• ブルガリアと米国が原子力協力協定に署名
  • ウェスティングハウスが英国でSMR AP300の許認可手続きを開始
  • フィンランド企業がポーランド・プラントの技術アドバイザーに
  • 原子力支持が高まる中、米国各州が連邦政府の支援を受ける
  • 米バージニア州の SMRデータセンター・水素ハブ複合プロジェクトの土地区画が承認
  • 水素税控除規則に関するパブリックコメントの締め切りが近づく
  • 意見記事: 核融合で米国が勝つには緊急の取り組みが必須
  • フィンランドのキャニスタ封入プラントに燃料移送トロリを設置
  • パンテラ がバイエルとアクチニウム 225 の供給契約を締結
  • チョルノービリのオオカミが放射線に適応、がん抵抗力を獲得
  • ワシントン州のガレージで発見された核ミサイルは無害
     

ブルガリアと米国が原子力協力協定に署名

米国政府とブルガリア政府は、コズロドイ原子力発電所の新ユニット計画を含む、ブルガリアでの民生用原子力計画の開発に協力する政府間協定に署名した。コズロドイの新ユニットの設計、建設、試運転計画を支援するワーキンググループの設立に加え、両国は「研究・訓練プログラムやブルガリアの強靭な原子力サプライチェーンの構築に関する協力も模索する」予定だ。この協定はまた、両国が「ブルガリアが安全で持続可能な炭素フリーのエネルギー源として民生用原子力を開発するに当たり、透明性と国民意識の高揚に向けて協力する」ことも提案している。

(画像:駐ブルガリア米国大使館)

 

ウェスティングハウスが英国でAP300の許認可手続きを開始

ウェスティングハウス(WH)社は、小型モジュール型原子炉(SMR)AP300の包括的設計審査(GDA)への参加承認を求める申請書を英国エネルギー安全保障ネットゼロ省(DESNZ)に正式に提出した。WHは、2050年までに英国の原子力容量を4倍の2,400万キロワットに拡大する計画の一環として、同国政府の支援を求めて2023年10月に最終候補に挙げられたSMRサプライヤー6社のうちの1社で、2月初めにイングランド北東部に4基の AP300を建設するコミュニティ・ニュークリア・パワー(CNP)社との契約に署名したと発表している。

WHのAP300プラントのビジョン (画像:WH)

 

フィンランド企業がポーランド・プラントの技術アドバイザーに

フィンランド、スウェーデンで原子力発電所を所有・運転する事業者であるフォータム社及びテオリスーデン・ボイマ社(TVO)は、ポーランド初の原子力発電所の設計、エンジニアリング、運転準備における技術支援を提供するため、ポーランド国営原子力発電会社PEJと2年間の枠組契約を締結した。本枠組のスコープは、ポモージョ県での新設を計画中の原子力発電所の運転および保守プロセスを構築するため国営PEJを支援することである。 競争手続きを経て、TVO の子会社である TVOニュークリア・サービシズ (TVONS)社 と フォータムのニュークリア・サービシズ社が選定され、プラントの許認可取得や設計段階で技術サポートを提供するなどして、PEJ が原子力発電所運転企業としての力量を構築するよう支援する。

(画像:PEJ)

 

原子力支持が高まる中、米国各州が連邦政府の支援を受ける

米国連邦政府は各州が原子力発電容量を拡大する際の支援に使える投資を行っており、ミシガン州のパリセーズ原子力発電所を再開するための資金や、カリフォルニア州のディアブロ・キャニオン発電所の稼働を維持するための資金は、その例である。 「多くの州が原子力を支持する立場に移行し始めている」とミシガン大学の原子力工学・放射線科学部長のトッド・アレン教授は言う。「そして30年前と比較すると、原子力に対する連邦政府の支援額は信じ難い規模になっている。」

ミシガン州パリセーズ原子力発電所  ヘラルド・パラジウム紙提供

 

米バージニア州の SMR複合プロジェクトの土地区画が承認

グリーン・エナジー・パートナーズ社は、バージニア州サリー郡から、米国初となるデータセンターと水素燃料ハブの複合施設を建設するための区画整理の承認を取得した。サリー原子力発電所に隣接する提案されている64億5,000万ドルのプロジェクトには、データセンターに電力を供給するための小型モジュール式原子炉3基が含まれる。

リッチランドのクムラ社による経済効果分析レポートによると、この複合施設は2035年までに1,000以上、2036年までに1,300以上の正規雇用を生む(クムラ・エコノミクス&アナリティクス)」

 

