• IAEAタスクフォース:日本のALPS処理水放出は計画通り進捗
  • ZNPP解放の確保に向け全世界からロシアへの圧力が必要:ゼレンスキー大統領
  • タス通信:ロシア国防相がザポロジェ原子力発電所に対する攻撃を非難
  • ウクライナ・エネルギー大臣が日本政府代表と公式会談、日本は引き続き支援
  • UAE、第二原子力発電所の建設を検討中
  • IAEA:ポーランドの原子力開発計画は順調に進捗
  • ポーランド・インダストリアとロールス・ロイスのSMR計画が一歩前進
  • ドイツの閣僚が原子力発電所の報告書を改ざんしたと非難される
  • ブルースB真空建屋で10年毎のオーバーホールが始まる
  • WEC2024サイドイベント:送電網の課題で原子力の必要性が高まる
  • フラマトムがリンチバーグサイトの拡張に着工
  • ザップ・エナジー、核融合での正味のエネルギー利得のハードルをクリア
  • デュアルトレーサー PET/CT は肝がん患者に有望
  • 工学部の学生がハンフォード廃棄物測定器の開発に協力
     

IAEAタスクフォース:日本のALPS処理水放出は計画通り進捗

日本の福島第一原子力発電所からの処理水の放出は、原子力規制委員会(NRA)が承認した実施計画に従って進んでいることを、IAEA(国際原子力機関)が設置したタスクフォースが確認した。タスクフォースは、2023年8月の放出開始以来2度目となる日本への4日間のミッションを完了。 処理水は国際安全基準に適合している。2023/8/24の処理水放出開始以来、放出された5バッチのIAEA専門家分析により、これまでに放出されたALPS処理水の各バッチ中のトリチウム濃度が日本の運用限界をはるかに下回っていることを確認した。

4/23~26までのミッション中、IAEAと国際専門家で構成されるタスクフォースは、ALPS処理水の放流に使用される各施設を実地検分し、 経済産業省、NRAとも会談した。タスクフォースのグスタヴォ・カルーソ委員長(原子力安全・核セキュリティ局調整官)は、「タスクフォースは、ALPS処理水放流の事前準備及び作業遂行と、関連する国際安全基準との整合性をレビューした。我々は進行中の長期的な取り組みに焦点を当てており、IAEA及びタスクフォースの独立した科学に基づく活動はプロセス全体にわたって継続される。」と述べた。

カルーソ委員長(画像:経済産業省)

経済産業省プレス:

https://www.meti.go.jp/press/2024/04/20240426004/20240426004.html

 

ZNPP解放の確保に向け全世界からロシアへの圧力が必要:ゼレンスキー大統領

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、1986/4/26に発生したチョルノービリ原発事故の記念日に当たり、ザポリージャ原子力発電所(ZNPP)を占領者から確実に解放するようロシアに圧力をかけるよう世界に呼びかけた。

「これまで785日間、ロシアのテロリストはザポリージャ原子力発電所を人質に取っている。そして、ZNPPが解放されて完全なウクライナの管理下に戻ること、そしてウクライナのすべての原子力施設がロシアの攻撃から確実に保護されるようにロシアに圧力をかけることは全世界の責任である」とゼレンスキー氏は書いている。

ウクライナ大統領ヴォロディミル・ゼレンスキー (ヴィタリー・ノザッハ、RBC-ウクライナ)

 

タス通信:ロシア国防相がザポロジェ原子力発電所に対する攻撃を非難

アスタナで開催された上海協力機構(SCO)参加国の国防相会議でロシアのセルゲイ・ショイグ国防大臣は、西側「アドバイザー」らがロシア領土内でウクライナによる破壊活動を準備していると非難し、キエフ(ウクライナ政府)によるザポロジェ原子力発電所砲撃が「壊滅的な結果」をもたらす可能性を警告し、特別軍事作戦のすべての目標は達成されると保証した。

ロシア国防大臣セルゲイ・ショイグ 写真: Vadim Savitsky / ロシア国防省報道局 /タス

 

ウクライナ・エネルギー大臣が日本政府代表と公式会談、日本は引き続き支援

ウクライナのヘルマン・ハルシチェンコ・エネルギー大臣率いるウクライナ代表団が日本を公式訪問し、大臣は日本政府の代表者、上川陽子外務大臣、岩田和親経済産業副大臣、市川恵一内閣官房副長官補らと会談した。両国は、ウクライナのエネルギーセクターの緊急復興における二国間協力と日本側からの支援の問題について議論した。

