• EDF、ヒンクリー・ポイントCの遅延とプロジェクトコストの上昇を発表
  • 原子力発電量は2025年までに新記録に達するとIEAが発表
  • ウェスティングハウスとプロディジーが浮体式原子力発電プラントで協力
  • 意見調査:米国での原子力発電所新設時期へのコンセンサスはない
  • 地方紙社説:コロラド州は原子力を「クリーンなエネルギー資源」にしなければならない
  • UAEの核燃料集合体組立工場の入札が開始
  • ファースト・ライト・フュージョンの装置改良で発射体速度が3倍増
  • 原子力工学履修データの明るい点は博士号取得数
  • IBA のサイクロン70 が南アフリカでのラジオアイソトープ生産を強化
     

EDF、ヒンクリー・ポイントCの遅延とプロジェクトコストの上昇を発表

フランス国営原子力大手EDFは、英国ヒンクリー・ポイントC原子力発電所は2027年に完成予定で、最大260億ポンドの費用がかかると予想されていたが、現在では2030年までに稼働する可能性は低く、総コストは310億ポンドから340億ポンド(2015年時点価格)に修正されると明らかにした。EDFは1/23夕方に発表した声明で、プロジェクトのレビューが完了し、現在の目標は「2020年代の終わり頃」に1号機を稼働させることだと述べた。同社は3つのシナリオを示した。当初のシナリオは機電工事の生産性目標値に基づいて2029年に1号機が運開するというもの。第 2のシナリオ (今後の「基本ケース」) は、機電工事と試運転工程におけるいくつかのリスクを想定した結果、 2030年に運開。第3のシナリオは、2031年までさらに12か月遅延するというもの。EDFは現在、想定コストを2015年価格で310億ポンドから340億ポンドの間と見積もっており、第3のシナリオではさらに10億ポンドかかると述べた。EDF幹部から現地スタッフに宛てたメッセージでは、新型コロナウイルス感染症のパンデミックによりプロジェクトに15か月の遅れが生じたと述べ、さらに「20年間の休止期間を経て、英国で原子力建設産業を真っ先に再開するのは困難だった。」と付け加えた。

ドームの設置は12月に行われた(画像:EDFライブストリーム)

 

原子力発電量は2025年までに新記録に達するとIEAが発表

国際エネルギー機関(IEA)によると、世界の原子力発電量は2026年まで年平均3%近く増加し、2025年までに過去最高に達すると予測されている。予測期間中、運転開始が見込まれる新規原子炉の半数以上が中国とインドにある。2026年までの電力需要、供給、CO2 排出量の予測を提供するIEA の「電力 2024」によると、クリーン エネルギーへの移行が加速するにつれて、世界の電力需要は今後3年間でさらに速いペースで成長すると予想されており、予測される需要の増加分は低炭素発電技術によってカバーされると想定されている。原子力発電量は、フランスで発電量が増加、日本でいくつかが再稼働、新設原子炉が多くの市場で営業運転開始することで、2025年までに2021年の過去最高記録を上回り、中国、インド、韓国、欧州を含め、世界的に過去最高に達すると予測されている。IEA は、世界の原子力発電量が 2026 年には 2023 年と比較してほぼ 10% 増加すると予想している。

トルコのアックユ1号機は2024年後半に運開予定(画像:アックユ原子力発電所)

関連報道:

https://www.reuters.com/business/energy/growth-low-emissions-power-expected-cover-demand-iea-2024-01-24/ 

 

ウェスティングハウスとプロディジーが浮体式原子力発電プラントで協力

協力の目標は、プロディジー社が 2030年までにカナダ初の海洋ベースの可搬型原子力発電プラント (TNPP) を、ウェスティングハウス(WH)の マイクロ原子炉eVinciによって実現するというプロジェクトだ。WHのブログポストによると、両社は2022年に契約を締結し、概念設計と規制調査により、「eVinciマイクロ炉TNPP設計の完成、TNPPの製造、艤装、輸送のための原子力規制監督モデルの開発完了、2030年までのカナダ初のプロジェクトに資する許認可及び立地評価の推進」などの後続ステップを完了したという。

