• AP通信報道:東電原子力改革監視委、福島での漏洩事象をより迅速に共有するよう要請
  • 米ボーグル4号AP1000が初臨界達成
  • 韓国・現代建設、ウクライナ・エネルゴアトムとの協力に関心
  • IEA閣僚会合が原子力の役割を認識
  • ウクライナ・エネルギー相、原子力協力についてOECD/NEAの室谷事務次長と会談
  • MCRE のリスク情報活用・パフォーマンスベースのセーフティケースを精査
  • 米NRCハンソン委員長、ニューヨーク州の二原発を訪問して感銘
  • チェズ社、ウェスティングハウス燃料の到着に向けた準備を強化
  • 英放射性廃棄物管理委:SMR 導入では廃棄物問題の考慮が必要
  • イラン当局者の核発言にIAEAトップが懸念表明
     

AP通信報道:東電原子力改革監視委、福島での漏洩事象をより迅速に共有するよう要請

東電の原子力改革監視委員会は、最近発生した汚染水処理装置からの汚染水の漏洩など、福島第一原子力発電所でインシデントが起きた場合、東京電力は国民とより迅速に情報を伝達すべきだと述べている。 同委員会委員長の元米国NRC(原子力規制委員会)委員長のデール・クライン氏は、同社は安全文化を改善したが、事故を迅速に分析して国民に伝える必要があると語る。

2023/8/24 福島第一原子力発電所の空撮(写真:AP経由共同通信)

 

ボーグル4号AP1000が初臨界達成

米国ジョージア・パワー社は、新設されたボーグル4号AP1000原子炉が初臨界に達し、同号機の運開は2024年の第2四半期中になるとの予想であると発表した。初臨界とは、原子炉内で核分裂連鎖反応が維持されるようになることで、原子炉が発電用蒸気を生成するための熱エネルギーの生成が開始されたことを意味する。原子炉出力はこれから上昇し、電力網への併入・送電開始に備える。運転スタッフは、定格出力に達するまで、ユニットの出力を段階的に増加させる。すべてのシステムが連携して動作することを確認し、動作手順を検証するための試験が、起動プロセス全体にわたって実行された後に、ユニットの営業運転が宣言されることになる。4号機は、ボーグル・サイト内で建設中のウェスティングハウス製AP1000ユニット2基のうちの1基。3号機は米国で30年以上ぶりの新設原子力施設で、2023 年 3 月に初臨界に達し、7 月に営業運転を開始している。

2023年8月のボーグル4号(画像:ジョージア・パワー)

 

韓国・現代建設、ウクライナ・エネルゴアトムとの協力に関心

ウクライナ国営原子力発電会社エネルゴアトムのペトロ・コティン会長兼CEOと、韓国・現代建設の地域ディレクター、パク・ヒョンファン氏が、ウクライナにおける原子力発電開発の優先分野について協議した。コティン氏は、エネルゴアトムがフメリニツキー原子力発電所サイトでのウェスティングハウスのAP1000 技術を使用したユニット新増設、 SMR 技術の導入などに取り組んでいることを表明。パク氏はウクライナへの支持を表明し、共同イノベーションや研究プロジェクトの実施だけでなく、原子力発電の拡大に関するウクライナのプロジェクトにも参加する用意があると述べた。コティン氏はザポリージャ原子力発電所(ZNPP)の状況についても述べ。 ZNPPがウクライナの支配下に戻った後、エネルゴアトムはプラントの安全な操業を回復するためにパートナーの支援を頼りにすると述べた。

ペトロ・コティン氏(左)とパク・ヒョンファン氏(写真:エネルゴアトム)

関連報道:

https://www.world-nuclear-news.org/Articles/Energoatom-and-Hyundai-E-C-discuss-cooperation 

 

IEA閣僚会合が原子力の役割を認識

2/13~14にパリで開催された国際エネルギー機関(IEA)の2024年閣僚会議兼50周年記念イベントは、原子力をエネルギー安全保障と脱炭素化を達成するための技術の1つとして認めることで合意した。IEAは、フランスとアイルランドが共同議長を務めるこのイベントが、「地球温暖化を1.5℃に抑えるという目標を達成可能な範囲内に保つためにクリーンエネルギーへの移行を加速させながら、エネルギー安全保障を守るという強い決意を生み出した」と述べた。

パリでの会合に出席したエネルギー・気候担当閣僚(画像:IEA)

 