原子力分野における協力と原子力の安全性の確保についても、個別に議論された。ヘルマン・ハルシチェンコ氏は、日本の積極的な取り組みと、ゼレンスキー大統領の「平和のフォーミュラ」の規定を実施するための「原子力安全・放射線安全」作業部会の共同議長を務めたことに感謝の意を表した。 一方、日本側の代表者は、原子力安全の確保と復旧・復興に関する経験を共有する用意があると述べた。

(画像:外務省)

外務省プレス:

https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/pressit_000001_00646.html

 

UAE、第二原子力発電所の建設を検討中

アラブ首長国連邦(UAE)は、4基の原子炉を備えた第二の原子力発電所の建設を計画しており、これにより同国は8基の原子炉を持つことになる、と情報筋は述べている。UAEは2032年までの稼働を目指しており、早ければ2024年中に建設を開始したいとしている。

2023/9/27、UAEのアブダビで、スカイラインを背景にスクーターに乗る人。ロイター/アムル・アルフィキー/ファイル写真

 

IAEA:ポーランドの原子力開発計画は順調に進捗

IAEA(国際原子力機関)のレビュー・ミッションは、ポーランドにおける安全で持続可能な原子力発電計画に必要なインフラを開発するために講じられた措置を賞賛した。 一方、ベクテル社は、同国初の原子力発電所サイトでの現地調査を開始した。

ポーランドへの11日間のIAEA統合原子力基盤レビュー(INIR)フェーズ2ミッションは、ポーランド政府の招待により4/15~25に実施され、IAEAのマイルストーンアプローチを用いて19の原子力インフラ課題の状況をレビューした。

米国企業ベクテルは、ポモージェ県ホチェボ自治体にあるルビアトボ–コパリノ・サイトで、ポーランド初の原子力発電所の地質調査を開始。これを記念してワルシャワ事務所で象徴的なキックオフ式典を開催した。

IAEA報告書草案を手渡す(画像:ポーランド気候省)

 

ポーランド・インダストリアとロールス・ロイスのSMR計画が一歩前進

ポーランドのインダストリア社は、ロールス・ロイス社のSMR技術を使用した小型モジュール式原子炉プラントの建設計画を次の段階に進めるために必要な閣僚の意見をすべて得たと発表した。2023年、ポーランド国営の産業開発会社(Industrial Development Agency JSC, IDA)の一部であるインダストリア社は、ポーランドの中央水素クラスターのゼロエミッションエネルギー目標を達成し、年5万トンの低炭素水素を生産する計画の一環として、ロールス・ロイスのSMR技術を選択した。インダストリアは12月に原則決定の申請書をポーランドの気候環境大臣に提出しており、最後に必要とされた意見の受領できたことを歓迎している。

2023年に撮影されたロールス・ロイス SMR のウッズ戦略ディレクターとインダストリアのルーマン理事長(画像:ロールス・ロイス SMR)

 

ドイツの閣僚が原子力発電所の報告書を改ざんしたと非難される

ドイツのある雑誌によると、環境・経済両省に所属する緑の党の2人の幹部が、ロシアがウクライナに侵攻した後に起こったエネルギー危機を防ぐために、国内の原子力発電所を稼働させ続けることを示唆する技術報告書を書き換えたという。書き換えられたとされる報告書は、原発を計画通りに停止させる代わりに稼働させ続けることは危険で無責任であると述べている。

最後の原子力発電所の閉鎖を強行するというドイツの決定は、批評家によって「狂気」の烙印を押された  クレジット: Ina Fassbender/AFP

 

ブルースB真空建屋で10年毎のオーバーホールが始まる

カナダのブルースB原子力発電所では、1億9,000万カナダドル(220億円)を投じて、安全上不可欠な真空建屋を3週間かけてオーバーホールする作業が開始された。 真空建屋は複数ユニットを有する CANDU炉発電所に特有のもので、 事故発生時に蒸気と高温ガスを原子炉建屋から真空建屋に排気することで原子炉建屋内の圧力を迅速かつ安全に下げるよう設計されている。真空建屋は環境への放射能の放出を防ぐ追加の保護バリア機能を提供する。

