• AP報道:福島の溶融燃料デブリ取り出しはさらに遅れる
  • 写真: バングラ・ルプール2号にパッシブ熱除去設備を据付
  • 事故耐性燃料が照射後試験のためにアイダホ国立研究所に到着
  • エネルゴアトム:ザポリージャ原発の燃料の保証期限6年が間もなく失効
  • 新たなサイトが英国の地層処分施設誘致に関心
  • ハーバード大学教授が原子力発電所周辺の健康データを調査
  • 米国のWIPPで10年ぶりの新たな処分パネルの工事開始へ
  • 米サウスカロライナ州知事、サバンナリバー国立研究所への資金提供を要請
     

AP報道:福島の溶融燃料デブリ取り出しはさらに遅れる

日本の東京電力は、ロボットアームを挿入する経路を確保するのが困難であるとして、福島第一原子力発電所からの溶融燃料デブリの取り出しを10月まで延期した。取り出しは2021年に開始される予定だったが、パンデミックの影響で計画は2022年に延期され、ロボットアームの問題によりさらに遅れることとなった。

2022年7月、福島第一原子力発電所から燃料デブリを除去するために設計されたロボットアーム(共同通信AP経由)

日本語情報:

https://www.jaif.or.jp/journal/japan/21387.html 

IRID/東電資料抜粋

 

写真: バングラ・ルプール2号にパッシブ熱除去設備を据付

ロスアトムによると、バングラデシュのルプール2号(VVER-1200)で、215tのパッシブ熱除去設備の鋼製構造物の内側と外側の部分の据付が2日で完了したという。パッシブ熱除去設備 (PHRS) は、所内の電源が失われた場合に、外気は熱交換器に取り入れ、自然循環を利用して原子炉炉心から大気中へ長期にわたって熱を除去する安全機能。大気は加熱された後、空気ダクトを通ってドームの上部にある出口ヘッダーまで上昇し、大気中に戻り、原子炉区画を冷却する。

原子炉建屋上に据え付けられた構造物(画像:ロスアトム)

 (画像: ロスアトム)

PHRS が1号機に設置されているのが確認できる (画像: Rosatom)

 

事故耐性性燃料が照射後試験のためにINLに到着

ウェスティングハウス・エレクトリック(WH)社は、事故耐性燃料(ATF)を含む25本の照射済み実験用核燃料棒を試験と検査のためにアイダホ国立研究所(INL)に出荷した。 この試験は、商用原子炉で使用できる燃料を認定するプロセスの一部である。燃料はINLの材料・燃料複合施設で分析および試験され、制御された環境で出力過渡事象や冷却材喪失事故(LOCA)のシミュレーションを伴う安全性試験も行われる。 INLによると、これらは燃料を限界点以上に負荷をかけるように設計されているという。同研究所の新型試験炉(ATR)では、商用炉での 10 年間の稼働に伴う負荷を模倣した耐久試験短期間で実施するための燃料を準備も進められている。

照射済み燃料は12月にINLに到着(画像:Businesswire)

 

エネルゴアトム:ザポリージャ原発の燃料の保証期限6年が間もなく失効

ウクライナ・エネルゴアトムのペトロ・コティンのCEO代理は、現在制圧下にあるザポリージャ原子力発電所の全6基の原子炉で使用されている核燃料に対して製造業者が認めた6年間の保証期間が間もなく期限切れになると指摘した。このような燃料をさらに運転すると、現在の安全基準下の技術仕様書の条件に違反し、燃料健全性の問題、ひいては放射線事故を引き起こす可能性があるという。

画像:エネルゴアトム

 

新たなサイトが英国の処分場誘致に関心

英国の地層処分施設(GDF)作業部会が英国ヨークシャー州イーストライディングのサウス・ホルダーネスで設立され、この地域が地下放射性廃棄物処分施設の設置に適しているかどうかについての取り組みを開始した。 他の3つのコミュニティがすでに GDF 立地プロセスに参加している。「GDF作業部会の設立は単に地元コミュニティとの対話の出発点であり、GDFが特定の地域に建設されることを示すものでは決してない」とニュークリアウェイストサービス(NWS)は述べた。「作業部会の任務の一つは、コミュニティ全体の人々を巻き込んで、地元エリアやコミュニティが抱えている問題や疑問を理解し始めることだ。」

ウィザーンシー、海辺のリゾートタウンとホルダーネスの公教区 (画像: NWS)

 

ハーバード大学教授が原子力発電所周辺の健康データを調査

ハーバード大学のペトロス・コウトラキス教授は、マサチューセッツ州のピルグリム原子力発電所やその他の原子力発電所周辺から公衆衛生データを収集し、がん発生率に対する原子力発電所の影響の可能性を研究することを計画している。コウトラキス教授はまた、DNA損傷や放射性核種などのバイオマーカーを測定するために、発電所からさまざまな距離に住む住民から血液サンプルを収集することも計画している。

ピルグリム原子力発電所(画像:NRC)

ハーバード大学環境科学ペトロス・コウトラキスは教授(T.H. チャン/公衆衛生大学院)

 

米国のWIPPで10年ぶりの新たな処分パネルの工事開始

米国DOE(エネルギー省)の廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)で新たな処分パネルの掘削作業が開始された。 パネル 11 は、WIPP の操業許可 10年間延長の一環としてニューメキシコ州環境局によって昨年承認された2層の廃棄物定置パネルのうちの 1 層目となる。

WIPPのパネル11を掘削する連続採掘機(画像:DOE環境管理局)

関連報道:

https://www.ans.org/news/article-5720/mining-of-new-waste-disposal-panel-begins-at-wipp/ 

 

サウスカロライナ州知事、サバンナリバー国立研究所への資金提供を要請

サウスカロライナ州のヘンリー・マクマスター知事は、サバンナリバー国立研究所(SRNL)を含む原子力科学研究パートナーシップであるバッテル・サバンナ・リバー・アライアンスに資金提供するため、2,000万ドル(約30億円)の州資金を要求した。 同知事はまた、国立研究所、研究大学、専門学校、企業、経済開発非営利団体を含むコンソーシアムであるサウスカロライナ先進レジリエント・エネルギー・ネクサス(SC Nexus)を支援するために1,500万ドル(約22億円)を求めている。

SRNL(写真:エイケン・スタンダード)