• 中国・徐大堡3号原子炉建屋への据付に向けドームを吊り上げ
  • フラマトム製事故耐性強化燃料(EATF)が米国カルバートクリフス2号での照射第1サイクルを完了
  • 日本の経済産業省、三菱重工を高温ガス炉実証炉開発の中核企業に選定
  • カナダ・ダーリントン原発で非常用ガスタービン発電機設置が完了
  • BWXT、国防総省とNASAのDRACOプログラムで月探査ロケット向け原子力エンジンと燃料の研究開始へ
  • ニュークレオ、船舶での鉛冷却高速炉の使用に注目
  • 韓国のハンビット2号原子炉が異常で自動停止
     

徐大堡3号原子炉建屋への据付に向けドームを吊り上げ

ドームは予定より6カ月早く、一段階プロセスで徐大堡3号機原子炉建屋の所定の位置に吊り上げられ、中国核工業集団公司(CNNC)はこのプロジェクトを「世界的なエネルギー協力のモデル」と表現している。遼寧省の徐大堡発電所は、2018年の契約に基づいてロシアから中国に供給されるVVER-1200原子炉4基の内の1基。 CNNCは、徐大堡3、4号機が「原子力安全分野における世界的なベンチマークになることが期待される」と述べた。

(写真:CNNC)

 

フラマトム製事故耐性強化燃料が米国原子炉での照射第1サイクルを完了

フラマトム社製の100%事故耐性強化燃料 (EATF) の先行照射燃料集合体が、米国原子力発電所での第1運転サイクルを正常に完了した。この燃料集合体は、2021年初めの燃料交換停止中にメリーランド州カルバート・クリフス原子力発電所2号機に装荷されていた。フラマトムによると、PROtect型 EATF先行照射燃料集合体(LFA)は、今年の燃料交換停止時に既に取り出されて検査され、その結果、2年間の運転を経ても技術的健全性が確認されたという。この集合体は現在、2年間続く運転第2サイクルで照射中である。フラマトムのPROtectプログラムに基づいて米国DOE(エネルギー省) からの資金提供を受けて開発された LFA には、176 本のクロムコーティングされた燃料棒とクロミア強化ペレットが含まれており、同社によれば、これらは炉心温度の変化に対する耐性が高く、対処時間を短縮しながら炉心温度の変化に耐えられるという。高温条件下での腐食や水素の生成を防止する。

(写真:PROTect型EATF先行照射燃料集合体、フラマトム提供)

 

経済産業省、三菱重工を高温ガス炉実証炉開発の中核企業に選定

日本の経済産業省・資源エネルギー庁(エネ庁)は、高温ガス冷却炉(HTGR)プログラムの開発を主導する中核企業として三菱重工業(MHI)を選定した。三菱重工は、同プロジェクトの中核会社として、エネ庁が2030年代の運転開始を予定する高温ガス炉実証炉の研究開発、設計、建設をコーディネートする。三菱重工は、1970年代から高温ガス炉の開発を進め、日本原子力研究開発機構(JAEA)の高温工学試験炉(HTTR)の建設主体として技術を蓄積した。 JAEAは1969年に高温ガス炉の研究開発を開始している。

(高温ガス炉を活用した水素ターミナルのイメージ、三菱重工提供)

 

ダーリントン原発で非常用ガスタービン発電機設置が完了

オンタリオ・パワー・ジェネレーション(OPG)社は、ダーリントン原子力発電所に今後数十年間の発電所の継続運転を支援するため、3台の新しい非常用発電機(EPG)を設置するという10年にわたる大規模プロジェクトを完了した。EPG は緊急時に信頼性の高いバックアップ電力を提供する。各ガスタービン・発電機セット及び補助設備は、ダーリントンの非常用電源設備に8,000kWの電力を供給できる独立型発電設備となる。

(写真:ダーリントンに設置されたEPG2)

 

BWXT、月探査ロケット向け原子力エンジンと燃料の研究開始へ

米国防総省・国防高等研究計画局(DARPA)は、核熱推進ロケット実験(X-NTR)向け原子力エンジンの設計・製造の作業を開始する契約締結を、ロッキード・マーチン社と最終合意した。この取り組みにおけるロッキード・マーチンのパートナーの1つであるBWXテクノロジーズ(BWXT)は、原子炉の開発とHALEU(濃縮度5%超低濃縮ウラン)燃料を製造する予定である。DARPA は、米国航空宇宙局 (NASA) と協力し、「迅速な月地球間活動のための実証ロケット(DRACO)プログラム」で、世界初の核熱ロケットエンジンの軌道上実証という目標に向かって進んでいる。

(DRACOロケットイメージ図、BWXT)

 

ニュークレオ、船舶での鉛冷却高速炉の使用に注目

英国の先進的原子力技術の開発企業ニュークレオ社、イタリアのフィンカンティエリ造船、船級認証を行うRINA社は、海運業界におけるニュークレオの鉛冷却高速炉の使用に関する実現可能性調査を実施する予定だ。密閉型小型原子炉による原子力バッテリー用いることを検討する。ニュークレオによれば、燃料交換は10~15年ごとで済むという。

 

ハンフォード廃棄物ガラス固化溶融炉がマイルストーン温度に到達

ワシントン州ハンフォードサイトの放射性廃棄物ガラス固化溶融炉が、予定の動作温度である華氏2,100度(約1,450℃)まで加熱された。世界最大の溶融炉の試験の次ステップは、ガラス粉の追加だ。「最初の溶融炉の加熱完了は、ハンフォード・タンク廃棄物ミッションにとって大きな前進だ」とDOE(エネルギー省)のエド・ドーソン広報官は言う。

 

韓国のハンビット2号原子炉が異常で自動停止

韓国水力原子力(KHNP)は、冷却水供給に関わる異常によりハンビット2号炉が自動停止したと報告した。この事象は韓国原子力安全技術院(KINS)によって調査中であり、放射性物質の漏洩は確認されていない。