水素税控除規則に関するパブリックコメントの締め切りが近づく

米国の「45V」クリーン水素製造税額控除に関する米財務省と内国歳入庁(IRS) の規則案についてコメントする期限が 2 週間以内に迫っている。この規則案では、水素製造に使用するエネルギーは送電網から引き込んではならず、水から水素を製造する目的に特化して生成したエネルギーであることが求められる。しかし、この提案では事業の一部を水素製造に転換する設備を備えた原子力発電所が除外される可能性があると懸念する人もいる。

ワシントン D.C.の米国財務省庁舎(画像:米国原子力学会)

 

意見記事: 核融合で米国が勝つには緊急の取り組みが必須

核融合には人類のエネルギー需要を解決する可能性がある。そして、中国は核融合を国家的優先事項としており、ドイツ、日本、英国も研究開発に多額の投資を行っている、と超党派シンクタンク「特別競争研究プロジェクト(SCSP: Special Competitive Studies Project)」のユリ・バジュラクタリ社長兼CEOは書いている。「彼らに勝つには、米国は危機感を抱き、業界への対処法を見直す必要がある」と同氏は書いている。

DOEジェニファー・グランホルム長官(中央)、左からアラティ・プラバカール大統領科学技術顧問、マービン・アダムス国家核安全保障局国防計画担当副長官が、核融合研究における大きな科学的ブレークスルーを語る。 2022/12/13、DOEでの記者会見。(AP写真/J.スコット・アップルホワイト)

 

フィンランドのキャニスタ封入プラントに燃料移送トロリを設置

フィンランドの廃棄物管理会社ポシバが同国オルキルオトに建設中のキャニスタ封入プラントで、使用済燃料輸送キャスクを移動させるための移送トロリが設置された。このトロリはフランスのCSI社によって製造され、サイズ約5m×4m、重量約30t。2月初旬にキャニスタ封入プラントに納入された。トロリは現在、燃料受入ホールから1階下の階に移動され、走行するレール上に据え付けられている。ポシバによると、移送トロリは最終処分プロセスにおいて中心的かつ多用途な役割を果たすという。 到着時に輸送キャスクを受け取るだけでなく、輸送キャスクを移送し、吊り上げてドッキング ステーションに挿入します。 課題の1つは、これらすべてを搬送コリドー内のかなりコンパクトなスペースで行うことだ。

レール上に据え付けられた移送トロリ (画像: ポシバ)

移送トロリ(画像:ポシバ)

 

パンテラ がバイエルとアクチニウム 225 の供給契約を締結

パンテラ社は、2024 年下期からアクチニウム 225(Ac-225)を供給する契約をバイエル社と締結した。パンテラは、アルファ線を放出するラジオアイソトープの大規模生産を確保するために、イオン・ビーム・アプリケーションズ (IBA)社とベルギー原子力研究センター(SCK・CEN)によって設立されたベルギーの合弁会社。パンテラによると、バイエルとの契約は大手医薬品開発会社との初めての契約だという。 同社は、世界的な需要の高まりに対応するため、臨床試験用のAc-225へのアクセスを増やすとともに、大規模な生産施設の開発にも取り組む予定だ。

Ac-225セラノスティクス(画像:パンテラ)

 

チョルノービリのオオカミが放射線に適応、がん抵抗力を獲得

統合比較生物学会(SICB)は、ウクライナのチョルノービリ地域のオオカミは放射性環境に適応することでがんに対する抵抗力を獲得したと述べている。 プリンストン大学の科学者カーラ・ラブ氏の研究によると、オオカミは人間にとって法規制上安全とされている量の6倍以上の放射線にさらされており、「放射線治療を受けているがん患者と同様」の免疫力の変化が見られるという。

(画像:The Australian)

関連報道:

https://www.theaustralian.com.au/news/chernobyl-wolves-appear-resistant-to-cancer/video/3bdb07d57feea6b66be2ad236184f4cb 

 

ワシントン州のガレージで発見された核ミサイルは無害

ワシントン州ベルビューのガレージで発見されたミサイルは、国立米空軍博物館からの通報に警察官が応じた結果、マクドネル・ダグラス製AIR-2Aジニー無誘導空対空ロケットであると特定された。 AIR-2ジニーは核弾頭を搭載するように設計されていたが、ベルビューにあるものには弾頭も燃料も搭載されていなかった。 空軍は 1956 年から 1962 年にかけて、数千機の AIR-2ジニー・ロケットを製造した。

AIR-2Aジニー・ロケット(画像:国立米空軍博物館)