• 海外報道:福島第一原発で汚染水漏れ
  • 中国の小型モジュール型原子炉に外側ドームを据付
  • EU法が原子力を脱炭素化戦略的として判断
  • 欧州SMR産業アライアンス発足
  • 韓国の造船所が海上SMRプロジェクトに参加
  • 米国防総省、グアムでプロジェクト・ペレのマイクロ原子炉利用を検討
  • MIT教授: 民主主義には原子力が必要、 アルメニアの教訓
  • フィンランドの原子力発電所の電気労働者がストを計画
  • 5チームが独自に国立点火施設での核融合の画期的な成果を確認
  • 核融合が米国連邦議員の求心力となる
  • 米国原子力学会、 2024年の立ち上げに向け資格認定プログラムを構築
  • ワシントン州コミュニティでの「核の歴史」に関するドキュメンタリー研究
     

海外報道:福島第一原発で汚染水漏れ

損傷した福島第一原子力発電所で、セシウム吸着装置(訳注:通称サリー)に接続された配管(訳注:ベント口)から汚染水が漏れていることが判明した。 漏水はすでに止まっており、東京電力は配管の下の土壌の汚染を検査すると発表した。

漏水箇所(左)とベント口付近の拡大図(右)(画像:東京電力)

東電プレス:

https://www.tepco.co.jp/decommission/information/newsrelease/reference/pdf/2024/1h/rf_20240207_1.pdf 

 

中国の小型モジュール型原子炉に外側ドームを据付

中国海南省の昌江原子力発電所でのACP100小型モジュール型原子炉実証プロジェクトにおいて、外側格納容器ドームが所定の位置に正常に据え付けられたと中国核工業集団公司(CNNC)が発表した。ACP100(玲龍一号とも呼ばれる)の原子炉建屋は、内部構造物、鋼製格納容器、および外側のコンクリート製遮蔽シェルの3つの部分で構成されている。 内側の鋼製格納容器ドームは 11 月に据え付けられた。重量約550tの外側シェルを吊り上げて所定の位置に据え付ける工事は、旧正月と春節の休暇に間に合わせるよう、2/6に1時間38分かけて行われた。 CNNCは、玲龍一号プロジェクトサイトの6,000人の作業員が職場に留まり、「プロジェクトが工程通りに完了するよう全力を尽くす」と述べた。

(画像:CNNC)

気象条件が作業に適していることが必要だった(画像:CNNC)

 

EU法は原子力を脱炭素戦略として判断

欧州議会と欧州連合理事会は、原子力を脱炭素化のための戦略的技術とみなすことで合意した。 ネットゼロ産業法(NZIA)の一環として、原子力は9~18か月の期限付きで簡易許可の対象となる技術リストの一部となり、再生可能エネルギーと同等の扱いを受けることになる。

(画像:欧州議会 EU2023)

 

 

欧州SMR産業アライアンス発足

欧州委員会(EC)は、2030年代初頭までに欧州での小型モジュラー炉(SMR)の開発を促進することを目的として、SMRに特化した産業アライアンスを立ち上げた。 この発表は、ECがEUの2040年の気候目標に関する評価を発表する中で行われた。ECは2023年6月に欧州SMRプレパートナーシップを設立し、その全体的な目的は、今後10年およびそれ以降のヨーロッパにおけるSMRの安全な設計、建設、運転に向けて、財務面を含む実現可能な条件と制約を特定し、コンプライアンスを遵守することであり、全体として EU 法の枠組、特に ユーラトム の立的枠組と合致させる。11月初旬、ECは2024年初めにSMR向けの産業アライアンスを設立すると発表していた。

欧州委員会(画像:Pixabay)

 

韓国の造船所が海上SMRプロジェクトに参加

韓国のHD韓国造船海洋エンジニアリング(KSOE)社は、英国のコア・パワー社、米国のサザン・カンパニーおよびテラパワー社と協力して、海運用小型モジュラー炉(SMR)を開発する計画だ。2022 年 11 月、KSOE はテラパワー に 3,000 万米ドルを投資している。共同開発される原子炉は、テラパワーの溶融塩化物高速炉(MCFR)設計を中心にしている。 この技術は、原子炉の冷却材と燃料の両方として溶融塩化塩を使用しており、いわゆる高速スペクトル運転が可能であり、これにより核分裂反応がより効率的に行われると同社は述べている。 従来型原子炉よりも高温で動作し、より効率的に発電し、プロセス熱の利用や蓄熱の可能性も提供する。 テラパワーは、MCFR の海洋向けバージョンm-MSRを開発している。

