IAEA情報では、ザポリージャ原発3号機の蓋を閉めた状態にするというところまでだったが、その目的はこのユニットも高温停止にしようとするロシア側運転組織の目論見があったようだ。ロシア側は、ZNPPからロシアへの送電ももくろんでいるという。ウクライナ側は、運転事業者のエネルゴアトム、規制当局のSNRIUも規制違反として強く反発している。

特に気にかかるのは、SNRIUのウクライナ語声明の中で、3号機の状態を“критичний”と表現していることで、これは英語では”critical”に当たり、危機的状況であるという一般的意味の他に、原子力世界では「臨界」と言う意味もある。これは、出力は低くても核分裂連鎖反応が継続する状態をいう。もし、ロシア側への送電を視野に3号機を臨界にしようとしているという意味であれば、それはもはや「停止」とは言えない。言語道断である。

 

 

ウクライナ国営原子力発電会社エネルゴアトムのペトロ・コティン総裁は、国営テレビ「イェディーニ・ノヴィニ(Єдині новини)」の放送で、制圧下にあるザポリージャ原子力発電所の状況について語った。 特にラシスト(訳注:ロシアとファシストを合成した造語)は、2基を「高温停止」状態にしており、補修中の3号機もセットアップしていく予定だ。

 

「ロシア人は、ザポリージャ原子力発電所をロシアのエネルギーシステムに接続する計画を実行しようとしている。送電線が損傷しているため、これは不可能だ。また、装置を操作する資格のある人員も不足している。実質的な効果は、発電所でのニーズに応える蒸気を生成することである。 」とペトロ・コティン氏は語った。

 

同総裁はさらに、主な危険は、機器が設計想定外のモードで動作し、SNRIU(ウクライナ国家原子力規制検査局)の許認可条件に反して動作することであり、許認可上は、これらの機器は「低温停止」モードでなければならないと定められている。

 

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SNRIU 11/1付声明(ウクライナ語) IAEA理事会決議の履行を求めている

 

 

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画像:TV番組より