• 英国規制当局がホルテック SMR の包括的設計評価を開始
  • ローレンティス、トラクテベルーハッチ SMR パートナーシップに参加
  • 米国、SMRの国外展開活性化に向けた資金調達の措置を講じる
  • ハンガリー、パクシュ原発の寿命の20年延長を目指す
  • COP28での容量3倍増の目標達成には課題が山積
  • 米国既設原子炉もインフレ抑制法での水素税額控除の資格を要望
  • オランダ・パラス研究炉の建設業者にスペインFCCを」選定
  • 調査: 米国民の大多数は原子力を支持
  • 先進実証炉の実用化には官民パートナーシップが必要
  • ハンフォードで初の試験用ガラスを貯蔵容器に注入
     

英国規制当局がホルテック SMR の包括的設計評価を開始

英国の原子力規制局(ONR)は、イングランドとウェールズの環境規制当局とともに、エネルギー安全保障・ネットゼロ省(DESNZ)から、ホルテック・インターナショナル社のSMR-300小型モジュール型原子炉(SMR)設計の包括的設計評価(GDA)を開始するよう要請された。ホルテックは、2011年から小型モジュール型原子炉(SMR)ユニットの開発を行っている。SMR-300は、約30万kWの電力または105万kWのプロセス用途向けの熱出力を生成する加圧水型原子炉で、同社はいくつかの設計を経たとしている。

ホルテック の 2 ユニット SMR-300 プラントの画像 (画像:ホルテック)

 

ローレンティス、トラクテベルーハッチ SMR パートナーシップに参加

オンタリオ・パワー・ジェネレーション(OPG)社の子会社ローレンティス・エナジー・パートナーズは、トラクテベル社およびハッチ社と提携して、世界中の産業用小型モジュラー原子炉(SMR)顧客をサポートするワンストップショップを開発する。今年 8 月、ベルギーのエンジニアリング会社トラクテベルとカナダのエンジニアリング、プロジェクト管理、プロフェッショナル サービス会社 ハッチ は、北米と欧州の SMR 技術の導入支援で協力することに合意した。両社が協力することで、原子力技術および原子力プロジェクトのコンサルティングの分野で「貴重な専門知識」を提供することを目指すという。今回、ローレンティス・エナジー・パートナーズも、トラクテベルおよびハッチと提携する契約を締結した。

ブリュッセルでのパートナーシップ契約の調印(画像:ローレンティス・エナジー・パートナーズ)

 

米国、SMRの国外展開活性化に向けた資金調達措置を講じる

米国国務省と米国輸出入銀行(EXIM)は、ネットゼロ目標の達成を支援する先進的な原子力システムの導入を支援する一連の金融ツールを発表した。また、「サッポロ5」(米、英、加、日、仏)の5カ国協力を通じてウラン濃縮・転換容量に42億ドル以上の投資を動員する計画も発表した。

EXIMのリタ・ジョー・ルイス総裁(左)とボニー・ジェンキンス米国務次官(軍備管理・国際安全保障担当)がドバイのCOP28で措置を発表(画像:X/@EXIMChair)

 

ハンガリー、パクシュ原発の寿命の20年延長を目指す

ハンガリーのパクシュ原子力発電所の運転事業者MVMは、4基の運転寿命を70年に延長する意向を欧州連合(EU)に通知した。パクシュ原発の既設 4 基は、1982 年から 1987 年の間に運転開始されたVVER-440型原子炉で、同国の電力の約半分を発電している。設計寿命は 30 年あったが、2005 年に20年延長され、2032年から2037年までとなっていた。

パクシュプラントはハンガリーの首都から約100キロメートル(画像:MVM)

 

COP28での容量3倍増の目標達成には課題が山積

COP28気候変動会議では20カ国以上が今世紀半ばまでに原子力発電能力を3倍にすると約束しているが、産業界は規制や資金調達の課題、燃料供給の問題、公共の安全への懸念に直面している。小型モジュール型原子炉(SMR)の継続的な開発は、いくつかの問題の解決に役立つ可能性がある。

カットノン原子力発電所の冷却塔と原子炉、2023/6/13、フランス、ロイター/Yves Herman

 

米国既設原子炉も水素税額控除の資格を要望

米国原子力産業界は、既設の原子炉がインフレ抑制法(IRA)セクション45Vとして知られる水素税額控除の対象となることを望んでいて、それらがなければクリーンな水素経済の推進は失敗する可能性があり、除外されれば業界の水素開発能力が抑制されると主張している。トム・カーパー上院議員(デラウェア州選出、民主党)からジャネット・イエレン財務長官に宛てた書簡には、「既設原子炉の適格性を認めることで、クリーンな水素を幅広い業界の顧客が利用できるほど手頃な価格で入手できるようになる」と書かれている。

スリーマイルアイランド原子力発電所、2017/5/30、米国ペンシルベニア州ロイヤルトンから撮影。ロイター/カルロ・アレグリ/ファイル写真

 

パラス炉の建設業者を選定

入札手続きを経て、スペインの建設会社FCCコンストラクシオン(FCC) は、オランダのペッテンにあるエネルギー&ヘルス キャンパスにパラス研究炉を建設する契約を締結した。2023年1月、NRGパラス社はEU公共調達規則に基づき、パラス原子炉とその周囲の建屋の建設に関する入札手続きを開始した。事前資格を満たした3社の候補が選ばれ、オファーを提出。NRGパラスは、FCCからの提案は「経済的に最も有利な入札」と評価されたと述べた。

(画像:NRGパラス)

 

調査: 米国民の大多数は原子力を支持

エコアメリカ社の調査によると、米国民の 52% が、エネルギー構成における原子力の導入を強くまたはある程度支持していることが示されている。この調査では、気候変動への懸念から原子力への支持が高まっていることも示されているが、多くの米国民は依然として原子力について誤解を持っており、回答者の54%は原子力も気候変動に寄与していると考えている。

過半数の米国民は石油・石炭が気候変動に寄与と理解(エコアメリカ)

 

先進実証炉の実用化には官民パートナーシップが必要

アルゴンヌ国立研究所(ANL)のフセイン・ハリル氏は、先進的な実証炉は今後10年間に実用化され、大幅な技術進歩が見込まれると書いている。 これを達成するには、技術的解決策を開発し、使用済燃料の管理、核セキュリティと核拡散リスクの軽減、世界市場の追求などの課題に対処する官民パートナーシップが必要である、とハリル氏は書いている。

ハリル氏(画像:米国原子力学会)

 

ハンフォードで初の試験用ガラスを貯蔵容器に注入

ベクテル社は米DOE(エネルギー省)と協力し、ワシントン州ハンフォードサイトの廃棄物処理・固定化プラントでガラス固化廃棄物を保管するステンレス鋼の容器に初の試験用ガラスを注入した。これは、タンク廃棄物をガラス固化することによる放射性廃棄物および化学液体廃棄物の処理に向けた重要な一歩を示している。

ハンフォードのガラス固化プラントで、溶融した試験ガラスが充填された最初のステンレス鋼の容器の前に立つクルーメンバー (写真:ベクテル・ナショナル)