• ブルガリア・コズロドイ 7号建設への関心表明を求める引合状を発行
  • フォータム、フィンランドとスウェーデンの原子炉建設候補地を検討
  • 三菱重工、EDF向け取替用蒸気発生器を完成
  • 米・フェルミ2号での補修作業が継続中
  • マイクロソフトが原子力技術ディレクターを採用
  • ATLAS ビームラインの重粒子線で燃料、材料の研究を加速
     

ブルガリア・コズロドイ 7号建設への関心表明を求める引合状を発行

2035年までにコズロドイ原子力発電所サイト内に、新たなAP1000ユニットを建設するための設計、建設、調達(EP+C)及び試運転への参画を求める者は、2/2までに関心表明募集に応じる必要がある。この第一段階のプロセスは、適格性および事前資格審査基準に照らして候補者の事前資格を決定するためのもの。「コズロドイ原発新設会社」が発行した文書によると、最終候補者は将来、別のプロセスでオファーを提出することになるという。そこでは、「今回の業務が求める全体的な目的と結果は、2035年までにAP1000プラントを調達、建設、試運転、稼働させることである。AP1000プラントに対する設計権限全体の責任は、ウェスティングハウス(WH)が負うものとする。個々のAP1000プラント設備と建屋の設計に対する責任は、WHから委任され、モジュール、建設、組立およびプラットフォームの設計の責任は、当該アイテムが配置される建屋の設計を担当する者と連携する。エンジニアリング、輸送および物流、建設および建設/設置、試運転および起動活動は、責任分担に関する別の文書で定義され、最終的には EP+C 契約の一部となるものとする。」とされている。

コズロドイ原発はブルガリアの電力の約3分の1を供給している(画像:コズロドイ原子力発電所)

 

フォータム、フィンランドとスウェーデンの原子炉建設候補地を検討

フィンランドのフォータム社によると、フィンランドとスウェーデンのサイトが、小規模ないし大規模原子炉向けに同社が検討しているサイト候補の中に含まれるという。フォータムは2022年にドイツのユニパー社の所有権を放棄した後、北欧に注力したいと考えており、フィンランドとスウェーデンでの原子力及び火力発電容量の見直しを行っている。

フィンランドのエスポーのフォータム本社のロゴ 2022/7/22 ロイター経由Roni Rekomaa/Lehtikuva/

 

三菱重工、EDF向け取替用蒸気発生器を完成

日本の三菱重工業株式会社(MHI)は、フランスの原子炉事業者から発注された取替用蒸気発生器9基のうち3基を神戸造船所で完成させた。蒸気発生器はそれぞれ高さ約21m、重さ約330tで、強力な低合金鋼(合金元素が5%以下の鋼)で作られた耐圧容器。 各蒸気発生器には、耐食性を高めるために特別に熱処理された最先端のニッケル、クロム、鉄の合金である TT690 で作られた 4,500 本以上の伝熱管が含まれる。MHIによれば、製造には0.01mm程度の高い加工精度が要求されるという。

三菱重工神戸造船所で蒸気発生器の完成式典が行われた(画像:三菱重工)

 

三菱重工製EDF向け取替用蒸気発生器の1基(画像:三菱重工)

 

米・フェルミ2号での補修作業が継続中

米国DTEエナジー社は1/18、復水器の修理のためフェルミ2号(BWR、110万kW)の運転を停止した。 DTEエナジー関係者によると、修理が完了次第、発電所は再起動され、100%出力に復帰するという。

フェルミ2号は復水器修理のため1/18に停止に入った。過去6カ月で3度目の停止。(アンディ・モリソン、ザ・デトロイト・ニュース)

 

マイクロソフトが原子力技術ディレクターを採用

新興企業ウルトラ・セーフ・ニュークリア社(USNC)の元社員であるアーチ―・マノハラン氏が、原子力技術担当ディレクターとしてマイクロソフト に入社した。マノハラン氏は「マイクロソフトは、電力セクターの脱炭素化を目指し、地球上のすべての個人とすべての組織がより多くのことを達成できるようにする世界的な取り組みに参加できることを誇りに思う」と述べた。

USNCのマイクロモジュラー炉(MMR、画像:USNC)

 

ATLAS ビームラインの重粒子線で燃料、材料の研究を加速

アルゴンヌ国立研究所(ANL)によると、アルゴンヌ・タンデム線形加速器システム(ATLAS)の一部である新しいビームラインであるATLAS材料照射ステーション(AMIS)は、多くの材料に対して、原子炉が1年で劣化させるのと同程度の影響を1日で与えることができ、現行および将来候補の燃料および構造材料の研究を加速するという。「原子炉に材料を装荷して何年もかけてこの損傷を与えるのではなく、核燃料物質も含めてAMISビームラインで照射すると、数時間から数日で同じ損傷を与えられる」と上級原子力技術者アブデラティフ・ヤクート氏は言う。

試運転前に AMIS ビームラインを調整するアルゴンヌの科学者ら(写真:アルゴンヌ)