• 業界団体と政府、原子力新設への支持をコミット
  • 視点:欧州における原子力推進
  • 米NRC、 HALEU 規則案、指針案への意見を募集
  • DOE融資プログラム局長:原子力と水素の結婚は可能か?
  • カザトムプロム、2025年のウラン増産を計画
  • カンブリア州コミュニティが処分場立地選定調査から退場
  • カナダとルーマニア企業がチェルナボーダCANDU炉での医療用同位体製造で協力

業界団体と政府、原子力新設への支持をコミット

OECD(経済協力開発機構)加盟国の原子力産業界の代表と20カ国の政府代表は、OECD原子力機関(NEA)とフランス政府が主催した第1回「原子力新設へのロードマップ」会議の後、原子力容量の拡大に向けて協力することを約束するコミュニケを発表した。 産業界側では、カナダ原子力協会(CNA)、CANDUオーナーズ・グループ(COG)、仏原子力産業協会(GIFEN)、日本原子力産業協会(JAIF)、韓国原子力産業協会(KAIF)、米国原子力エネルギー協会(NEI)、欧州原子力産業協会(nucleareurope)、英国原子力産業協会(NIA)、世界原子力協会(WNA)がコミュニケを発表。 また、ブルガリア、カナダ、チェコ共和国、エストニア、フィンランド、フランス、ガーナ、ハンガリー、日本、韓国、ポーランド、ルーマニア、オランダ、スロバキア、スロベニア、スウェーデン、トルコ、ウクライナのエネルギー大臣と代表団長によって別のコミュニケが発行された。

新しい原子力へのロードマップ会議がパリで開催された(画像:ウレンコ社Xポスト)

日本語情報:

https://www.jaif.or.jp/information/nea_statement2023 

 

視点:欧州における原子力推進

第67回IAEA総会でフランス電力公社(EDF)が主催したサイドイベントで、業界リーダー、専門家、ステークホルダーが、協力、補完性、欧州大陸でのフリート効果(Fleet Effect)の問題を討議した。 この記事では、アンサルド・ヌクレアーレ社のロベルト アディノルフィ会長が、セッションで得られた重要な洞察を概説している。

 

米NRC、 HALEU 規則案、指針案への意見を募集

米国NRC(原子力規制委員会)は、軽水炉向け事故耐性燃料設計(ATF)を含め、濃縮度5%超低濃縮ウラン(HALEU)を含む燃料設計に関する規則策定の案への意見を求めている。 NRC はまた、ウラン濃縮度が 8% 以下のATFに関する環境評価の指針ドラフトについての意見も求めている。

 

DOE融資プログラム局長:原子力と水素の結婚は可能か?

米DOE(エネルギー省)融資プログラム局(LPO)のジガー・シャー局長は、原子力発電所が安価な余剰エネルギーで水素を生成し、セメント工場や水素燃焼自動車への燃料供給に機能させ、最終的には炭素排出量を削減できる可能性があると示唆している。 「原子力と水素という概念全体は、非常に知的に理にかなったものだ」とシャー氏は言い、両者が「非常に興味深い結婚」をする可能性があると指摘した。

 

米連邦議員、原子力開発促進に向け許認可改革を要請

原子力は経済と国家安全保障を支えながら、クリーンエネルギーの将来において重要な役割を果たすことができるが、規制上のハードルと認可のボトルネックが進歩を遅らせている、と原子力認可の変更を優先することを望んでいる米連邦議会ジョン・カーティス下院議員(共和党、ユタ州選出)は書いている。 「これは、規制プロセスを合理化し、当局間の連携を改善し、投資家により確実性を提供することを意味する」と同議員は書いている。 「そうすることで、米国企業は既存の原子力インフラを近代化し、より安全で効率の高い先進的な原子炉を開発するために必要な民間資本を呼び込むことができる。」

 

カザトムプロム、2025年のウラン増産を計画

カザフスタンのウラン生産会社カザトムプロムの取締役会は、2025年に生産量を増加させる戦略を承認し、2018年以来初めて地下資源利用契約の下での100%レベルに復帰する。予想される世界の一次供給量に最大6,000トンUを追加することとなった。同社が発表した2025年の生産計画では、この決定は、ウラン市況の改善、並びに新規顧客・既存顧客双方との中長期契約活動が成功したことを受けてのことと述べられている。 それによると、2025 年の生産量は現在 30,500 tU ~ 31,500 tU (100% ベース) になると予想されている。

 

カンブリア州コミュニティが処分場立地選定調査から退場

評価対象となっている4カ所のうちの1カ所であるアラデール市は、適した地質が限られているため、英国の地層処分施設(GDF)立地プロセスから除外されたとニュークリアウェイストサービス(NWS)が発表した。 最終的な用地選定には 10 ~ 15 年かかることが予想される。

 

カナダとルーマニア企業がチェルナボーダCANDU炉での医療用同位体製造で協力

カナダのローレンティス・エナジー・パートナーズ社とルーマニア国営原子力発電会社(SNN社)は、チェルナボーダ原子力発電所での医療用同位体の生産で協力覚書(MoU)を締結した。ルーマニアでの重水生産の可能性も探る予定だ。CANDU原子炉は発電を中断することなく医療用同位体を生成することができ、オンタリオ・パワー(OPG)社ダーリントン原子力発電所ではモリブデン99、ヘリウム3、重水、トリチウ
ムを生成しており、コバルト60を生成する計画も進行中である。コバルト60は現在、ピカリング原発の原子炉から抽出されている。ローレンティス社は、この覚書には、CANDU原子炉が減速材や冷却材として使用し、医薬品、医療診断、光ファイバーやOLEDスクリーンにも使用できる重水を製造・供給するための協力も検討すると述べた。

パリでのMOU署名後のOPGケン・ハートウィック社長兼CEO(左)、セバスティアン・ブルドゥジャ・ルーマニア・エネルギー大臣(中央)、SNNコスミン・ギタCEO(右)(写真:ローレンス社)