• 米アイダホ国立研究所が低圧マイクロ原子炉の設計をレビュー
  • モルテックス・フレックス社、黒鉛と溶融塩の相互作用に関する研究を発表
  • 米国原子力業界の 2023 年を振り返り、2024 年の見通しを示す報告書
  • 初の欧州製ITER真空容器セクターが出荷を待つ
  • CERN、粒子衝突型加速器の大型化に自信
  • 使用済燃料貯蔵をめぐるアイダホでの訴訟が棄却
  • オーストラリア企業が有毒土壌を建築材料に変える
  • WIPPの2023年TRU廃棄物出荷量は10年ぶりの高水準
  • フランスの「鉛212」生産施設の建設開始
  • INL、セシウム血液照射装置リプレースのダッシュボードを作成
     

米アイダホ国立研究所が低圧マイクロ原子炉の設計をレビュー

アイダホ国立研究所 (INL) は、ナノ・ニュークリア・エナジー社の 低圧冷却材マイクロ原子炉ODINの設計のプレ概念設計のレビューを完了した。 同社のマイクロ原子炉ZEUSの設計もINLによってレビューされる予定だ。「このレビューは、ナノ・ニュークリア が技術を商業製品に向けて前進させるために、その設計と適用される規制の必要な側面を徹底的に検討したことを確認するのに役立った」と同社は述べた。

マイクロ原子炉ODINのレンダリング (画像: ナノ・ニュークリア)

 

モルテックス・フレックス社、黒鉛と溶融塩の相互作用に関する研究を発表

モルテックス・フレックス社らの科学者は、マンチェスター大学の原子力級黒鉛研究グループと協力し、X 線マイクロ CT スキャナーを使用して、一般産業グレードの黒鉛内の細孔に溶融塩がどのように浸透するかを調査した。同社の溶融塩原子炉フレックスは750℃以上で運転するように設計されており、市販のグラファイトを使用することで、コストを抑えながらフレックス炉の大量生産を容易にすることを狙っている。

溶融塩に曝露される前 (a) と後 (c) の黒鉛サンプルの2D仮想スライス。 画像 (b) と (d) は、(a) と (c) の黄色の四角形で強調表示された領域の3D断面を示す。 画像 (b) は黒鉛サンプル内の細孔の構造を示し、画像 (d) は曝露後に塩が浸透した細孔を赤で強調表示している。 紫色の領域は、(a) と (c) の強調表示された領域内に見える大きな空隙 (画像: モルテックス・フレックス)

 

米国原子力業界の 2023 年を振り返り、2024 年の見通しを示す報告書

モルガン・ルイスは、米国NRC(原子力規制委員会)による10年以上ぶりのサイバーセキュリティ指針の修正など、原子力産業の2023年の展開をハイライトした報告書を発表した。 報告書はまた、先進原子炉の継続的な推進や濃縮ウランの国内供給に向けたDOE(エネルギー省)のさらなる取り組みなど、2024年の動向についても言及している。

報告書表紙(モルガン・ルイス)

 

初の欧州製ITER真空容器セクターが出荷を待つ

ITER機構のEU担当機関であるフュージョン・フォー・エナジー(F4E)の責任下にある5つの真空容器セクターのうちの初のセクターが、工場受入検査を受ける。このコンポーネントはすでに漏洩検査に合格しており、これから寸法がチェックされる。

ITER真空容器第5セクター(画像:F4E)

 

CERN、粒子衝突型加速器の大型化に自信

欧州原子核研究機構(CERN)の科学者らは、より大型で強力な粒子衝突型加速器の構築を進めることに楽観的な見方を示している。 将来の円形衝突型加速器の費用は150億スイスフラン(約2兆5500億円)と推定され、周回距離が91kmで粒子衝突のエネルギーレベルが100兆電子ボルト(100TeV)に増加し、2040年までに運用が開始される可能性がある。

 

使用済燃料貯蔵をめぐるアイダホでの訴訟が棄却

連邦判事は、アイダホ国立研究所(INL)での使用済核燃料の保管を巡り、アイダホ州ビュート郡がDOE(エネルギー省)に対して起こした訴訟を、郡がその保管が違法であることを証明していないと述べて棄却した。 郡は30日以内に訴状修正の申し立てを提出できるが、法的な障壁が大きく、修正がうまくいくかは不透明だと裁判所は述べている。

 

オーストラリア企業が有毒土壌を建築材料に変える

オーストラリアのピュア・ニュー・ワールド社が創成したニュース素材がコンクリートよりも強いことを、オーストラリア原子力科学技術機構(ANSTO)ともう一つの独立外部組織が検証した。この材料はプラスチックと有毒土壌で作られており、コンクリートよりも劣化しにくく、有毒物質や低レベル放射性廃棄物の収納に使用できる。

新しいポリマー技術の発明者および開発者であるモハマド・アリ・サナグーイ氏(左)とスティーブン・ラザレビッチ氏。 右側は、ポリマー、プラスチック、石炭灰が共に溶融されて新しい建築製品が形成されているところ。クレジット:ジャスティン・マクマナス

 

WIPPの2023年TRU廃棄物出荷量は10年ぶりの高水準

米国DOE(エネルギー省)によると、ニューメキシコ州の廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)は2023年、この10年間で最高となる489件の超ウラン廃棄物の出荷を受け入れた。この増加は、発電所との連携強化、輸送支援の強化、一連の地下貯蔵室の開設による効率の向上による。

ニューメキシコ州のWIPPサイトに向かう廃棄物輸送配送トラック(写真:DOE)

 

フランスの「鉛212」生産施設の建設開始

オラノ社の子会社 オラノ・メッド社は、フランス北部のオネンにアルファ療法研究所 (ATLab) の基礎を築いた。 これは、鉛212(Pb-212)ベースの放射性リガンド療法の製造に特化した欧州初の産業規模の製薬施設となる。このアイソトープは、標的アルファ療法と呼ばれる先進医療に用いられ、アルファ線放出アイソトープをタンパク質または抗体と組み合わせて、健康な組織への損傷を最小限に抑えながらがん細胞を特異的に標的にして破壊する。

ATLab バランシエンヌ施設の起工式(画像:オラノ・メッド)

 

INL、セシウム血液照射装置リプレースのダッシュボードを作成

セシウム137を使用して血液を照射する技術は、移植片対宿主病(GVHD)を防ぐことで命を救えるものだが、装置が退役するとなったときに残置セシウムのセキュリティ確保が必要となる。 国家核安全保障局(NNSA)は国立研究所と協力し、セシウム照射装置代替プロジェクトを通じてセシウムベースの照射装置を非放射性技術へのリプレースを進めている。このプロジェクトは、2027年末までにセシウム血液照射装置を廃止することを目指している。アイダホ国立研究所(INL)の研究者は、照射装置撤去を追跡するためのダッシュボードを作成した。

(写真:INL)