• エジプト・エル・ダバ1号機の内側格納容器の第1層が完成
  • スロバキアと韓国、原子力新設に関する協力を協議
  • ロールス・ロイス SMR モジュールの製造実証施設を建設へ
  • チップメーカーのニーズが台湾の原子力規則の変更を促す可能性
  • 米国NRC、原子炉認可更新に関する新規則を最終決定
  • 三菱重工、ITER核融合向け機器の追加契約を締結
  • 新興企業が放射性廃棄物で動作するダイヤモンド電池を開発
  • 先進的な原子炉には異なる防護のアプローチが必要
  • IAEA、放射性物質の不正取引は少ないと指摘

エジプト・エル・ダバ1号機の内側格納容器の第1層が完成

エジプトのエル・ダバ原子力発電所1号機(VVER-1200型)の内側格納容器構造物の第1層の完成は、20,000 人以上が働いている建設現場で、2024年に予想される重要なイベントの1つである。内部格納容器は円筒形の鉄筋コンクリート構造で、原子炉と一次冷却系機器を格納する。頂部にはドームがあり、外側格納容器構造とともに安全設計の重要な要素となる。内側格納容器の第1層は、 それぞれが重量 60~ 80トンのセグメント12基で構成される。

(画像:ロスアトム)

 

スロバキアと韓国、原子力新設に関する協力を協議

スロバキア共和国政府は、韓国、米国、フランスを潜在的なパートナーとみて、ボフニチェでの新設原子力発電プラントに関する提案の詳細を10月までに策定することを目指している。スロバキア共和国政府は先週、既設ボフニチェ原子力発電所近くに新たに電気出力120万kWの発電所を建設する計画を正式に承認した。政府は経済省に対し、10月末までに計画の詳細を策定するよう要請した。政府会議と決定は5/15、ロベルト・フィツォ首相暗殺未遂の前に行われた。首相は重篤だが状態は安定しており、病院で快方に向かっていると伝えられている。スロバキア共和国のユライ・ブラナール外務・欧州問題大臣は先週韓国を訪問し、韓国の趙兌烈(チョ・テヨル)外交部長官と二国間協力を戦略的パートナーシップの地位に拡大することについて会談した。

ボフニチェでは2基のユニットが営業運転中(画像:スロバキア電力)

 

ロールス・ロイス SMR モジュールの製造実証施設を建設へ

ロールス・ロイスSMR社は、英国サウスヨークシャー州シェフィールドに小型モジュール式原子炉(SMR)用のプロトタイプモジュールを製造・試験する施設を建設する計画を発表した。ロールス・ロイスSMRモジュール開発施設の第1段階は、シェフィールド大学「先進製造研究センター(AMRC)」の既存の「ファクトリー 2050」 施設内に270万ポンド (5億3,600万円)を投じて設置される。ロールス・ロイスSMRは、これが同社のSMRプログラムの「リスクをさらに軽減し、支える」1,500万ポンド(30億円)以上に相当する広範な作業パッケージの一部となると述べた。

ロールス・ロイスのSMR工場では、数百のプレハブ・事前テスト済モジュールを製造し、サイトで原子力発電所を組み立てて完工する(画像:ロールス・ロイスSMR)

関連報道:

https://www.msn.com/en-gb/cars/news/rolls-royce-signs-15m-deal-to-test-mini-nuclear-reactors-in-sheffield/ar-BB1mIqEa?ocid=BingNewsSearch

 

チップメーカーのニーズが台湾の原子力規則の変更を促す可能性

台湾の国会議員は、TSMC(台湾積体電路製造)の電力使用量がますます増加していくため、エネルギーミックスにおける原子力比率に関する規則を変更することを検討する意向である。郭智輝次期経済部長は、原子力をクリーンなエネルギー源と考えていると述べた。

(画像:TSMC)

 

米国NRC、原子炉認可更新に関する新規則を最終決定

米国NRC(原子力規制委員会)は、原子炉の運転認可更新申請を検討する際に使用する包括的環境影響評価書(GEIS)の最終規則および対応する更新を発表する。NRCの現委員4名全員が5/16、この規則の承認に賛成した。この規則は、NRC規則10CFR51「国内認可および関連規制機能に関する環境保護規制」に基づく規則を改正し、環境審査プロセスで評価の対象となる潜在的な環境影響問題を改正するもの。 この規則は、NRC委員の指示による変更をNRCスタッフが取り入れた後に発行され、連邦官報に掲載されてから30日後に発効する。

 

三菱重工、ITER核融合向け機器の追加契約を締結

日本の三菱重工業(MHI)は、国際熱核融合実験炉(ITER)で使用されるダイバータ外側垂直ターゲット12基を追加で供給する契約を獲得した。同社はすでに6基のコンポーネントを受注している。この契約金額は明らかにされていないが、日本の量子科学技術研究開発機構(QST)によって発注され、2021年に受領した6ユニット(1~6号機)の製造に関する最初の生産受注に続くものである。追加の12 ユニット(7~ 18号機)により、三菱重工は合計 54 基の外側垂直ターゲットのうち 18基を製造することになる。三菱重工によると、これらのユニットの生産は順次完了し、QSTへの納入は2026年に開始される予定だという。

(画像:MHI)

三菱重工プレス:

https://www.mhi.com/jp/news/240520.html

 

新興企業が放射性廃棄物で動作するダイヤモンド電池を開発

ナノ・ダイヤモンド・バッテリー(NDB)社は、28,000年の寿命があるとされる放射性廃棄物を利用したバッテリーを開発した。このバッテリーには、リサイクルされた放射性同位元素からエネルギーを吸収する単結晶ダイヤモンドが含まれている。同社はすでに「ダイヤモンド・ニュークリア・ボルタイック」と呼ばれる試作機を作成している。この電気自動車の場合、バッテリーは90年間の充電なしに作動するという。このバッテリーは航空宇宙産業だけでなく、自動車、家庭用電化製品、または医療技術 (ペースメーカー、補聴器) においても有望な将来をもたらす可能性があるとされている。

「ダイヤモンド・ニュークリア・ボルタイック」(画像:MITECHNEWS.COM)

 

先進的な原子炉には異なる防護のアプローチが必要

先進的な原子炉ではサイバーセキュリティを強化する必要があり、既往の原子炉とは異なるセキュリティが必要である。サンディア国立研究所(SNL)とアイダホ国立研究所(INL)の研究者らは、強力で費用対効果の高い防護が求められる中、物理的防護(PP)とサイバーセキュリティの設計を更新することを目指している。

 一般的なマイクロ原子炉施設の物理的防護システム の設計 (画像:SNL)

 

IAEA、放射性物質の不正取引は少ないと指摘

IAEA(国際原子力機関)の核物質・放射性物質の不正取引に関するデータによると、2023年の「不正取引または悪意のある使用」に関連する事件は6件で、2022年に比べてわずかに増加したが、2021年に記録された件数よりは減少した。145カ国に関するIAEAのデータによると、「2023年には31カ国から168件の事象の記録があり、過去の平均と同程度であった。」という

2024/4/11 IAEA本部 (写真:REUTERS/Leonhard)