• IAEAミッション、福島の処理水放出の安全性を再確認
  • 中国・三澳2号機でポーラークレーンが運用開始
  • トルコ・アックユ原発向け蒸気発生器2基がサンクトペテルブルクから輸送中
  • 米NRC: 2029年までに少なくとも25件のSMR・先進炉申請の可能性を予測
  • ベラルーシとロシア、原子力協力深化を目指す
  • 長年にわたり虚偽の原発検査レポートを提出したとして2人に判決
  • バージニア州議員、SMRに関する州民の意見を募る公聴会を約束
  • グランド・キャニオン近くのウランプロジェクトで先住民に懸念
  • ITMとアルファ-9が医療用ルテチウム177の供給契約を締結
  • 廃棄物処分施設WIPPがサバンナ・リバー・サイト教育アウトリーチの成功から学ぶ
     

IAEAミッション、福島の処理水放出の安全性を再確認

日本での、事故で損傷した福島第一原子力発電所からの処理水の海洋放出は国際的な安全基準と合致していると、放出を監視しているIAEA(国際原子力機関)タスクフォースは、2023年の放出開始以来の全体報告書で結論づけた 。サイトでは、溶融した核燃料を冷却するためにも用いられた汚染水は多核種除去設備(ALPS)で処理され、トリチウムを除く放射性汚染の大部分が除去される。この処理水は現在、サイト内にある約1000基のタンクに保管されている。

2023年10月に福島第一を訪問し、希釈・放出施設を視察するタスクフォースメンバー(画像:東京電力)

 

中国・三澳2号機でポーラークレーンが運用開始

ポーラークレーンが、中国浙江省にある三澳原子力発電所2号機(中広核(CGN)型華龍一号)の格納容器の上部に据え付けられた。 試験も完了し、クレーンを使用する準備が整った。クレーンの吊り上げトラックの直径は43m、主な吊り上げ荷重は200t、補助吊り上げ荷重は35t、据付用トロリの吊り上げ荷重は480t 。38m以上の高さに据え付けられた。

三澳2号に据え付けられたポーラークレーン(画像:CGN)

ポーラークレーンの荷重試験(画像:CGN)

 

トルコ・アックユ原発向け蒸気発生器2基がサンクトペテルブルクから輸送中

1/29~30にかけ、ロシアのサンクトペテルブルクで、トルコのアックユ原子力発電所(NPP)向けの巨大な蒸気発生器2基(訳注:VVERの特徴である横型)がネヴァ川沿いに大きな港まで輸送された。この巨大な貨物を輸送するには、砕氷船3隻、タグボート2隻、バルジ1隻の船隊を組む必要があり、市の中心部を通過するための橋も建設された。

(写真:タス通信)

関連報道:

https://tass.ru/ekonomika/19848761 

 

米NRC: 2029年までに少なくとも25件のSMR・先進炉申請の可能性

米国NRC(原子力規制委員会)と連邦エネルギー規制委員会(FERC)との間で1/25に開催された会合には、北米電力信頼度協議会(NERC)も出席し、2033年に8,300万キロワットの原子力・火力発電容量が廃止される可能性があるとの報告書を発表した。NRCは、2029年までに小型モジュール型原子炉と先進原子炉の許認可申請が少なくとも25件、9,000万kWの発電容量となる可能性を予想している。

(画像:データセンター・フロンティア)

 

ベラルーシとロシア、原子力協力深化を目指す

原子力技術の平和利用における協力を深めるためにロシアとベラルーシの間で新たに覚書(MoU)が締結され、その下で実現する可能性があるものの一つには多目的研究用原子炉がある。ロスアトムは声明で、覚書は「核医学、デジタル化、添加技術、蓄積された環境被害の除去、放射性廃棄物管理の分野における共同プロジェクトの実施を規定している。これらの分野におけるロシア・ベラルーシの協力は、 我が国の技術主権を確保するために、ロシアの原子力産業複合体とベラルーシ企業の能力を強化する。」としている。ベラルーシ国営通信社ベルタはさらに詳細を付け加え、覚書に基づき「両国はベラルーシに多目的研究用原子炉、ラボ群、多目的照射センター、核医学センターを、個別施設ないし『原子力研究技術センター』を形成する個々の要素を特徴とする包括的なプロジェクトの一部として創設する」と述べている。

両国はすでにベラルシアン(オストロベツ)原発所(BelNPP)で協力している(画像:BelNPP)

 

長年にわたり虚偽の原発検査レポートを提出したとして2人に判決

原子力発電所のアコースティック・エミッション(AE)検査役務を提供する企業の元従業員2人が、2010年から2021年にかけて虚偽の検査報告書を提出したことを認め、有罪を認めて有罪判決を受けた。2人は、司法取引の一環で、NRC(原子力規制委員会)からの許可を要する就労を最長5年間禁止される。

原子力発電所の冷却塔  写真提供: Unsplash.com/Lukáš Lehotský

 

バージニア州議員、SMRに関する州民の意見を募る機会を約束

バージニア州議会のテリー・キルゴア下院議員とトッド・ピリオン上院議員は、グレン・ヤングキン州知事が15か月前に発表した州南西部に小型モジュール型原子炉(SMR)を新設する計画について公聴会を開くことを約束した。 州主催の公開集会はまだ一度しか開催されていないが、この問題が注目を集めればさらに多くの参加が行われるはずだと議員らは言う。

キルゴア議員(左)とピリオン議員(画像:タイムズニュース)

 

グランド・キャニオン近くのウランプロジェクトで先住民に懸念

グランド・キャニオンの約25マイル(約40km)南にあるアリゾナ州のピニヨン・プレイン・ウラン鉱山でのエナジー・フュエルズ社プロジェクトが、先住民のハバスパイ族に環境への懸念を引き起こしている。 このプロジェクトは、部族にとって神聖な土地を保護するために2023年制定された連邦保護にもかかわらず許可されており、部族は依然としてこのプロジェクトに反対する計画である。

画像:KVTK(Arizona's Family)

 

ITMとアルファ-9がLu-177の供給契約を締結

ITMアイソトープ・テクノロジーズ・ミュンヘン社 とアルファ-9オンコロジー社は、アルファ-9 のがん治療向け放射性医薬品治療パイプライン候補の開発の支援を目指し、包括的臨床供給契約を締結した。この契約により、ITMはアルファ-9のルテチウムベースの候補に医療用放射性同位体である無担体ルテチウム-177(Lu-177)を供給することになる。ITM は、無担体 Lu-177 について米国食品医薬品局(FDA)のっドラッグマスター ファイル(DMF)を保有しており、EU でも販売承認を取得している (商品名 EndolucinBeta)。

(画像:アルファ-9)

 

WIPPがSRS 教育アウトリーチの成功から学ぶ

ニューメキシコ州の廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)のプログラム・マネジャー、ジョイ・ジェームス・フォスター氏は、サバンナ・リバー・ニュークリア・ソリューションズ(SRNS)社のキム・ミッチェル氏がリーダーを務めて良好な実績を上げているSTEMアウトリーチ・プログラムから学ぶため、サウスカロライナ州のサバンナ・リバー・サイト(SRS)を訪問した。 SRS の教育アウトリーチは2008年から実施されており、「地域科学ボウル」、「革新的授業ミニ助成金」、ワークショップなどの取り組みが含まれている。

WIPPのジョイ・ジェームス・フォスター氏(左)がSRNSのキム・ミッチェル氏を訪問し、ニューメキシコ州カールスバッドで地域科学ボウルを設立する方法について学んだ(写真:SRNS)