• 中国・三門4号に超大型ランドマーク・モジュールを据付
  • カナダのブルース6号が主機取替の大改修を経て送電再開
  • 米国、海外での「石炭からSMR」プロジェクトへの支援を強化
  • 日英の研究機関、高温ガス炉に関する協力を強化
  • 米NRC、ヘルメス試験炉建設に関する公聴会を計画
  • (続報)WNA核燃料レポート:原子炉用のウラン需要は2030年までに28%急増
  • コラム:核燃料の確保が急務(ANS会長)
  • 世界原子力シンポ:急速に増加する原子力人材需要、リクルートが課題
  • 世界原子力シンポ:原子力産業界は「チャンスの窓を活かす」よう要請
  • NRCのスキル不足が先進原子力の許認可の障害
  • バイデン政権、経済安全保障に向け、テクノロジー標準に関する意見を求める

中国・三門4号にランドマーク・モジュール据付

CA01「スーパー・モジュール」が、中国の浙江省にある三門原子力発電所4号機に据え付けられ、CAP1000型原子炉建設のランドマークとなった。重量1046.2t、長さ27m、幅29m、高さ24mを超え、コンクリートと鋼製部材からなるCA01モジュールは、格納容器モジュール内に据え付けられ、プラントの蒸気発生器等のコンポーネントを収容するユニットである。このモジュールは大きすぎて道路や鉄道で輸送できず、現地で組み立てられるため、スーパー・モジュールと呼ばれている。上海核工程研究設計院(SNERDI)は、モジュールが9/6、三門4号の所定の位置に吊り込まれたと発表した。

格納容器内に降ろされるモジュール(画像:SNERDI)

 

カナダ・ブルース6号が大改修を経て送電再開

主機取替工事 (MCR) ための停止期間が予定より早く、予算内で完了したことを受けて、カナダのブルース6号機が、オンタリオ州の送電網に再接続された。ブルース6号
は、2020年1 月にMCRに向け停止。ブルース・パワー社の寿命延長プログラムに基づいて大改修プロセスを受ける6ユニットのうちの初号機であり、運転期間は2064年以降まで延長される。ブルース・パワーによると、このプログラムはオンタリオ州最大のクリーンエネルギーへの取り組みであり、民間投資家の資金提供によるカナダ最大の民間インフラプロジェクトの一つである。

ブルース・パワー社のスタッフが、9/ 8、送電網に併入 (画像: ブルース・パワー)

 

米国、海外での「石炭からSMR」プロジェクトへの支援を強化

石炭火力を小型モジュール炉(SMR)に転換させることについて、チェコ共和国、ポーランド、スロバキアからのフィージビリティ調査の提案が、プロジェクト・フェニックスの下での米国支援の対象に選定された。米国はまた、SMR配備決定に近づいている欧州やユーラシア諸国を支援するための「ワンストップショップ」を設立する予定である。


 

日英、高温ガス炉に関する協力を強化

英国国立原子力研究所(NNL)と日本原子力研究開発機構(JAEA)は、高温ガス冷却炉(HTGR)分野における協力覚書と、次の段階となる英国高温ガス炉実証炉プログラムでの協力覚書を締結した。

覚書への署名(左から、西村康稔経済産業大臣、小口正範JAEA理事長、ポール・ハワースNNL CEO、クレア・クティーニョ・英エネルギー安全保障・ネットゼロ(DESNZ)大臣(画像:JAEA)

関連報道:

https://www.jaif.or.jp/journal/japan/19484.html 

 

米NRC、ヘルメス試験炉建設に関する公聴会を計画

米国NRC(原子力規制委員会)は、テネシー州にあるヘルメス非出力試験炉の建設許可を求めるケイロス・パワー社の申請について、10/19に公聴会を予定している。 3万5,000キロワットの溶融塩炉は、商用サービスを目的とした大型版の研究開発に役立つとみられる。

 

(続報)レポート:原子炉用のウラン需要は2030年までに28%急増

世界原子力協会(WNA)は9/7に発表した隔年刊の核燃料レポートで、政府が炭素ゼロ目標を達成するために原子力発電能力を増強する中、原子炉用のウラン需要は2030年までに28%増加し、2040年までにほぼ2倍になると予想されていると述べた。ロシアがウクライナを侵略して以来、原子力への関心も高まっており、多くの国がロシアからのエネルギー資源に代わるものを望んでいる、と同レポートは付言。同レポートはまた、原子力発電容量は2030年までに14%増加、2040年までに76%増加し、世界中で合計6億8,600万kWになると予測している。

 

コラム:核燃料の確保が急務

ロシア・ウクライナ戦争により核燃料の世界的なサプライチェーンが寸断され、いくつかの国が代替供給源の模索を促していると米国原子力学会(ANS)のケン・ピーターセン会長は書いている。冷戦以来、ロシアは西側諸国への核燃料の主要供給国であったが、燃料用の濃縮度5%超低濃縮ウラン(HALEU)の需要が増大しており、主要供給元であるロシアに代わるには、時間、資金、追加の生産能力が必要になると同会長は書いている。

 

急速に増加する原子力人材需要、リクルートが課題

世界中で計画されている原子力利用の拡大は、この分野でさらに多くの労働力が必要になることにつながる。世界原子力シンポジウムのパネリストはスタッフを採用する最善の方法について意見を述べ、新たなメンタリング・イニシアチブが発表された。

 

シンポジウム:原子力産業界は「チャンスの窓を活かす」よう要請

2023年世界原子力シンポジウムの閉会セッションでは、多くの政策立案者、多くの国民、金融界の現在の好意的な姿勢は、原子力産業が「勇気を持ち、勇敢であり、我々のやっていることを信じる必要がある」ことを意味しているとの声が上がった。

 

NRCのスキル不足が先進原子力の許認可の障害

米政府説明責任局(GAO)は、NRC(原子力規制委員会)で先進炉の認可申請が滞っていることを発見した。原子力規制委員会は、技術を評価するスキルを持つ職員の雇用に苦戦している。 NRCが急成長する先進的な原子力産業と労働者を奪い合うことで、問題はさらに悪化する可能性がある。

 

バイデン政権、テクノロジー標準に関する意見を求める

バイデン政権は、事業経営を損なうことなくイノベーションと国家安全保障を促進することを目的とした、「重要・新興技術(CET)の標準化に関する国家戦略」を実践するための産業界からの協力を求める情報提供依頼(RFI)を発出した。政権は、政府の関与と民間セクター主導の国際標準システムとの間でバランスを取ることを目指しており、調整された取り組みと一般の意見を通じて、人工知能、量子コンピューティング、ブロックチェーン、クリーンエネルギーを含む幅広い技術に対処することを目指している。