佐によって署名され、ENSEC COE と原子力企業間で締結された初の契約となった。ラスト・エナジーの広報担当者によると、同社は ENSEC COE と共同で、NATO の軍事基地および施設向けのマイクロ原子炉の応用について研究するが、研究範囲は現在調整中であるという。ラスト・エナジーは、ENSEC COE 他の原子力関連業務全般について、産業界アドバイザーとしても活動する。さらに、NATO 基地にマイクロ原子炉を実際に配備する機会の模索など、他の共同プロジェクトを特定して取り組む予定。
ラスト・エナジープラント二次系(BOP)のレンダリング(原子炉は地下埋設)(画像:ラスト・エナジー)
ロシア国営企業ロスアトムは、原子力発電所のタービンポンプのローター部品の製造に、自社技術であるレーザー強化を適用した鋼材を初めて使用したと発表した。サンクトペテルブルクに拠点を置く機械工学中央設計局(CCBM)は、ウラジミール国立大学の専門家と共同で、製造製品の強度と耐摩耗性を向上させることを目指してこの技術を開発した。同局のアレクセイ・クズミン第一副局長は、レーザー強化により鋼鉄の表面硬度が1.5~2倍に向上し、損傷を防ぎ、最大9か月かかる部品の再製造の必要性を回避するのに役立つと述べた。
(画像:ロスアトム)
フィンランド・オルキルオト3号機がタービン異常で停止、翌夜運転再開見込
フィンランドのテオリスーデン・ボイマ社(TVO)が運転するオルキルオト3号機(160万kW, EPR)の発電は、6/3、タービンの故障により中断されたが、6/3~6/4の夜間に発電再開の予定。タービン施設で異常が検知されたため、6/3午前 11:41 に発電が自動停止。調査は迅速に開始され、原因は発電機のシール油と水素冷却剤の差圧測定の不具合であることが判明した。プラントは事象発生中も安全プロトコルに基づいて設計どおりに稼働していた。発電所ユニットは夜間に発電再開予定。本事象は原子力安全に影響を及ぼさなかった。
(画像:TVO)
NANOニュークリア・エナジー社のジェームス・ウォーカーCEOは、バイデン政権が最近発表した米国の原子力プロジェクト推進計画の中で、他のエネルギー源と比較して原子力の安全性を強調し、原子力にまつわる物語を変えることを提唱している。「原子力は最も安全なエネルギーだ。「廃棄物の量も最も少ない。しかも、時間が経つにつれて危険性が減っていくタイプの廃棄物でもある」。
核融合。トカマク内の高エネルギープラズマコアの 3D レンダリングされたイラスト。高度な核融合技術をシンボル化。(Getty Images/koto_feja)
5/28、アクラで開催されたアフリカ原子力ビジネスプラットフォーム会議で、ガーナにおける小型モジュール炉(SMR)の導入を推進し、同国を地域のSMR拠点として確立することを目標に、米国務省の「小型モジュール炉(SMR)技術の責任ある活用に向けた基本インフラ(FIRST)」プログラムの下で促進される2件の重要な協定の署名が発表された。ガーナ原子力委員会(GAEC)、カザフスタンを拠点とする政府間科学組織である国際科学技術センター(ISTC)、NuScaleの3者は、NuScaleのエネルギー探査(E2)センターおよび関連サービスをGAECに提供するための覚書(MoU)および契約取り決めに調印した。
米国のアン・ガンザー国務次官補(国際安全保障・不拡散担当)が、覚書調印式に業界および政府の代表者とともに出席した(写真:ガーナ駐在米国大使館)
フィリピンエネルギー省(DOE)は、同国における原子力利用を推進するため、原子力部門を新設した。資源計画・開発・評価課は、戦略の策定、フィリピン原子力研究所(PNRI)との調整、情報キャンペーンの実施に重点を置く。資源利用・監視課は、政策の実施、安全基準の確保、原子力発電所の監視を行う。
ロシアが、フランス国営企業オラノSAが現在所有するニジェールのウラン資産の買収交渉を進めていると報じられている。ロシアの国営原子力企業であるロスアトムは、2023年7月にニジェールで発生したクーデターを受けて、ニジェールの軍部主導の当局と買収について協議している。
ロシアはニジェールにあるフランスのウラン資産の支配権を狙っていると報じられている(写真:Business Insider Africa)
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