真空建屋の検査と保守は10年毎に実施する必要があるが、プラントの4つの運転ユニットすべてが停止している場合にのみ実行できる。4/24に始まった真空建屋保守(VBO)は、広範な計画、リソース、調整の集大成であり、オンタリオ州の独立電力システム事業者(IESO)と送配電サービスプロバイダーのハイドロ・ワンと協力して実施されている。

(画像:ブルース・パワー)

 

WEC2024サイドイベント:送電網の課題で原子力の必要性が高まる

世界的な電力需要の大幅な増加が予想されており、それには発電と送電システムの両方の拡張が必要になると、2024年世界エネルギー会議(WEC2024)のサイドイベントの講演者らが同意した。 原子力は将来の電力システムのレジリエンスを確保する上で重要な役割を果たすだろうと彼らは述べた。このパネルセッション「低炭素でレジリエンスのある電力システムの構築」は、世界原子力協会(WNA)、国連欧州経済委員会(UNECE)、電力研究所(EPRI)の共催で、オランダのロッテルダムで4/22~25に開催されたWEC2024に合わせて開催された。

パネル(画像:WNN)

 

フラマトムがリンチバーグサイトの拡張に着工

フラマトム社は、米国バージニア州リンチバーグにあるオペレーショナル・ センター ・オブ・エクセレンスの 5,000 万ドルを投じての拡張工事に着工した。このセンターでは、北米の既設原子力発電所向けサービスと保守に特化したトレーニングとツールを提供し、先進炉および小型モジュール炉向けのソリューションを開発している。

(画像:フラマトム)

フラマトムプレス:

https://www.framatome.com/medias/framatome-breaks-ground-on-50-million-expansion-in-lynchburg-va-20703/ 

関連報道:

https://www.wfxrtv.com/news/local-news/framatome-breaks-ground-on-50-million-lynchburg-expansion/

 

ザップ・エナジー、核融合での正味のエネルギー利得のハードルをクリア

Physical Review Letters誌に掲載された論文によると、ザップ・エナジー社は、せん断流安定化(SFS)Zピンチ・アプローチによって、1〜3keVのプラズマ電子温度に到達し、核融合での正味のエネルギー利得を得るハードルをクリアした可能性がある。ザップ・エナジーのフュージョンZ-ピンチ実験の背後にある技術は、強力な磁石やレーザーを必要とせずに電磁場を発生させるプラズマの細いフィラメントに電流を流すことである。

FuZE (核融合Zピンチ実験) プラズマからの明るい閃光 (写真:ザップ・エナジー)

 

デュアルトレーサー PET/CT は肝がん患者に有望

4/25にJHEP Reports誌に掲載された香港大学の研究者らによる研究によると、フッ素18(F-18) FDGと炭素11(C-11)アセテート(酢酸)を組み合わせたデュアルトレーサーPET/CTは、治療の評価を受けている肝細胞がん(HCC)患者の腫瘍病期分類を改善するのに有益であると考えられる。中国の香港大学の研究者らが率いるグループは、このアプローチがCTやMRIよりも病期分類を受けている患者の病気を12%多く検出し、かなりの数の症例で治療法の変更につながったことを発見した。この結果は、この新たな技術を検証するものと研究グループは指摘した。

HCCは世界のがん関連死亡原因第3位で、年間 80 万人以上が死亡している。現在、CTとMRIは診断された患者を評価するための画像診断手段として選択されているが、小さな病変や転移性沈着物を見逃すことがわかっていると著者らは言う。F-18 FDG・C-11アセテート・デュアルトレーサーPET/CTは、小規模な研究でHCCの検出において優れた感度と特異性を示したと言う。

(画像:JHEP Reports)

 

工学部の学生がハンフォード廃棄物測定器の開発に協力

ハンフォード・サイトの請負業者であるワシントン・リバー・プロテクション・ソリューションズ社とワシントン州立大学の工学部の学生たちは、レーダーを使って地下タンク内の放射性廃棄物や化学廃棄物の深さを測定する装置の開発に協力した。「この卒業プロジェクトが構想から現場での使用へと進むのを見るのは、とてもエキサイティングなことだ」と、DOE(エネルギー省)のハンフォード・タンク廃棄物作業担当副アシスタント・マネジャーのポール・シュローダー氏は言う。「このようなパートナーシップは、学生に実体験を提供し、ハンフォードの浄化ミッションにも貢献する。」

ハンフォード作業員らは最近、レーダーを使用して地下タンク内の廃棄物の深さを測定する新しいツールを採用した (写真:DOE)