• IAEAのグロッシ事務局長が来日、処理水排出のレビューと原子力発電容量について語る
  • IAEA事務局長:ZNPPの職員立ち入り禁止での安全問題はない
  • ハンガリー・パクシュⅡ期、2024年内ファースト・コンクリートを目標、コアキャッチャは出荷準備完了
  • ダーリントン原子力新設プロジェクトが初期のマイルストーンに到達
  • イタリア企業が先進的な原子炉の導入を評価
  • ポーランドにおけるSMR導入のための英国とポーランドが提携
  • DOEがX-エナジーのヘリウム試験施設にFONSIを発行
  • カナダNWMO報告書、処分場候補地の信頼性を強化
  • ニューヨーク州立大.教授、より安全で強力な原子力のためにリチウムに注目
  • パデューカ・サイトで働く女性を称えるDOEのビデオ
     

IAEAのグロッシ事務局長が来日、処理水排出のレビューと原子力発電容量について語る

IAEA(国際原子力機関)のラファエル・マリアノ・グロッシ事務局長は、日本における原子力発電容量拡大への支持を表明するとともに、福島第一原子力発電所から放射性物質を含む処理水が排出される際の透明性の必要性を強調した。グロッシ事務局長は、排出開始後初めてプラントを視察するため来日し、3/13に排出状況とサンプリング施設を調査する予定だ。

2024/3/12東京にて、グロッシ事務局長と日本の林芳正官房長官(AP写真/Eugene Hoshiko)

グロッシ事務局長 Xポスト:

 

IAEA事務局長:ZNPPの職員立ち入り禁止での安全問題はない

IAEA(国際原子力機関)ラファエル・グロッシ事務局長は、3/12、ウクライナ人スタッフがロシアの制圧するザポリージャ原子力発電所(ZNPP)への立ち入りを禁止されていることでの直接的な安全上の問題はないと述べる一方、ウクライナ側はこれを「重大な懸念」としてきている。グロッシ事務局長はロイターとのインタビューで、「状況は長期的には持続可能ではない。同時に、停止中の現在の体制では、現有スタッフでも業務は遂行できる」と述べた。従業員がプラントへの立ち入りを禁止されていることで、安全上の問題があったかとの質問に対し、事務局長は「直接的にはない」と回答。ZNPPは、以前はウクライナ国営企業エネルゴアトムが管理していたものだが、2年前の露軍のウクライナ侵略で占拠され、今も戦争の最前線にある。前週、IAEA理事会はロシアに同発電所から撤退し、同発電所をウクライナ当局の管理下に戻すよう要求することを決議した。

2024/3/12、東京でロイターのインタビューで語るグロッシ事務局長 ロイター/クリス・ギャラガー

関連ロシア報道:

https://tass.ru/mezhdunarodnaya-panorama/20209691 

 

ハンガリー・パクシュⅡ期、2024年内ファースト・コンクリートを目標、コアキャッチャは出荷準備完了

ハンガリーのシーヤールトー・ペーテル外務大臣とロスアトムのアレクセイ・リハチェフ総裁は、新しいパクスII原子力発電所の作業は順調に進んでおり、ロシアでコアキャッチャの製造が完了し、原子炉容器の作業が開始される予定であると述べた。シーヤルトー外相によれば、主契約者のロシアだけでなく、すでに100社ほどのハンガリー企業が関与しており、下請け企業にはドイツ、フランス、オーストリア、スウェーデン、アメリカの企業も含まれているという。地盤改良工事は17ヘクタールの面積で行われ、約75,000本のうち800本の杭が地面に打たれた。リハチェフ総裁 「現在のペースでは、今年末までに現場でのすべての準備作業が完了し、ファースト・コンクリート打設に直接進むことができると期待している。」。重量約700トンのコアキャッチャの製造は完了し、秋には引き渡される予定だという。また、原子炉容器の製造は4月にロシアで開始される予定だと付け加えた。

リハチェフ氏とシーヤールトー氏の共同記者会見(画像:ハンガリー外務省)

 

ダーリントン原子力新設プロジェクトが初期のマイルストーンに到達

オンタリオ・パワー・ジェネレーション(OPG)社のダーリントン原発(DNPP)サイトでのBWRX-300新設プロジェクトにおける敷地造成工事の初期段階は、工程定通り、予算内で完了し、敷地造成の本格工事の開始への道が開かれた。初期工事は2022年9月に始まり、OPGのプロジェクトパートナーであるESフォックス社が主導して進められた。この段階で完了した土木工事には、敷地の整地、仮設道路と工事仮設エリアの建設、雨水設備の設置並びに電力、生活用水、消火用水、IT インフラストラクチャなどのサイト内ユーティリティ供給の確立が含まれる。

