• IAEA確認:ALPS処理水第4バッチのトリチウム濃度は運用上限値を大きく下回る
  • UAEバラカ4号機が起動
  • 米コロラド州、石炭火力発電所の原発でのリプレースを議論
  • フランスの原子炉が全炉心に回収ウラン燃料を装荷
  • 米国の核燃料リサイクル試験プラントの計画が発表
  • ポッドキャスト: ネクスジェン・エナジーCEO、ウラン・ プロジェクトの可能性を語る
  • アイソエナジー社、ユタ州のウラン鉱山を再開へ
  • 米DOE、WIPP でのクリーン・エネルギー・プロジェクトへの関心を評価
  • 米DOE、ハンフォードガラス固化プラントの契約を再締結
  • 非破壊検査で原子力品質を保証
  • 米NRC、廃炉信託基金の不正使用でホルテック社を告発
     

IAEA確認:ALPS処理水第4バッチのトリチウム濃度は運用上限値を大きく下回る

IAEA(国際原子力機関)の専門家らは、日本の東京電力(TEPCO)が2/28に排出を開始した希釈ALPS処理水の第4バッチ中のトリチウム濃度が同国の運転上限値(1,500Bq/ℓ)をはるかに下回っていることを確認した。日本は、福島第一原発 から ALPS 処理水をバッチ方式で放出している。これまでの 3バッチ(合計 23,400㎥の水)に含まれていたトリチウム濃度が、運用上限値をはるかに下回るがことも IAEA によって確認されている。

福島第一ALPS処理水放出データ(画像:IAEA 2024/3/2 7:30)

 緑のドットと数字は、放出設備の当該機能が現在動作しており、東電から IAEA に報告されているデータが想定範囲内であることを示している。

関連報道:

https://tass.ru/mezhdunarodnaya-panorama/20121805 

 

UAEバラカ4号機が起動

アラブ首長国連邦(UAE)の首長国原子力公社(ENEC)は、同国バラカ原子力発電所の運転・保守を受け持つ子会社、ナワ・エナジー社が4号機の起動に成功したと発表した。ユニットの起動とは、核分裂によって熱を生成していることを意味する(訳注:いわゆる「初臨界」を指すと推定)。ENECは「今後数週間のうちに4号機は国の電力網に接続され、出力を定格容量まで段階的に増加させるための試験段階に入る」と述べた。バラカの韓国設計の4基のAPR-1400ユニットの建設は 2012 年に開始し、4号機には2015 年に着工した。1 機は 2021年4月、2 号機は2022年3月に営業運転を開始。3 号機は2022年9月に起動し、2023年2月に営業運転を開始した。

(画像:ナワ)

 

コロラド州、石炭火力発電所の原発でのリプレースを議論

コロラド州プエブロ郡の郡委員会はタウンホール・ミーティングを開き、2031年に閉鎖予定の石炭火力発電所の代わりに原子力発電所を建設する可能性について話し合った。この案には支持と反対の意見があり、原子力発電所が長期雇用を提供できるとの意見や核廃棄物に対する懸念を表明する人々もあった。

2031年閉鎖予定のコマンチⅢ石炭火力発電所(画像:FOX21)

 

フランスの原子炉が全炉心に回収ウラン燃料を装荷

フランス南東部のクリュアス原子力発電所2号機がこのほど、初めて全炉心に回収ウラン燃料を装荷して運転を再開した。この動きは、国内のウラン再処理産業を復活させようとするフランスの取り組みにおける大きな節目となる。再処理ウラン (RepU、回収ウランと同義) は、オラノ社ラ・アーグ再処理工場で処理された原子炉の使用済燃料から得られる。このウランを濃縮すると、原子炉の燃料として再び使用できる。フランスで、濃縮再処理ウラン(ERU)の使用の許認可を得ているはクリュア原発の4基の原子炉のみ。2/5、クリュアス2号は初めて全炉心に回収ウランを装荷して再起動された。

クリュアス原子力発電所(画像:EDF)

 

米国の核燃料リサイクル試験プラントの計画が発表

オラノUSA社とシャイン・テクノロジーズ社は、軽水炉からの使用済核燃料をリサイクルする商業規模の技術を備えた米国のパイロットプラントの開発で協力する覚書を締結した。パイロット施設の立地選定は今年末までに行われる予定。パイロットプラントのコンセプトは、年間100トンの使用済核燃料をリサイクルし、利用可能なウランとプルトニウムの99%を抽出することを期待しており、統合保障措置に耐える商業規模の湿式リサイクルを検証することになる。このシステムは、シャインが実証済みの臨界分離技術と、4万トン以上の使用済核燃料を再処理してきたフランスのラ・アーグ施設で稼働しているオラノ方式に基づいている。回収された核物質は、先進炉および既存原子炉設計向けの新燃料に用いるとともに、特定の重要な同位体を医療や産業目的で使用することもできる。

