• 英国政府、2050年までに原子力容量を4倍化するロードマップを発表
  • ケイロス・パワーの溶融塩試験システムが運転計画のマイルストーンを達成
  • (続報)カナダ・マクマスター大の研究者、SMR用改良コンクリートを目指す
  • ドミニオン、ミルストン原発の80年運転への延長を目指す
  • NRCハンソン委員長、ノースカロライナの原子力関連施設を訪問
  • ロシア、ITER第一壁パネルの製作試験を完了
  • IAEA、ケニアの研究用原子炉準備を「相当な進展」と評価
  • オークリッジの2024年アジェンダに建屋解体、ウラン除去が盛り込まれる
  • ニューメキシコ州、旧ウラン鉱山・製錬サイトの地図を作成するダッシュボードを開設

 

英国政府、原子力容量を4倍化するロードマップを発表

英国政府は、英国が2050年までに同国の予測電力需要の約25%に相当する2,400万kWの原子力発電容量を保有するという目標を達成するためのロードマップを発表した。英国における原子力のエネルギー比率は現在約16%だが、既存の原子炉は1基を除いてすべて2030年までに廃止される予定だ。このロードマップは「サイズウェルCに対する政府の歴史的コミットメントや小型モジュラー炉(SMR)技術開発において世界を先導する競争に加え、国としての野心的原子力計画の将来の方向性について、産業界に確信を与えることになる」と政府は述べている。このロードマップには、大型原子力発電プラントとSMRの検討に向けた、これからの各ステップが述べられており、原子力新設プロジェクトに対して、2030年から2044年まで、5年ごとに300~700万kW相当の投資決定を確保するという政府の目標も含まれている。

ヒンクリー・ポイントCは現在英国で建設中の唯一の新規原子力発電プラントである(画像:EDFエナジー)

関連報道:

https://www.theguardian.com/environment/2024/jan/11/uk-government-sets-out-plans-for-biggest-nuclear-power-expansion-in-70-years 

 

溶融塩試験システムが運転計画のマイルストーンを達成

ケイロス・パワー社は、非核加熱「工学試験装置(ETU)」による1,000時間の溶融塩ポンプ運転試験を無事に完了した。 12トンのフリーベ(フッ化物溶融塩)を保有する同ユニットは、これまでに建設された最大のフリーベ設備であり、低出力実証炉ヘルメスの設計、建設、運転に情報を提供することになる。フリーベはリチウム、フッ素、ベリリウムの化学的に安定な混合物で、ケイロス社のフッ化物塩冷却高温炉「KP-FHR」の冷却材として使用される。 同社は開発に対して反復的アプローチを採用しており、非核ETUは、主要な系統、構造物、コンポーネントの設計と統合の実証、サプライ・チェーンの運用を目的として、ニューメキシコ州アルバカーキの同社試験製造施設で建設された。

ETU1.0(画像:ケイロス)

 

(続報)マクマスター大の研究者、SMR用改良コンクリートを目指す

マクマスター大学の研究者らは、小型モジュール型原子炉(SMR)の安全性向上を目的として、耐損傷性、放射線遮蔽性能を備えた超高性能コンクリートの開発に取り組んでいる。 研究者らは、高性能コンクリートの2倍の強度である120~150MPaの強度を備えた「耐損傷放射線遮蔽超高性能コンクリート (DT-RS-UHPC)」材の創成に取り組んでいる。この材料は、コンパクトなままでより高い抵抗を提供し、材料間の空隙を最小限に抑え放射線減衰能力を向上させることができる。

ウスマン・ヒセーヌ助教授はDT-RS-UHPCの開発に取り組んでいる(画像:マクマスター大学)

関連記事:

https://ameblo.jp/hamasaki-pejp-nr/entry-12825242044.html 

 

