• ロスアトム、マイナーアクチニド入り高速炉MOX燃料集合体を初めて製造
  • 中国の高温ガス実証炉HTR-PMが営業運転開始
  • 新ハヌルで2基目のAPR-1400が初臨界
  • 写真画像: ヒンクリー・ポイントCにポーラークレーンを据付
  • ウラン生産会社enCoreとボス・エナジーが戦略的パートナーシップを締結
  • TRIGAインターナショナル、米国のマイクロ原子炉用燃料を製造へ
  • グランホルム長官、テネシー州の原子力施設訪問中にSMRについて語る
  • (続報)ケリー特使: 商業核融合には世界的な協力が必要
  • 核融合への関心、開発は成長し続ける
  • ジョージア州規制当局、ボーグル3/4号増設コスト超過分の顧客負担を検討
  • 科学週間イベントで、原子力発電所ツアー、「原子力は今」を上映

ロスアトム、マイナーアクチニド入り高速炉MOX燃料集合体を初めて製造

クラスノヤルスク州ジェレズノゴルスクにあるロスアトムの鉱業・化学コンビナート(MCC)は、ウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料を使用して、燃料マトリクスにプルトニウムだけでなく、他の超ウラン元素(アメリシウム241とネプツニウム237)を含む燃料集合体3体を初めて製造した。燃料集合体は無事に承認され、2024年にベロヤルスク原子力発電所(4号機)BN-800高速中性子炉に装荷される予定。革新的な燃料は、3回のマイクロキャンペーン(約1年半)中にパイロット運転(集合体先行照射試験プログラム)が行われる予定 。

(画像:ロスアトム)

関連報道:

https://tass.ru/ekonomika/19469191 

https://atommedia.online/en/2023/12/06/rosatom-delaet-znachitelnyj-shag-vper/ 

 

中国の高温ガス実証炉HTR-PMが営業運転開始

中国国家能源局(NEA)は、世界初のモジュール式高温ガス炉原子力発電所が営業運転を開始したと発表した。これは、山東省石島湾で現在熱出力20万kW(80%出力)で2基が運転中の「高温ガス冷却炉ペブルベッドモジュール(HTR-PM)」が168時間実証運転の完遂したのを受けたもの。HTR-PM は、単一の電気出力21万kW 蒸気タービンを駆動する 2 基の小型原子炉 (各熱出力25万kW)からなる。冷却材としてヘリウム、減速材として黒鉛を使用。各原子炉には、直径 60 mmで8.5% 濃縮ウラン燃料 7gを含む 400,000 個を超える球状燃料要素 (「ぺブル」) が装荷されている。各ぺブルは黒鉛の外層を持ち、黒鉛 マトリクス中に分散された約 12,000 個の 4 層セラミックでコーティングされた燃料粒子を含んでいる。

HTR-PM実証炉原子炉建屋(写真:清華大学)

関連報道:

https://www.reuters.com/world/china/china-starts-up-worlds-first-fourth-generation-nuclear-reactor-2023-12-06/ 

 

新ハヌルで2基目のAPR-1400が初臨界

韓国水力原子力(KHNP)は、韓国の新ハヌル原子力発電所2号機で初めて持続的な連鎖反応が発生したと発表した。 このユニットは、同サイト内の 2 基の APR-1400 原子炉のうちの 2 基目であり、さらに 2 基が計画されています。KHNPによると、電気出力135万kWの加圧水型原子炉は12/6午前7時に初臨界に達した。

新ハヌル1/2号(画像:KHNP)

 

写真画像: ヒンクリー・ポイントCにポーラークレーンを据付

750トンのポーラークレーンが、EDFによってイングランド南西部に建設中のヒンクリー・ポイントC原子力発電所1号機原子炉建屋の所定の位置に吊り込まれた。ポーラークレーンは原子炉建屋の上部を中心に360度回転することができ、建設中に原子炉や蒸気発生器などの重機を設置するために使用される。運転に入っても、燃料取替や保守に使用される。

ポーラークレーンの長さは45メートル(画像:EDF)

巨大クレーン「ビッグカール」によって楊重作業が行われた(画像:EDF)

各コンポーネントはスペイン、オランダ、フランス、ポーランドを含むヨーロッパ各地で製造され、その後スイスの APCOの工場に運ばれ、更にヒンクリー ポイントCサイトに輸送されて組み立てられた (画像: EDF)

クレーンは原子炉建屋上部に据え付けられると完全に回転できるようになる(画像:EDF)

 

enCoreとボス・エナジーが戦略的パートナーシップを締結

米国のウラン生産会社enCoreエナジー社はオーストラリアのボス・エナジー社と契約を締結し、ボス社sはenCoreの南テキサス州のアルタメサ・ウラン鉱山の原位置浸出(ISL)プロジェクトの株式30%を取得することになる。