覚書締結後のオラノのニコラス・メイスCEO (左) とシャイン創設者兼 CEO のグレッグ・ピーファー 氏(画像:オラノ)

関連報道:

https://www.ans.org/news/article-5830/orano-shine-to-cooperate-on-used-fuel-recycling-plant/ 

 

ポッドキャスト: ネクスジェン・エナジーCEO、ウラン・ プロジェクトの可能性を語る

ネクスジェン・エナジー社のリー・カリヤー社長兼 CEOは、ウラン市場の見通しについて語り、カナダのルック1プロジェクトの進捗状況について概説し、同プロジェクトは世界の採掘ウラン供給量の25~30%を供給する可能性があると述べている。

ルック1プロジェクト(画像:ネクスジェン・エナジー)

 

アイソエナジー、ユタ州のウラン鉱山を再開へ

サスカトゥーンに本拠を置くアイソエナジー社は、市況が予想通りに続けば2025年にウラン生産操業を再開することを目標に、今年上半期にユタ州のトニーMウラン鉱山の地下へのアクセスを再開する予定だ。

トニーM鉱山は、エナジー・フュエルズ社のワイト・メサ・ウラン製錬所へトラック輸送できる距離内 (画像: アイソエナジー)

 

DOE、WIPP でのクリーン・エネルギー・プロジェクトへの関心を評価

米国DOE(エネルギー省)は、ニューメキシコ州の廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)サイト内でのクリーン・エネルギー・プロジェクトの開発への関心を示す者があるかを調べるため、情報提供要請を発出した。 DOEは、原子力を含むカーボンフリー発電と貯蔵を含む潜在的なプロジェクトの候補地として約9,000エーカー(約36㎢)を特定した。

DOE 廃棄物隔離パイロット プラント(WIPP) (写真:DOE)

 

DOE、ハンフォードガラス固化プラントの契約を再締結

米国DOE(エネルギー省)はハンフォード・タンク・ウェイスト・オペレーション&クロージャ(H2C)社に対し、ワシントン州ハンフォード・サイトにあるガラス固化プラントを運営するための450億ドル(約6兆7,500億円)に及ぶ10年契約を結んだ。 最初の入札の敗退者が異議を唱え、裁判所が契約を保留するよう命じた後、結局、同じ入札者に契約が落札されるのはこれで2度目となる。

ハンフォード・サイト(DOE提供)

 

非破壊検査で原子力品質を保証

非破壊検査は、発電所の技術者が保守性を損なうことなく材料、コンポーネント、組立体を評価できるため、原子力産業における品質管理、安全性、信頼性にとって極めて重要だ。 これにより、運転・保守中に見落とされがちな小さなエラーが発生する可能性を大幅に低減できる。

液体または染料浸透探傷試験 (PT) は、毛細管力を使用して表面の亀裂や細孔を見つけて可視化する非破壊的な材料試験方法。 亀裂、湯境、空孔などの表面破壊欠陥を検出できる  出典: シャッターストック

非破壊検査は、修理が必要なコンポーネントを特定するために用いられる。致命的な障害が発生する前に欠陥を見つけて修正することで、時間、コストを節約し、人命を救う可能性もある  出典: シャッターストック

 

NRC、廃炉信託基金の不正使用でホルテック社を告発

米国NRC(原子力規制委員会)は、オイスタークリーク原子力発電所の廃炉信託基金の62,000ドル(約930万円)をフードバンクへの寄付やニュージャージー州レイシータウンシップの祝賀会への寄付などの支出に使用したとして、ホルテック・デコミッショニング・インターナショナル社に対して違反通告を出した。 ホルテック・インターナショナルの広報担当者パトリック・オブライエン氏は、「いかなる違反も真摯に受け止め、その金額が利息付きで信託基金に返還され、今後のコミュニティや慈善活動でこの問題が再発しないように、すでに是正措置を講じている」と述べた。

環境活動家らはプラントが2019年に閉鎖された後、地元雇用を生み出す解体プロセスをできるだけ早く開始することを望んでいる。APP ファイル写真