• 英国政府がスコットランドに小型原子炉建設を計画か
  • 欧州最大の原子炉が保全作業の遅れから再稼働
  • 米DOE、「国益」のためのエネルギー回廊を提案
  • 第4世代原子力発電システム開発向けのスウェーデンのプロジェクト
  • ウガンダ、ウラン生産の可能性に注目
  • 英国、トカマク建設に向けた産業界パートナー2社を募集
  • EU、英国にITER作業のためEURATOMへの加盟を求めるとの報道
  • 英国、原子力人材増強計画を策定
  • 米CDC、食品照射が病気を減らす可能性があると指摘
  • 世界最強の試験用原子炉を詳しく見る
     

英国政府がスコットランドに小型原子炉建設を計画か

英国政府は、スコットランド政府の反対にもかかわらず、スコットランドに新しい原子炉を建設する計画を進めている。英国政府スコットランド大臣のアリスター・ジャック氏は、英国議会貴族院委員会で、エネルギー相に対し、英国全体の戦略の一部としてスコットランドに小型炉1基の建設を含めるよう要請した。

アリスター・ジャック・スコットランド大臣(Getty)

 

欧州最大の原子炉が保全作業の遅れから再稼働

フィンランドのオルキルオト原子力発電所3号機(OL3)が、4/8終了を予定されていた保全作業を終え、発電を再開した。発電所所有者のテオリスーデン・ボイマ社(TVO)によると、遅れの理由は、ヨーロッパ最大の原子炉が停止するのに予想以上の時間を必要とした点や、メンテナンス中に検出された技術的問題などのためだという。

5月初旬、OL3の前でTVOの主任技術者テーム・レッパネン氏。 画像: サムリ・ホロパイネン/Yle

 

米DOE、「国益」のためのエネルギー回廊を提案

米国DOE(エネルギー省)は、10の「国益送電回廊(NIETC)」を提案し、現在、パブリックコメントを求めている。NIETCの指定により、コストを抑え、容量の高騰を抑えながら送電を円滑化し、再生可能エネルギーをより活用するためのプロジェクトに対して、連邦政府の資金援助と許認可を開放するものである。

(画像:DOE)

 

第4世代原子力発電システム開発向けのスウェーデンのプロジェクト

スウェーデン・エネルギー庁は、ヨーテボリのチャルマース工科大学の研究者が主導する第4世代原子力発電システム全体の開発プロジェクトに5,000万スウェーデン・クローナ(7.3億円)を助成した。 このプロジェクトはまた、原子力科学技術における国家的専門知識を再構築することも目的としている。「スウェーデンの第 4 世代技術と専門知識のための学際的取り組み(MUST)」 プロジェクトには、チャルマース工科大学、王立工科大学 (KTH)、ウプサラ大学、ルンド大学の研究者が参加。 これは、スウェーデンの既存の原子力科学研究センターであるウプサラ大学の「持続可能なエネルギーの未来を達成するための産学原子力技術イニシアチブ(ANItA)」とKTHの「スウェーデンの持続可能な原子力エネルギー研究(SUNRISE)」を強化するものであり、第4世代システムにおける持続可能な発電と資源利用に明確に焦点を当てる。シャーンフル・ネキスト社は、MUSTプロジェクトの商業パートナーとして、「エネルギー市場向けの最先端の研究と実用的でスケーラブルなソリューションの橋渡し」となる商業的な視点と専門知識をもたらすと述べた。

プロジェクトコーディネーターのチャルマース工科大学クリスチャン・エクベリ原子力化学・工業材料リサイクル教授(画像:シャーンフル・ネキスト)

 

ウガンダ、ウラン生産の可能性に注目

ウガンダ政府は、IAEA(国際原子力機関)の「統合ウラン生産サイクルレビュー(IUPCR)」ミッションを受け入れ、2,400万kWの原子力発電容量計画を支援するためのウラン生産の可能性を検討している。

エネルギー・鉱物開発担当国務大臣(鉱物担当)のフィオナ・ニャムトロ氏が IUPCR の使命についてスピーチ。(画像:ウガンダ政府/X)

 

英国、トカマク建設に向けた産業界パートナー2社を募集

英国の球状トカマク型エネルギー生産(STEP)核融合発電所建設計画には、5/22から始まる産業界パートナー募集のコンペが含まれている。英国は、英国原子力公社(UKAEA)が運営するインダストリアル・フュージョン・ソリューションズ社に、エンジニアリング・パートナー1社と建設パートナー1社との協力を求めている。

同発電所はノッティンガムシャー州の石炭火力発電所跡地に建設される(画像:The Chemical Engineer)

 

EU、英国にITER作業のためEURATOMへの加盟を求めるとの報道

EUは、英国が欧州原子力共同体(EURATOM)に再加盟しない限り、国際熱核融合実験炉(ITER)の開発に参加し続けることはできないと英国に伝えた、と情報筋が伝えた。英国は外部パートナーとしてこのプロジェクトに参加することを望んでいるが、EUは、英国がEURATOMの研究プログラムにも参加する場合に限り、ITERに参加できると述べたという。

ITER核融合プロジェクトで組み立て中のモジュール 写真:Nicolas Tucat/AFP via Getty Images

 

英国、原子力人材増強計画を策定

英国で、将来の原子力セクターに労働力を引き付け、維持することを目的として、セクター間の協力、研修への投資、リーダーシップ開発、多様性の改善に基づく、新しい原子力産業のスキル「ロードマップ」が立ち上げられた。チャーターへの署名とともに発足した政府支援の「スキルのための国家原子力戦略計画」は、2026年までに新規実習生の数を倍増させ、2030年までにこの分野の現在の雇用率の2倍である4万人の新規雇用を確保するという目標に裏付けを与えるものとなる。

左から右へ、原子力スキルチャーターの署名に出席したアマンダ・ソロウェイ物価・技能大臣、 サイモン・ボロム原子力スキル・タスクフォース議長、国防省のジェームズ・カートリッジ国防調達大臣(画像:原子力スキル・デリバリー・グループ)

 

米CDC、食品照射が病気を減らす可能性があると指摘

米国疾病予防管理センター(CDC)の分析によれば、2009年から2020年にかけて発生した食中毒の32.2%は、放射線照射の対象になり得るにもかかわらず照射されなかった食品に起因している。食品照射の導入は、コストと消費者が照射食品を避ける可能性のために制限されているが、CDCは疾病を減少させるために食品照射を優先させる必要性を指摘している。

画像クレジット: RENATOK (Pixabay経由)

 

世界最強の試験用原子炉を詳しく見る

アイダホ国立研究所(INL)の改良型試験炉(ATR)は、中性子物理学者デスロンド・ド・ボアブランが考案した先駆的なクローバー葉型炉心設計を持つ、世界で最も強力な試験炉だ。この形状は9つの試験スポットを提供し、他の試験炉よりもはるかに迅速にデータを得ることができる。

ATR炉心設計概念図(EastIdahoNews.comの動画からのキャプチャ)