• 島根2号機再稼働延期
  • G7が認めた気候目標達成における原子力の役割
  • 中国・陸豊 5 号の格納容器内側ドームを所定の位置に据え付け
  • ハンガリー・パクシュ II期プロジェクト向け原子炉容器の鍛造作業が開始
  • 韓国水原とEDF、チェコの新規ユニット4基に対して最新の入札を提出
  • EU、チェコ政府にドコバニ5号機増設への資金援助を承認
  • GE日立、SMR 導入をサポートするサプライヤ・グループを立ち上げ
  • タイ、シーボーグの溶融塩炉パワー・バージの展開を検討
  • CEO、ワイオミング州を原子力発電サプライチェーン・ハブにする構想
  • 米国でさらなる原発の運転再開の可能性
  • バイデン大統領、大統領令でロシアからのウラン輸入を禁止する可能性

島根2号機再稼働延期

中国電力島根原子力発電所2号機(BWR)は予定の8月には再稼働しない。 同社は2号機の安全対策を完了させるため、さらに時間を必要としている。(読売記事によると12月再稼働。営業運転再開は2025年1月)

松江市にある中国電力島根原子力発電所2号機(左)。読売新聞資料写真

日本語情報:

https://www.yomiuri.co.jp/science/20240430-OYT1T50123/

 

G7が認めた気候目標達成における原子力の役割

イタリアのトリノで開催された先進7か国(G7)気候・エネルギー・環境閣僚会合の終了時に発表されたコミュニケには、G7は原子力利用を選択する国々での原子力利用を支援することにコミットすると述べられた。

「原子力の使用を選択あるいは支持する国々は、気候危機に対処し、世界のエネルギー安全保障を改善するために化石燃料への依存を減らすことができるクリーン/ゼロエミッションのエネルギー源としての原子力の可能性を認識している」と文書には述べられている。

閣僚らはまた、新型炉や小型モジュール炉を含む新しい原子炉設計は、「安全性と持続可能性の向上、生産コストの削減、プロジェクトのリスクの軽減、廃棄物管理の改善、社会的受容性の向上、エネルギー、高温熱、水素の併給による産業の発展などのさらなる利益を将来もたらす可能性がある」とも述べた。

また閣僚らは、原子力サプライチェーンの強靱性を強化するための多国間の取り組みを支援し、ロシアからの民生用原子力関連製品への依存を削減することに引き続きコミットしていること、また、ロシア設計の原子炉を運転する国々が代替核燃料契約の確保を進め、スペアパーツやコンポーネントやサービスに関連する依存を削減するための継続的な努力に取り組んでいることに留意した。

G7閣僚会合(画像:G7イタリア)

 

中国・陸豊 5 号の格納容器内側ドームを所定の位置に据え付け

中国広東省の陸豊原子力発電所5号機に内側格納容器ドームが据え付けられた。これは、同サイトで建設中の2基の華龍一号( HPR1000) のうちの1基目であり、4基のCAP1000も計画されている。直径45m、高さ約14m、重さ約238tの鋼製ドームは、1600tクローラクレーンを用いて吊り上げられ、二重格納容器構造の壁の上に据え付けられた。この後、外側ドームが内側ドームの上に据え付けられる。ドームは原子炉建屋屋上となり、主な機能は原子炉建屋の健全性と気密性を確保することであり、放射性物質の閉じ込めにおいて重要な役割を果たす。中国広核集団有限公司(CGN)は、4/29午前8時8分に始まった内側ドームの吊り上げ作業は1時間8分で完了したと発表した。

ドームが所定の位置に吊り上げられる(画像:CGN)

格納容器頂上のドーム(画像:CGN)

 

ハンガリー・パクシュ II期プロジェクト向け原子炉容器の鍛造作業が開始

ハンガリーのパクシュ市長も、ロスアトムが建設中のパクシュII期原子力発電所の1号機原子炉容器向けブランク(半加工品)の鍛造開始を視察するためにロシアに出張した。ピーテル・サボ市長とパクシュ II社 のゲルゲリ・ヤクリCEOは、サンクトペテルブルクの AEMスペツタル工場での生産開始を視察した。ヤクリCEOは、「我々は、パクシュ原子力発電所の新しい発電装置を2030年代初頭までに確実に送電網に接続できるよう取り組んでいる。このための作業は、パクシュの建設サイトとハンガリーから数千キロメートル離れた場所の両方で並行して進んでいる」と述べた。「...鋳造の開始後、原子炉容器のシェル製造の初期段階を間近で見ることができることは我々にとって重要だ。」

最終的な原子炉容器の寿命は100年になる可能性がある(画像:Strana Rosatom)

(画像:Strana Rosatom)

 

韓国水原とEDF、チェコの新規ユニット4基に対して最新の入札を提出

国営チェコ電力(ČEZ:チェズ)とその子会社ドコバニⅡ原子力発電会社(EDU Ⅱ社)は、チェコ共和国での新たな原子力発電所4基の建設について、韓国水力原子力(KHNP)とフランスのEDFから拘束力のある入札を受けた。フランスと韓国の入札者に加え、ウェスティングハウス社は、10月にドコバニ原子力発電所5号機について拘束力のある入札を提出し、さらに最大3基(ドコバニ6号、テメリン原子力発電所の2基増設)向けに非拘束の入札を提出していた。 しかしチェコ政府は2月、入札を4基増設の拘束力のあるものに変更すると発表し、ウェスティングハウスは「必要な条件を満たしていない」として含まれていなかった。

