• 中国・徐大堡大堡1号に大型モジュールCA20を据付
  • ウクライナ・エネルギー相:フメリニツキー原発が欧州最強になる可能性
  • 英国で廃止されたバークレー原発がSMR開発者の研究開発センターとなる
  • インタビュー: 大英原子力トップ、英国の 2,400万kW 計画と SMR コンペを語る
  • デューク・エナジー、クリーン・エネルギーに注力に向け組織再編を計画
  • 原子力発電による石炭火力代替に未来を見るエンジニア
  • トランスミューテクス社、ウランでなくトリウムで加速器駆動未臨界炉開発を目指す
  • ドイツのニューケム社、廃棄物セメント固化システムのモックアップを完成
  • ゼノ、ラジオアイソトープ発電システムにオーク・リッジの「燃料」を使用
     

徐大堡1号に大型モジュールCA20を据付

AP1000型炉での最大かつ最も重いモジュールであるCA20が、中国の遼寧省にある徐大堡原子力発電所1号機(中国型AP1000、CAP1000)に据え付けられた、中国核工業集団公司(CNNC)の子会社である中国核工業二三建設有限公司(CNI23)が発表した。CNI23によると、CA20モジュールは長さ20.6m、幅14.2m、高さ21m、重量1000t強で、1/24に所定の位置に吊り込まれたという。直方体形のモジュールは、使用済燃料貯蔵、輸送、熱交換器、廃棄物集積などプラント設備・機器で構成される。

CA20モジュールが格納容器内に吊り込まれる(画像:張書甯 / CNI23)

モジュールを持ち上げる準備をするクレーン (画像: 張書甯 / CNI23)

モジュールが吊り上げられるのを見守る作業員(画像:張書甯/ CNI23)

 

ウクライナ・エネルギー相:フメリニツキー原発が欧州最強になる可能性

ウクライナのヘルマン・ハルシチェンコ・エネルギー大臣は、フメリニツキー原子力発電所に新たに4基を増設するプロセスが今年始まると述べた。同相は、ウクライナはVVER-1000技術に基づく3号機と4号機の建設・完成に向けてウェスティングハウス(WH)と緊密に協力しており、またWHのAP1000技術を使用した全く新しい2基の建設にも取り組んでいると述べた。3号炉はすでに半分以上完成しているため、同相は最短で2年半以内に運転開始できると見る。エネルギー省では、同相がウクライナのテレビに語ったところによると、他の原子炉はもっと時間がかかるが、完成すれば「フメリニツキー原発の6基の原子炉が発電できる電力をもってすれば、欧州最大となり、ザポリージャよりもさらに強力になるだろう」と語った 。

フメリニツキー原発(画像:ウクライナ・エネルギー省)

 

英国の廃止原発がSMR開発者の研究開発センターとなる

廃止された英国のバークレー原子力発電所は、小型モジュール型原子炉(SMR)関連技術に取り組む開発者にとって「低炭素エネルギーのスーパークラスター」となる予定だ。 ロールス・ロイスと協力しているチルターン・バイタル・グループは、プラントのサイエンスパークを取得することに合意した。

バークレー原発は1982年まで操業された(画像:BBC)

 

インタビュー: 大英原子力トップ、英国の 2,400万kW 計画と SMR コンペを語る

英国における将来の原子力容量拡大を取り上げた大英原子力(GBN)のサイモン・ボウエン会長のワールド・ニュークリア・ニュース・ポッドキャストでのインタビューからの要点が書かれている。インタビューは、英国政府が2050年までに原子力容量2,400万kWを達成するためのロードマップを発表した直後、英国の小型モジュール炉プログラムのための GBN主導の選択プロセスの最終候補に残った6社(EDF、GE日立、ホルテック、NuScale、ロールス・ロイスSMR、ウェスティングハウス)が、次のステップを待ち構えている中で行われた。

小型モジュール炉コンペ出場の6社(画像:各社のビジュアル合成)

 

デューク・エナジー、クリーン・エネルギーに注力に向け組織再編を計画

米国の原子力発電所6か所で11ユニットを運転するデューク・エナジー社は、クリーン・エネルギーに焦点を当てた組織再編の一環として「限定的」解雇を実施する計画だと述べているが、同社の従業員2万8,000人のうち何人が影響を受けるかについては明らかにしていない。 デューク社は今後10年間で原子炉の寿命延長を含むインフラ整備に1,450億ドルを投資するほか、先進原子力への投資も計画している。

ノースカロライナ州シャーロットのデューク エナジー センター (右側の銀色の高い建物) (写真: デューク・エナジー)

 

原子力発電による石炭火力代替に未来を見るエンジニア

ポッドキャストを運営するファイヤ・ツー・フィッション(F2F) の責任者でエンジニアのマーク・ヒナマン氏は、地元コロラド州のすべての石炭火力発電所を原子力発電所に置き換え、米国全土および世界中でエネルギー生成の脱炭素化を継続することを提案している。「この将来像を達成するには、原子力に関する既存の神話を払拭し、新規原子炉の許認可を改善し、工程・予算通りに原子炉を新設する方法を学び直す必要がある」とヒナマン氏は書いている。

画像:X/@Fire2Fission

 

トランスミューテクス社、ウランでなくトリウムで加速器駆動未臨界炉開発を目指す

スイスの新興企業トランスミューテクスは、「相対的に豊富に存在し、長寿命廃棄物を生み出さずに発電できる能力を活かし、ウランではなくトリウムを原料として使用する原子炉を建設する」とCEOのフランクリン・サーバン・シュライバー氏は語る。加速器駆動未臨界炉(ADS)でトリウムを燃料とし、プルトニウムを生成しないシステムを目指している。

トランスミューテクス社ウェブサイトより(画像:トランスミューテクス)

 

ドイツのニューケム社、廃棄物セメント固化システムのモックアップを完成

ロシアのアトムストロイエクスポルト社の子会社であるドイツのニューケム・テクノロジーズ・エンジニアリング・サービシズ社は、最先端の槽内セメント固化施設の実験設備が無事に完成したと発表した。同社は、開発したセメント固化プラントは、高濃度塩気化濃縮物、焼却施設からの放射性灰、イオン交換樹脂、吸収剤およびフィルター材料、放射性汚泥、さらには天然放射性物質(NORM)廃棄物を含む幅広い放射性廃棄物並びに石油やガスの生産工場、製油所、化学または医療産業からの廃棄物および有害廃棄物を処理できると述べた。

槽内セメント固化設備のモックアップ(画像:ニューケム・テクノロジーズ)

 

ゼノ、ラジオアイソトープ発電システムにオーク・リッジの「燃料」を使用

ゼノ・パワー社は、NASA(米航空宇宙局)や国防総省などの顧客向けに新たな種類の電力システムを開発に向け、オーク・リッジ環境管理局およびユナイテッド・クリーン・アップ・ オーク・ リッジ(UCOR)社と協力して、オーク・リッジ国立研究所(ORNL)にある過去製造された最大のラジオアイソトープ発電装置BUP-500の移転を受けた。ゼノ社 は、廃止された発電装置のラジオアイソトープ燃料をストロンチウム 90ベースの軽量 システムに再利用する計画であり、同社は 2026 年までに商業化することを目指している。

ゼノ・パワー社協同創業者兼CEOのタイラー・バーンスタイン氏(画像:ダニエル・ダッソー/ニューズ・センティネル)