本州北上の旅 ~8日目~
August 18, 2010
Route:
むつ→むつ
3時に起き、最終日の朝を迎える。
提燈の灯が誰もいない道を橙色に照らしていた。
出発して1時間ほどで周りが一気に明るくなる。
夜が明ける前に海に出たいとスピードを上げて突っ走る。
素晴らしい景色に出会うために。
ギリギリ間に合ったか。
言葉では伝えられない景色がそこにはあった。
あっという間の時間が過ぎ、見慣れた真夏の一日に様変わり。
うねるように伸びている道を大間崎目指して突き進む。
遠くに横に伸びる地形を捉える。
あれが僕の目指していた大間崎か。
小さな島に立つ白と黒の灯台が見えてきた。
東京を出発、8日目にして大間崎に到着した。
最終日にしてこの旅一番の真っ青な青空。
遠くには北海道、目の前には津軽海峡、一隻の船が巡航している。
僕は時間が過ぎるのを忘れ、この場を離れるのを惜しみつつ、ただここにある風景を目に焼き付けていた。
この旅に出る直前、一日に二回もパンクした。
そんな頼りないヤツがこの旅では一度たりともパンクせず無事に僕をここまで連れてきてくれた。
すべてはコイツのおかげだ。
朝っぱらから営業してくれていたお店を発見。
大間崎に着いたらご褒美にと決めていた「大間マグロ丼」を食する。
感想は言うまでもないだろう。
名残惜しいが、最北端の地を後にし、下北半島一周の旅を再開する。
目指すは最後の景勝地「仏ヶ浦」。
最後にとんでもない試練が待っているとは知らずに、、
進むにつれアップダウンが激しくなる。
気温も急上昇、暑さで体力を奪われる。
最終日だけに疲労も溜まっているようだ。
上を見上げると恐ろしい光景が。
これでもかというくらいにガードレールが山肌をらせん状に巻いている。
ここを登るのか、、
息を切らし、声を上げながら急勾配を登り続ける。
見下ろすと険しい海岸線が広がっていた。
よくここまで登ってきたものだ。
来た道を振り返る。
さらに険しい峠が連続する。
まるで山登りを自転車でしているかのようだ。
ようやく仏ヶ浦を一望できる展望台に到着した。
すれ違う人が僕の恰好を見て、自転車であの山道を登ってきたのかと驚かれていた。
辺り一面エメラルドグリーンの海。
海底まで透き通って見える。
仏ヶ浦には奇岩が点在。
摩訶不思議な空間だ。
仏ヶ浦を後にする。
のどかな下北半島を満喫、心置きなくこの旅が終えられそうだ。
シェルターの様なトンネルをくぐり抜ける。
「かわうち湖」。
本州最北の人工湖だ。
ブレーキをする度にキィキィと音が鳴り出だし始めた。
パートナーも限界に達した直後、JRてっぺんの駅「大湊駅」に到着する。
良く頑張ってくれたと愛車に感謝しつつ車輪を外し、輪行袋で包みこむ。
東京までの新幹線の切符を購入。
さあ帰ろう。
この8日間の旅を終え、果たして何が得られたのだろう。
何も得られていないのかもしれない。
でもきっとまた来夏、同じことをしているだろう。
まだ見ぬ素晴らしい景色に出会うために。
本日の走行距離
150.32km
総合計
1236.57km



