ドコバニ サイトでは現在4基台の VVER-440 ユニットが運転中 (画像: CEZ)

 

EU、チェコ政府にドコバニ5号機増設への資金援助を承認

チェコ共和国政府は、エネルギー安全保障を強化し、二酸化炭素排出量を削減するための新しい原子力発電所の建設資金を援助する許可をEUから得た。既設ドコバニ原子力発電所サイトに120万キロワットの5号機を建設し、2036年から2096年にかけて運転する計画である。

2021/4/18、ロシア・モスクワのチェコ大使館にはためく欧州連合とチェコ共和国の旗。ロイター/シャミル・ズマトフ/ファイル写真

 

GE日立、SMR 導入をサポートするサプライヤ・グループを立ち上げ

BWXT カナダ社は、BWRX-300小型モジュラー炉 (SMR) の世界展開の推進に向け、GE 日立ニュークリア・エナジー(GEH)の認定サプライチェーン企業グループに参加した最初の企業となった。ジェネラル・エレクトリック(GE)が3社に分社してエネルギー事業を継承したGEベルノバで、原子力事業を受け持つGEHは、電気出力30万kWの沸騰水型原子炉BWRX-300の設計の製造と商業化に向け、信頼性、コスト効率が高く、革新的なプロセスを保証するためにサプライヤ・グループを設立すると述べた。 事前に定義された基準、顧客要件を満たし、BWRX-300 サプライ チェーン機能に投資する意欲を示しているサプライヤーは、グループに選出される資格を持つ。BWXTカナダはすでにオンタリオ・パワー・ジェネレーション(OPG)のダーリントン原子力新設プロジェクト向けBWRX-300原子炉圧力容器のエンジニアリングを契約している。 BWXTは最近、オンタリオ州ケンブリッジにある原子力機器製造工場に8,000万カナダドル(92億円)を投資すると発表していた。

GEH最高調達責任者(CPO)のダリオン・ジェラルズ氏、ジェイ・ワイルマン氏、ジョン・マッカリー氏、GEH原子力サプライチェーンリーダーのキンバリー・ペリー氏が、BWXTが適格サプライヤ・グループに加わるこの機会を祝った(画像:GEベルノバ)

 

タイ、シーボーグの溶融塩炉パワー・バージの展開を検討

タイで、革新的かつ持続可能な電力を標榜する電力会社グローバル・パワー・シナジー社(GPCL)は、デンマークのシーボーグ・テクノロジーズ社とタイにおける小型溶融塩炉 (CMSR)パワー・バージ の展開の可能性を検討する覚書を締結した。この覚書に基づき、タイ国営石油・ガス会社PTTグループの子会社であるGPSCとシーボーグは、タイにおけるネットゼロへの移行を支援するためにCMSRパワー・バージをどのように活用できるかを評価することになる。 彼らはこの評価を利用して、CMSR パワー・バージの商業展開が実現可能で商業的に実行可能な初期プロジェクトの範囲を絞り込む。

GPSCとシーボーグ間の覚書締結(画像:GPSC)

 

CEO、ワイオミング州を原子力発電サプライチェーン・ハブにする構想

BWXテクノロジーズ社は、L&Hインダストリアル社との提携により、ワイオミング州全域にわたる工業用地に5万キロワットのマイクロ原子炉を展開することを目指している。子会社のエバーコア・エナジー社は、コージェネレーションシステムから供給されるエネルギーの所有、運転、リースを行い、L&Hインダストリアル社のマイク・ワンドラー社長兼CEOは、ワイオミング州に原子力発電のサプライチェーン・ハブを設立することを構想している。

 

米国でさらなる原発の運転再開の可能性

ホルテック・インターナショナル社は、ミシガン州のパリセーズ原子力発電所の運転を再開させるため、3月に米DOE(エネルギー省)から融資を受けた。DOE融資プログラム局(LPO)のジガー・シャー局長は、他の発電所も運転再開は可能であり、おそらく再開させるべきだと言う。原子力エネルギー協会(NEI)のダグ・トゥルー最高原子力責任者(CNO)によれば、閉鎖されたすべての原発が簡単に運転再開できるわけではないが、他の企業も運転再開が理にかなっているかどうかを検討しており、エネルギー価格や環境問題への取り組みから、運転再開を検討する企業も出てくるかもしれないと言う。

2010年、パリセーズ原子力発電所。写真家: John Madill/The Herald-Palladium

 

バイデン大統領、大統領令でロシアからのウラン輸入を禁止する可能性

バイデン政権は、ロシアからの濃縮ウランの輸入を禁止する大統領令の発布を検討していると報じられている。アメリカの商業用原子炉で使用される濃縮ウランの約25%はロシアから輸入されており、年間約10億ドルをロシアに供給している。

(画像:Liens/iStock via Getty Images)