アルタメサ(画像:enCore エナジー)

 

TRIGAインターナショナル、米国のマイクロ原子炉用燃料を製造へ

フラマトム社とジェネラル・アトミクス(GA)社の合弁事業であるTRIGAインターナショナル は、米国DOE(エネルギー省) の「マイクロ原子炉応用研究検証評価 (MARVEL)」の マイクロ原子炉向けに TRIGA研究炉用燃料に類似した燃料を製造する契約を獲得した。TRIGA (Training, Research, Isotopes General Atomics の略) 原子炉は主に学生の訓練、研究プロジェクト、アイソトープ製造に使用される。これらのプール型原子炉は、熱出力100kW未満から16,000kWで動作し、2,200万kWのパルス運転も可能。MARVEL - スターリングエンジンを備えた液体金属冷却マイクロ原子炉- は、アイダホ国立研究所(INL)の過渡事象試験(TREAT)施設に設置され、熱出力 85 kW を生成する予定。

TREAT施設に設置されるMARVEL炉のINLによる概念図(画像:INL)

 

グランホルム長官、テネシー州の原子力施設訪問中にSMRについて語る

米DOEジェニファー・グランホルム長官とテネシー川流域開発公社(TVA)のジェフ・ライシュCEOはクリンチ・リバー原子力施設を訪問し、そこに小型モジュール式原子炉を建設する可能性について話し合った。グランホルム氏は、TVAとオークリッジやノックスビルでのパートナーによる原子力技術の取り組みを宣伝し、「オークリッジは国家安全保障とクリーンエネルギーの未来において非常に重要な役割を担っている」と述べた。

グランホルム長官(画像:knox news)

 

(続報)ケリー特使: 商業核融合には世界的な協力が必要

大統領気候担当特使のジョン・ケリー氏は、COP28気候会議で、米国は「昨年、商用核融合エネルギーに関する10年に渡る大胆なビジョンを導入した...しかし、我々がこの壮大な野心を実現できない―おそらく全くではないが、私たちが必要とするペースではできない、また単独ではできないことは明らかだ」と述べ、核融合開発のための国際協力を促した。 ホワイトハウスは、研究開発、市場、規制、労働力、教育と関与の5つの柱からなる国際関与計画に関するファクトシートを発表した。

2023/12/5(火)、アラブ首長国連邦ドバイで開催中のCOP28国連気候サミットで核融合について話すジョン・ケリー米国大統領気候担当特使。 (AP写真/ジョシュア・A・ビッケル)

 

核融合への関心、開発は成長し続ける

核融合への関心は爆発的に高まっており、米国の国立点火施設(NIF)、日本のJT-60SA、欧州共同トーラス(JET)、国際熱核融合実験炉(ITER)がその開発に大きな役割を果たしている。NIFとJT-60SAは大きな進歩を遂げ、NIFは過去1年間に核融合点火を4回達成し、JT-60SAはJETを追い越して世界最大の運用可能なトカマクとなった。

左上:48 個の最終光学アセンブリのうちの 2 個は、NIF のビームラインの波長を変換し、レーザー光の焦点をターゲット チャンバーに集束する。 (写真:LLNL/ダミアン・ジェミソン)

右上:JETトカマクの内部。 (写真:ユーロフュージョン)

左下:JT-60SA デバイス(写真:Fusion 4 Energy/QST)

右下:11月初旬、2基のトロイダル磁場コイルと熱シールドパネルを取り外す作業(写真:ITER機構)

 

ジョージア州規制当局、ボーグルでのコスト超過分の顧客負担を検討

ボーグル3,4号原子炉増設でのコスト超過に対処するためのジョージア・パワー社の75億6000万ドルの提案では、住宅顧客の月額料金に加えてすでに徴収されている5.42ドルに、さらに8.95ドルを追加することになる。 ジョージア州公益事業委員会(PSC)は、この数十億ドルのコスト超過についてジョージア・パワーにどの程度の責任を負わせるかについての公聴会を回避することを目的とした提案について、12/19に採決する予定である。

ボーグル3,4号機 写真: Arvin Temkar/Atlanta Journal-Constitution via AP

 

科学週間イベントで、原子力発電所ツアー、「原子力は今」を上映

米国原子力学会(ANS)のアメリア・ティーマン氏は、ANSが地域原子力エネルギー・リテラシーイベントを開催した原子力科学週間を振り返る。サンディエゴでの1週間には、サンオノフレ原子力発電所(SONGS)のツアー、オリバー・ストーン監督の「原子力は今(Nuclear Now)」の上映、気候変動との戦いにおける原子力エネルギーの重要性についてのパネルディスカッションなどが含まれた。

原子炉ドームと乾式キャスク貯蔵庫を背景に、SONGS をウォーキングツアーする著者。 (写真提供:アメリア・ティーマン)