ウクライナ・エネルギー相、原子力協力についてOECD/NEAの室谷事務次長と会談

ウクライナのヘルマン・ハルシチェンコ・エネルギー大臣は、パリでの国際エネルギー機関設立50周年記念行事の一環として、OECD/NEA(経済協力開発機構 原子力機関)の室屋展弘事務次長と会談した。会合ではザポリージャ原子力発電所の状況に特に話題となった。 同相は、同事務次長に対し、ウクライナの有資格者が発電所で働くことを許可しないことに伴うリスクと、ZNPPの原子炉に装荷されている核燃料の保証期間切れについて説明した。さらに、同相は、AP1000技術を使用したフメリニツキー原子力発電所のユニット新増設計画を紹介した。室谷事務局長は、NEAが、特に国の原子力規制当局の組織的能力の強化という点で、ウクライナとの協力を発展させることに関心があることを強調した。 両当者は、利害関係者の参加を得て関連会合を開催することに合意した。

ハルシチェンコ大臣は原子力と原子力安全における協力についてNEAの室屋展弘事務次長と会談し(写真:ウクライナ・エネルギー省)

 

MCRE のリスク情報活用・パフォーマンスベースのセーフティケースを精査

サザン・カンパニー・サービシズ社の上席研究技師ブランドン・チゾム 氏は、テラパワー社が主導する溶融塩化物原子炉実験(MCRE)の、リスク情報活用・パフォーマンスベース(RIPB)のセーフティケース(安全性を保証するための論拠書)の作成について、詳しく調査し、米国原子力学会(ANS)のウェビナーで発表した。 このプロジェクトは、低コストでクリーンなエネルギーを提供する、高速スペクトルの溶融塩燃料核分裂炉を開発することを目的としている。

MCRE系統図(画像:ANS)

 

米NRCハンソン委員長、ニューヨーク州の二原発を訪問して感銘

米国NRC(原子力規制委員会)のクリストファー・ハンソン委員長は、発電所の将来について話し合うためにニューヨークのジェームス・A・フィッツパトリック原子力発電所とナインマイルポイント原子力発電所を訪問した後、「感銘を受けて帰ってきた」と述べた。 「業界やNRCでは、原子力の将来は今日の施設の安全な運用に大きく依存しているとよく言われており、私は、NRCの常駐検査官や他の人々、そして発電所指導者らとの対話に基づいて、これら両施設が、今日、安全に運転されていると喜んで言うことができる」とハンソン氏は言う。

2/13、ナインマイルポイント学習センターで講演するNRCハンソン委員長

 

チェズ社、ウェスティングハウス燃料の到着に向けた準備を強化

チェコの原子力発電所運営会社チェズ(ČEZ)社 は、同社の燃料多様化戦略により、年末には初のウェスティングハウス(WH)製 VVER 燃料が同社のドコバニ原子力発電所に納入される予定であると述べた。2019年にテメリン原子力発電所1号機に6体の試験照射用WH燃料集合体が納入された。その結果は両社の専門家によって評価されており、同発電所が来年の上半期に初めて燃料を受け入れる準備と仕様に貢献した。現在、4基のVVER-440ユニットがドコバニサイトで運転中であり、2基の VVER-1000 ユニットがテメリンで運転中である。

ドコバニ原発(画像:チェズ)

 

英放射性廃棄物管理委:SMR 導入では廃棄物問題の考慮が必要

英国の放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)によると、小型モジュール型原子炉(SMR)や先進モジュール型原子炉(AMR)の設計を開発・導入する過程において、廃棄物管理の問題はより大きく重要視される必要があるという。「特にギガワット(100万キロワット))規模の原子炉配備の歴史的困難を考慮すると、エネルギー安全保障と環境上の理由の両方の観点から、SMおよびAMR設計の開発とその商業的配備にはかなりの推進力がある。」 CoRWM は新たなポジション・ペーパで述べている。しかし、同ペーパでは、これらの新しい原子炉からの使用済燃料と放射性廃棄物の管理の問題は「一部の例外を除いて、これまでほとんど無視されているか、少なくとも軽視されてきたようだ」と述べている。 さらに、この問題は「投資、さらなる開発、建設、運転のための技術を選択する際に考慮する必要がある」とも付け加えている。

英国SMRコンぺの出場者6社(画像:各社ビジュアルの合成)

 

イラン当局者の核発言にIAEAトップが懸念表明

IAEA(国際原子力機関)のラファエル・マリアノ・グロッシ事務局長は、イランは核兵器の製造に必要なものはすべて備えているというイラン高官の発言に警戒を表明した。グロッシ氏は、ガザでのイスラエルの戦争は中東の複雑さを増大させたと述べ、イランの核開発に対しては透明性を求めた。

2024/2/13、UAEドバイで開催された世界政府サミット(WGS)で語るIAEAグロッシ事務局長(APフォト/Kamran Jebreili)