DNPPでは初期段階の敷地造成工事が完了(画像:OPG)

 

イタリア企業が先進的な原子炉の導入を評価

イタリアのエネル社とアンサルド・ヌクレアーレ社は、小型モジュール型原子炉(SMR)や先進モジュール型原子炉(AMR)などの原子力エネルギー利用のための新技術とビジネスモデル、およびそれらの産業上の利用可能性を共同で調査、評価することに合意した。具体的には、新しいSMRとAMRの原子炉および関連する事業分野の成熟度を段階的に評価することに加え、この協定は、両社が「イタリアのサプライチェーンの関与に特に重点を置きながら、共同イニシアティブを分析・、モニタリングして、できるだけ評価し、2つの技術の効果的な適用可能性を検証することに貢献する共通の道筋を構築する」ことを予定している。

 

ポーランドにおけるSMR導入のための英国とポーランドが提携

ポーランドの産業団体「インダストリア」は、英国に本拠を置くゼロ・エミッション・エネルギー・技術開発会社チルターン・バイタル・グループ(CVG)と、ポーランドでのロールス・ロイス製小型モジュール型原子炉(SMR)の導入で協力する意向書(LOI)に署名した。2023年、国営産業開発会社(IDA)の一部であるインダストリアは、毎年5万トンの低炭素水素を生産する計画の一環として、ロールス・ロイスのSMR技術を採用。CVGは、ウェスタン・ゲートウェイ、SGSC、ブリストル大学、バイタル・エネルギ、ロールス・ロイスSMRなどのパートナーとともに、バークレー・マグノックス原子力発電所跡地に隣接するサイトに、世界初のネット・ゼロ・原子力技術キャンパスを建設する予定。3/11、ワルシャワのIDA本部で、インダストリアとCVGはLOIに署名した。

CVGのクリス・ターナーCEO(左)とインダストリアのシュチェパン・ルーマン会長(右)が趣意書に署名し、IDAのセザリウス・レシシュ社長(中央)が見守る中で握手(画像:IDA)

 

DOEがX-エナジーのヘリウム試験施設にFONSIを発行

米DOE(エネルギー省)クリーンエネルギー実証局(OCED)は、X-エナジー社がテネシー州にヘリウム試験施設を建設・運転し、高温ガス炉の実証試験用機器をテストするための最終環境評価と、「重大な影響を与えないという所見(FONSI)」を発表した。建設は2024年初頭に開始され、約1年かかる予定である。施設は6年間稼働する予定で、20年間の延長も可能である。

計画中の Xエナジー ヘリウム試験施設の概念図 (画像:DOE OCED)

 

カナダNWMO報告書、処分場候補地の信頼性を強化

カナダの中・高レベル放射性廃棄物の安全かつ長期的な管理を担当する核燃料廃棄物管理機関(NWMO)は、最新の年次報告書により、使用済核燃料の深部地層処分場が検討中の2つのサイトのいずれかに建設可能であるという確信を強めたと述べた。 最新の「安全への信頼」報告書は、長年にわたる研究に基づいたNWMOの立地候補2地域に関する理解を包括的にまとめている。

この処分場では、岩盤の地質学的特性と一連の人工バリアが使用される (画像: NWMO)

 

ニューヨーク州立大.教授、より安全で強力な原子力のためにリチウムに注目

ニューヨーク州立大学オルバニー校のマシュー・シダギス教授が、リチウムを使って同量のウランの2倍の電力を生み出す原子力エネルギーの開発を目指している。リチウム化合物は有害な放射線を出さずに電力を生産し、従来の原子力発電所よりも安全である。教授は、新しい無公害発電所で自動車のバッテリーをリサイクルすることを構想している。コンピューターモデリングでは、彼のリチウム化合物は、従来の原子力発電所で同量のウランが生産するのと同程度の電力を生産する。

(訳注:同教授はダークマターなどを研究する物理学者。リチウムがエネルギーを生み出す原理は全く謎)

2024/3/8、アルバニー大学のイオンビームラボマネージャー、アンドリュー・クヌートソンが、アルバニーキャンパスのイオンビームラボで、大学の粒子加速器を案内(ウィル・ウォルドロン/タイムズ・ユニオン)

 

パデューカ・サイトで働く女性を称えるDOEのビデオ

米DOE(エネルギー省)は、女性史月間にちなんで、ケンタッキー州のパデューカ・サイトで働く女性を特集したYouTubeビデオを公開した。このビデオは、かつてのガス拡散ウラン濃縮工場における70年以上にわたる女性の影響力を紹介している。

動画のキャプチャ画像(DOE)