原子力貨物船の概念図(画像:コア・パワー)

 

国防総省、グアムでプロジェクト・ペレのマイクロ原子炉利用を検討

国防総省は、グアムでプロジェクト・ペレの可搬型マイクロ原子炉を使用する実現可能性を検討している。 この原子炉はまだ開発中で、3年間にわたって1,000~5,000キロワットのエネルギーを生成し、先進的なガス炉向け三構造等方性粒子(TRISO)燃料を使用する。

(画像:Pacific Island Times)

 

大学教授: 民主主義には原子力が必要、 アルメニアの教訓

マサチューセッツ工科大学(MIT)の原子力科学工学アレグ・ダナグリアン教授は、ロシアや中国などの独裁政権に脅かされている民主主義にとって原子力は不可欠であるとエッセイの中で主張している。同教授は、アルメニアでの原子力の経験について議論し、西欧の化石燃料への依存に対して警告する。化石燃料への依存は、炭化水素の輸出によって繁栄する権威主義体制を永続させるものだと同教授は考えている。

ダナグリアン教授(画像:米国原子力学会))

 

フィンランドの原子力発電所の電気労働者がストを計画

フィンランド国内の各原子力発電所で働く電気労働者は、政府の労働政策変更に反対し、2/14~16までストライキを計画している。 組合は発電へのリスクを軽減するため、異なる発電所で異なる日にストライキを予定しているが、ストライキ中は保守活動ができず、問題も解決できない。

 

5チームが独自に国立点火施設での核融合の画期的な成果を確認

2022 年 12 月、米国国立点火施設(NIF)の研究者らは、科学的ブレークイーブンを超えるレーザー駆動の慣性閉じ込め核融合(ICF)反応を達成したと発表した。その後、5つの研究チームがこの発見を確認した。

 192 個のビームで加熱する NIF での典型的な ICF 実験の概略図

 

核融合が連邦議員の求心力となる

2021年に発足して以来、92人の議員が「連邦議会下院核融合議員団」に参加している。核融合が党派間の溝を埋めるクリーンエネルギーの力となり得るという多くの兆しがあり、その1つとして、上院でも同様の取り組みが具体化しつつある。 核融合に対する連邦政府の資金を拡大し、規制を合理化する取り組みも進められているが、批評家らは、この技術が成熟するまでには何年もかかる可能性があると指摘している。

チャック・フライシュマン下院議員 (共和党、テネシー州) は核融合議員団共同議長  フランシス・チャン/ポリティコ

 

米国原子力学会、 2024年の立ち上げに向け資格認定プログラムを構築

米国原子力学会(ANS)による資格認定プログラムの開発が進んでおり、2024年の導入が予定されているそのプログラムは、業界標準を設定し、労働力の不足に対処することを目的としている。このプログラムには、個人の資格認定書と、暫定的に「認定原子力プロフェッショナル」と呼ばれる包括的な専門家認定が含まれており、どちらも試験に合格し、指定を維持するために継続的な教育活動(訳注:継続研鑽Continuing Professional Development、CPDと呼ばれるものと思われる)を完遂する必要がある。

(画像:米国原子力学会)

 

ワシントン州コミュニティでの「核の歴史」に関するドキュメンタリー研究

アイリーン・ルシュティグ監督による受賞歴のあるドキュメンタリーのタイトルともなった「リッチランド」は、ワシントン州ハンフォード・サイトの本拠地であり、核のこりの物語に基づいてそのアイデンティティを築いてきたコミュニティ。映画はその歴史を探る。 この映画はハンフォード歴史プロジェクトの貴重なアーカイブ資料をフィーチャーしており、二極化を避ける「リスニング・スペース」を奨励しているとルシュティグ氏は言う。 この映画は2/8にプルマンのワシントン州立大学で無料上映される予定で、その後ルシュティッヒ氏とハンフォード歴史プロジェクトのアシスタントディレクターである歴史教授のロバート・フランクリン氏とのディスカッションが行われる予定だ。

ワシントン州リッチランドの複雑な歴史は、2 /8にワシントン州立大(WSU)プルマンで上映されるドキュメンタリーで探求される(画像:WSU INSIDER)