プロディジー・マイクロ炉発電所の外観 (画像:WH)

関連報道:

https://www.powermag.com/prodigy-and-westinghouse-targeting-launch-of-evinci-floating-nuclear-plant-in-canada-by-2030/ 

 

意見調査:米国での原子力発電所新設時期へのコンセンサスはない

カナリー・メディア編集ディレクターのエリック・ウェゾフ氏による非公式な調査によると、米国での次の原子力発電所の運転開始時期については意見の一致が見られず、ウェゾフ氏は「回答は至る所バラバラだった」と述べた。 ウェゾフ氏は、DOE(エネルギー省)と一般国民の原子力への支持が高まっていることを挙げ、「米国の原子力ルネッサンスに最適な条件が整っている」ため調査を実施したと述べた。

ミシガン湖畔のパリセーズ原子力発電所は廃止された(そしておそらくはすぐに再稼働予定)(画像:ホルテック)

 

地方紙社説:コロラド州は原子力を「クリーンなエネルギー資源」にしなければならない

米国コロラド州議会は2024/1/24現在、原子力を「クリーンエネルギー源」とみなす法案を審議している。この指定は、公共事業体による原子力への投資を奨励し、家庭や企業の光熱費を安定させ、潜在的に削減し、グリーン化への努力によって低所得住民に与えられる損害を抑制するだろうと、法案通過を求めるガゼット紙編集委員会は書いている。

2017/9/1、イリノイ州バイロン原子力発電所(マディソン・ホプキンス/AP経由BGA)

 

UAEの核燃料集合体組立工場の入札が開始

アラブ首長国連邦(UAE)の首長国原子力公社(ENEC)は、国内での核燃料集合体製造施設の入札を開始したと発表した。この施設はバラカ原子力発電所用の燃料集合体を生産する予定だ。ENECによると、同施設は、さまざまな部品から燃料集合体を工業的に組み立てることに特化すると述べた。「燃料集合体施設には濃縮も再処理も含まれないが、厳格な原子力品質基準の必要性を考慮し、引き続き原子力事業として規制される」とENECは指摘した。

バラカ原発(画像:ENEC)

 

ファースト・ライト・フュージョンの装置改良で発射体速度が3倍増

英国に本拠を置くファースト・ライト・フュージョン社は、超高速の発射体を特別に設計されたターゲットに衝突させて核融合エネルギーを発生させることを目的としており、先行モデルよりも3倍の高速度に達することができる「マシン4」と呼ばれるパルス出力装置を開発中だ。 鍵は「増幅器」にある。これは衝撃波を核融合燃料のペレットに集中させ、結果として生じる衝撃波強度を倍増させる立方体形状の物体だ。

増幅器(写真: ファースト・ライト・フュージョン)

 

原子力工学履修データの明るい点は博士号取得数

米国オークリッジ科学教育研究所(ORISE)の調査によると、2021年と2022年に発行された原子力工学の学位の数は過去10年以上で最低レベルに落ち込んだ。 しかし、2022年に発行された博士号の数は1966年以来の最高レベルに達している。データによると、2021年と比較して2022年の修士号は増加したが、学部入学者数は減少傾向にあることを示している。

(画像:ORISE)

 

IBA のサイクロン70 が南アフリカでのラジオアイソトープ生産を強化

IBA社は、南アフリカのケープタウンにあるイセンバ研究所( iThemba LABS) で サイクロン70システムをフル稼働させ、既存の加速器から医療画像用ラジオアイソトープ生産を移管できるようにした。このシステムは、心血管疾患診断用のストロンチウム82 と PET イメージング用のゲルマニウム 68 の製造に焦点を当てる。

(画像:イメージング・テクノロジー・ニュース)