ドミニオン、ミルストン原発の運転延長を目指す

米NRC(原子力規制委員会)は、ドミニオン・エナジー社から、コネチカット州のミルストン原子力発電所の運転をさらに20年間延長する認可(80年運転、SLR)を求める計画であるという通知を受け取った。ドミニオンとパートナーのグリーン・マウンテン・パワー社とマサチューセッツ公営卸電力(MMWEC)社は、それぞれ2035年7月と2045年11月に失効する2号機と3号機の運転認可を延長したいと考えている。

ミルストン原子力発電所(画像:MMWEC)

 

NRCハンソン委員長、ノースカロライナの原子力関連施設を訪問

米NRC(原子力規制委員会)のクリストファー・ハンソン委員長はこの程、ノースカロライナ州を訪問し、デューク・エナジー社ブランズウィック原子力発電所とGE日立ニュークリア・エナジーの製造施設を視察した。ブランズウィック原発は、3セットのバックアップ発電機を含む安全機能を追加し、2050年代までの運転継続を目指している。

2024/1/10、ブランズウィック原子力発電所ビジターズ・センターで講演するハンソン委員長(画像:WHQR Public Media)

 

ロシア、ITER第一壁パネルの試験を完了

サンクトペテルブルクに本拠を置くJSC NIIEFA(ロシア国営原子力企業ロスアトムの一部)は、国際熱核融合実験炉(ITER)核融合炉向け第一壁パネルのプロトタイプ製造と試験が成功裡に完了したと発表した。小型モックアップによる予備実験から、ITER真空チャンバー第一壁の高負荷パネル実機相当プロトタイプの製造および検収テストに至る、複数年にわたるプロセスの最終段階で、試験後のプロトタイプ幾何学的パラメータの測定が行われた。フランス南部のカダラッシュで建設中のITERプロジェクトでは、ロシアの担当範囲には、第一壁の最もエネルギー密度が高い(平方メートル当たり最大5MW)パネル179枚の製造が含まれており、これは炉壁総面積の40%に相当する。

(画像:ロスアトム)

 

IAEA、ケニアの研究用原子炉準備を「相当な進展」と評価

ケニアは将来の原子力計画への足がかりとなる同国初の研究用原子炉の開発を進めており、国内の原子力インフラ開発状況のレビューを受けるため、IAEA(国際原子力機関)のミッションを招請した。インド、米国にIAEAスタッフ6人を加えた8人からなるミッションチームは12月に9日間のミッションを実施し、IAEAのマイルストーンアプローチのフェーズ1基準に照らして同国の原子力インフラ開発状況をレビュー。原子力安全や廃棄物管理から資金調達に至る19項目の課題について、研究炉プロジェクトの準備に向けたガイダンスを提供した。ケニアは2030年代初頭に初の研究炉を稼働させる予定だ。 2023年9月、ケニア原子力エネルギー庁(NuPEA)は、キリフィまたはクワレに100万kWの原子力発電所を建設するプロジェクト案を発表している。

(画像:世界原子力協会)

 

オークリッジの2024年アジェンダに解体、ウラン除去が盛り込まれる

米DOE(エネルギー省)オークリッジ環境管理局(OREM)は、サイト内にまだ保管されているウラン233の除去やイースト・テネシー・テクノロジー・パークの土壌除染の完遂など、2024年にいくつかのプロジェクトを計画している。同局はまた、今年の最も優先度の高い解体プロジェクトである、325,000平方フィート(約30,200㎡)のアルファ-2建屋の解体も予定している。同建屋の解体は、同局によるマンハッタン計画時代のY-12旧濃縮施設の初の取り壊しとなり、リスクの高い高汚染構造物を撤去する。

今年、解体を開始するアルファ-2施設(写真:DOE)

 

ニューメキシコ州、旧ウラン鉱山・製錬サイトの地図を作成するダッシュボードを作成

ニューメキシコ州環境局(NMED)は、旧ウラン鉱山と製錬サイトに関する情報を提供するインタラクティブなダッシュボードを導入した。 ダッシュボードは、ウランの影響の調査を容易にし、レガシー サイト上の情報を簡単に見つける方法を提供することを目的としている。

ダッシュボードの外観(NMED)