• チェコの原子力発電がこの5カ月での最高水準、対ドイツ電力純輸出を維持
  • 米国NRC、小型モジュール炉等先進炉向け緊急時対策規則を承認
  • 米デューク、SMRを南北カロライナ向け最新「カーボンプラン」に組み込み
  • ANL、研究炉のセキュリティ向上のため燃料を高濃縮ウランから低濃縮ウランに更新
  • ロシアでウラン濃縮テールの劣化UF6ガスの脱フッ化第2工場の建設が進む
  • ドイツの元放射性廃棄物最終処分候補地、ゴアレーベン鉱山が埋め戻しへ
  • 英国セラフィールドのレガシー廃棄物サイロからの回収が始まる

チェコの原子力発電がこの5カ月での最高水準、対ドイツ電力純輸出を維持

ドイツの風力発電と石炭火力発電が定常的に減少を続ける中、チェコ共和国では、原子力発電が3月以来最高水準に達しており、5カ月連続でドイツへのエネルギー純輸出国となっている。チェコの今月の原子力発電量は平均346万kWで、先月の306万kWから増加した。

下図:チェコ・ドイツ国境での電力の流れの継時変化の例(MW)

   欧州送電系統運用者ネットワーク:Entso-eデータより

米国NRC、SMR緊急時対策規則を承認

米国NRC(原子力規制委員会)は、リスク情報を活用したパフォーマンスベースの緊急時対応要件を小型モジュール型原子炉(SMR)やその他の新技術に適用する最終規則と関連規制ガイドを発行するようスタッフに指示した。新しい規則は、大型軽水炉に対するNRCの既存の緊急時対応プログラムに基づいており、SMRやその他の新技術に固有の技術の進歩や大型軽水炉とのその他の相違点を認めている。NRCは、この規則の緊急事態への備えの枠組みは、技術包括的(technology-inclusive)かつ影響程度指向(consequence-oriented)のアプローチを採用していると述べ、「要件には、施設周囲のオフサイト緊急計画ゾーン(EPZ)のサイズを決定するための拡大縮小可能な方法が含まれている。SMRおよびその他の新技術の申請者およびライセンシーは、現在のオフサイト放射線緊急時計画要件の代替として、パフォーマンスベースの緊急時対応プログラムを開発する際にこのルールを使用できる。」と述べた。

関連報道:

 

 

米デューク、SMRを南北カロライナ向け最新「カーボンプラン」に組み込み

デューク・エナジー社は、ノースカロライナ州及びもう1か所の石炭火力発電所に小型モジュール式原子炉(SMR)を追加することを含む、南北カロライナ州向けの最新の「カーボンプラン2.0」を策定した。デュークの南北カロライナ州計画責任者グレン・スナイダー氏によると、この900億ドルの計画にはインフレ抑制法に基づく税制優遇措置の対象となる要素が含まれているという。

 

ANL、研究炉のセキュリティ向上のため燃料を更新

イリノイ州のアルゴンヌ国立研究所(ANL)は、研究用原子炉及び燃料を更新して高濃縮ウラン(HEU)燃料から低濃縮ウラン(LEU)燃料への切り替えを促進し、安全性とセキュリティを向上させることを目指している。「原子炉施設の炉心全体を完全に再設計することは望んでいない。ただ燃料を交換したいだけだ」とANLの原子力技術者ローラ・ジェイミソンは言う。「原子炉をHEUからLEUに転換しようとすると、基本的に同じスペースにより多くのウランを詰め込まなければならない。」

 

ロシアでウラン脱フッ化第2工場の建設が進む

ロシアのクラスノヤルスク地方ゼレノゴルスクにあるTVEL社傘下の電気化学工場株式会社(ECP)で、国内2番目の劣化六フッ化ウラン処理工場W2-ECP用の設備の設置が始まった。この発電所は、ロシアの劣化ウラン在庫を管理・利用する長期プロジェクトの一環である。W2-ECP プラントは劣化六フッ化ウランガス (DUF6 - DUHF とも呼ばれる) を受け入れて、これを四フッ化ウランに分解し、無水フッ化水素酸を副産物として生成する。脱フッ化により、有毒でやや腐食性のあるガス状の DUF6 濃縮テールを、長期保管、輸送、または最終処分に適した安定した粉末酸化物の形態に変換する。

 

ドイツのゴアレーベン鉱山が埋め戻しへ

以前はドイツの高レベル放射性廃棄物の地層処分の候補地と考えられていた、ニーダーザクセン州ゴアレーベンの旧岩塩坑の埋め戻し契約が締結された。

 

英国セラフィールドの廃棄物サイロからの回収が始まる

英国セラフィールドサイト内の最も古い廃棄物貯蔵施設の1つで、最も危険性の高い施設の 1 つであるパイル燃料被覆サイロ (PFCS) から、最初の廃棄物が取り出された。PFCS は1950~1951 年にかけて建設され、穀物サイロ同様の簡単な設計に基づいている。このコンクリート建造物は長さ29m、幅10mで、18mもの高さがある6区画に分かれている。これには、ウィンズケール、チャペルクロスといった英国初期の原子炉の一部で使用された燃料集合体から脱被覆された、照射済被覆材が含まれている。1970年代初頭に廃棄物受け入れを停止し、現在は3,200㎥の中レベル廃棄物を保管している。 PFCS は元々、永久に密閉する前提で設計されていた。

写真:PFCS側面に設けられた6枚の扉(セラフィールド社提供)