• 世界原子力協会レオン会長:原子力はCOP28で「輝く」
  • IEAビロル事務局長:原子力がルネサンスを迎える中、資金調達がハードルに
  • ベルギーのデ・クロ―首相、さらに10年の原子力継続を勧告
  • EDFがカナダ、チェコ、インドの企業と協力契約等を締結
  • 日本の新しい研究炉の建設に三菱重工を選定
  • フラマトム、英国での核燃料加工施設計画、USNCと先進燃料で合弁
  • アーカンソー州とエンタジー社、原子力発電所経営訴訟で和解成立
  • NRC、クリスタルリバー3号許認可終結に関する12月の会議を計画
  • 新興企業の核融合炉は医療用アイソトープも製造
  • ユーチューバーがドレスデン原発で原子力安全をアピールする動画撮影

 

世界原子力協会会長:原子力はCOP28で「輝く」

世界原子力協会(WNA)のサマ・ビルバオ・イ・レオン事務局長は、11/28~11/30までパリで開催されている2023年世界原子力展示会(WNE)の参加者らに対し、原子力産業は今後数週間ドバイで開催される第28回気候変動条約締約国会議(COP28)で大きな注目を集めるだろうと語った。同会長は、原子力はこれまでのCOP会議ではあまり注目されていなかったとしたが、「かつては政治的姿勢の犠牲者だった原子力が初めて、とにかく多くの国々の気候変動に関する議論や緩和計画に衷心から組み込まれており、確かに我々はCOP会議でポジティブな力と見なされている。」と述べた。

(画像:WNA)

 

IEA:原子力がルネサンスを迎える中、資金調達がハードルに

国際エネルギー機関(IEA)のファティ・ビロル事務局長は各国政府に対し、原子力産業が復興しつつあるとして、原子力産業を支援するよう呼び掛けた。ビロル氏は、原子炉新設や小型モジュール型原子炉(SMR)の計画を挙げているが、資金調達は依然として課題であり、多国間開発銀行は原子力投資にもっと関心を持つべきだと述べた。

IEAのファティ・ビロル氏、2023/11/21、ノルウェー・オスロのノルスケ劇場で開催されるエクイノールの秋季会議に参加。Ole Berg-Rusten/NTB/via REUTERS/

 

ベルギー首相、さらに10年の原子力継続を勧告

ベルギーのアレクサンダー・デ・クロー首相は、次期政権はエンジー社との間で最終合意している現在の10年間の延長をさらに10年間延長することを検討すべきだと述べた。 ベルギーは、国の原子力発電容量の35%を占める2基の原子炉の寿命を延長することで暫定合意に達していた。

2023/11/23、ラマッラでパレスチナのマフムード・アッバス大統領およびスペインのペドロ・サンチェス首相(写真なし)との会談に出席するベルギーのアレクサンダー・デ・クロー首相。(ロイター経由ALAA BADARNEH/Pool)

 

EDFはカナダ、チェコ、インドの企業と協力契約などを締結

フランス電力公社EDFは、パリで開催されている2023年世界原子力展示会(WNE)の初日に、カナダ(オンタリオ・パワー・ジェネレーション社)、チェコ共和国(業界団体、サプライヤー企業)、インド(BHEL社)での自社技術の展開の可能性と地元サプライチェーンの関与に関する協力契約等に署名した。

(画像:X/@ToddSmithPC)

 

日本の新しい研究炉の建設に三菱重工を選定

三菱重工業(MHI)は、日本原子力研究開発機構が主導するプロジェクトにおいて、「もんじゅ」サイトでの新しい研究炉の設計、製造、設置を担当する主契約企業に選定された。新試験研究炉は放射線の一種である中性子を利用した研究開発を行う実験施設となる。

JAEAによる新施設のイメージ図(画像:JAEA)

 

フラマトム、英国で核燃料加工施設を計画

フランス企業フラマトムは、英国での事業拡大計画の一環として、英国での核燃料製造施設の建設を計画している。別の展開として、同社はウルトラ・セーフ・ニュークリア社(USNC)との合弁事業を設立することも発表した。同社は、英国で提案する施設では大型PWRと軽水型小型モジュラー原子炉(SMR)用の核燃料を製造すると発表。これらのカテゴリーには、ヒンクリー・ポイントCで建設中の親会社EDFの2基のEPRと、サイズウェルCで提案されている同規模の開発が含まれる。USNCとの合弁会社は、第4世代マイクロモジュラー炉 (MMR) およびその他の先進的な原子炉設計用の燃料を供給する。燃料には、三構造等方性 (TRISO) 粒子燃料とUSNC独自のフルセラミック・ マイクロカプセル化 (FCM) 燃料が含まれる。

合弁事業の発表後のフラマトム・フォンタナCEOとUSNCの執行副社長カート・テラニ氏(画像:フラマトム)

 

アーカンソー州とエンタジー社、原子力発電所経営訴訟で和解成立

アーカンソー州公共事業委員会(APSC)は、ミシシッピ州グランド・ガルフ原子力発電所の経営ミスの可能性に関する訴訟で、エンタジー社から1億4,200万ドルの和解金を受け入れた。 APSCは、ルイジアナ州とミシシッピ州の規制当局とともに、エンタジーが住民に過大な料金を請求していると非難していた。エンタジーの顧客は、早ければ2024年初めに払い戻しを受けられる可能性がある。

グランド・ガルフ原発(画像:ABC7)

 

NRC、クリスタルリバー3号許認可終結に関する12月の会議を計画

米NRC(原子力規制委員会)は、フロリダ州のクリスタルリバー原子力発電所3号機の許認可終結の計画について話し合うとともに、残る発電所の除染作業についての意見を得るために、12/7にハイブリッド型の公開会議を予定している。 計画への意見は3/7まで受け付ける。

クリスタルリバー3号(画像:米国原子力学会)

 

新興企業の核融合炉は医療用アイソトープも製造

英国の新興企業アストラル・システムズは、医療用アイソトープを製造できる「多状態核融合炉(MSF))を開発。信頼性の高いアイソトープの調達可能性を確保しながらコストと待ち時間を削減できる可能性がある。 「当社のMSF炉は、医療用ラジオアイソトープを安全かつ効率的に開発するメカニズムを提供するだけでなく、本格的な核融合発電所がどのようなもので、運転中にどのように動作するかを理解するための理想的なテストベッドも提供する」とアストラル・システムズの共同創設者であるトム・ウォレス-スミス氏は語る。

多状態核融合炉初号機(画像:アストラル)

 

 

ユーチューバーがドレスデン原発で原子力安全をアピールする動画撮影

専門的科学ビデオの制作で知られるユーチューバーのカイル・ヒル氏は、原子力の安全性と利点について視聴者に教育することを目的として、原子力発電所を垣間見ることができる貴重なドキュメンタリーをイリノイ州のドレスデン発電所で撮影した。「ポイントの証に核廃棄物にキスをした(I Kissed Nuclear Waste To Prove a Point)」という分かり易いタイトルのこのドキュメンタリーは、『理解すると世界は違って見える、そして原子力と廃棄物は、理解するとこれまでよりも危険ではなくなり、より有望に見える』ということを示すことが目的だ 」とヒル氏は言う。

カイル・ヒル氏が使用済燃料貯蔵について語る (写真提供:コンステレーション)