ZNPP武力占拠後、8度目となる外部電源の完全喪失が12/1夜間に発生。原因は、発電所外の送電網の問題。実に危険な状態が続いている。西側やウクライナはこの情報を大きく取り上げており、ロシアメディアでも、タス通信やモスクワタイムズが報じている。

 

 

IAEA(国際原子力機関)ラファエル・マリアノ・グロッシ事務局長は、12/2、ウクライナのザポリージャ原子力発電所(ZNPP)が一晩中、外部電源を失い、原子炉の冷却やその他の重要な原子力安全・核セキュリティ機能に必要な電力を一時、非常用ディーゼル発電機に依存することとなったと発表した。

 

ZNPP は両方の外部電力系統への接続を失った。欧州最大の原子力発電所が軍事紛争中に所外電源を完全に喪失したのはこれで 8 回目であり、原子力安全と核セキュリティに対する懸念が高まっている。

 

サイト駐在のIAEA専門家チームから、ZNPPの単一の330kVバックアップ受電系の接続が、外部送電網の故障により現地時間の12/1、午後10時26分頃に切断されたと報告があった。 その約5時間後に、主な外部電力供給源である発電所の単一の750 kV外部電源系を喪失した。この原因もZNPPから遠く離れた外部送電網である模様だ。

 

その結果、サイト内の20基のディーゼル発電機が自動的に運転を開始。その後、ZNPPのスタッフは、すべて停止中の発電所内の6基の原子炉の冷却に不可欠なだけの電力を確保するよう、ディーゼル発電機の運転基数を8基に減らした

 

影響を受けた750 kV受電系(紛争前はZNPPに4系統あったのに対し、今は単一系統しか残っていない主たる電源系)は、現地時間の12/2午前8時過ぎに再接続された。再接続後、運転されていた8基のディーゼル発電機は段階的に停止されている。電力供給は現在、外部バックアップなしの状態で750 kV系統によっている。

 

「直近の外部電源喪失は、発電所の原子力安全と核セキュリティの不安定な状況を改めて想起させるものであり、発電所自体から遠く離れた事象によっても影響を受ける可能性がある。IAEAは今後も原子力事故の防止に向けて全力を尽くしていく。また、私はすべての関係者に対し、発電所をさらに危険にさらす可能性のあるいかなる行動も取らないよう求める」とグロッシ事務局長は述べた。

 

ZNPPの原子炉の1基である4号機の4台の一次冷却材ポンプの運転(訳注:このポンプを運転することで「高温停止」状態が維持できる)は、外部電源喪失の間に中断された。このユニットは現在、現場およびほとんどの工場スタッフが住んでいる近隣のエネルホダル市のために温熱と蒸気を生成するために、準高温停止状態から高温停止状態に復帰中である。 他の5基の原子炉は低温停止状態を維持している。

 

ZNPPでの外部電源の完全喪失は、今年5/22以来のことである。

 

エネルゴアトムプレス:

 

 

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