今日から一週間、出張だ。
7月11日にオープンする新店舗の、開店に向けての開拓活動に駆り出されたのだ。
今ある隣町同士の二つの店舗が廃店となり、その2店舗のちょうど中間地点あたりに新店舗が出来る。
2店舗の既存のお客様が新店舗へ引継がれるため、新規オープンといってもすでにたくさんのお客様はいるのだから、無理に開拓活動なんてしなくてもいいんじゃないかと思ってしまうけれど、そうはいかないらしい。
オープンの日まで、毎週のように入れ替わり立ち替わりたくさんの職員が総動員で開拓活動に出兵しなければならない。

先週まではどちらかというと新入職員などの若手職員が宣伝活動で、新店舗近隣地区を歩き回ったらしいけど、今週からはいよいよ実績(ノルマ)を出さなければならないようで、集まったメンバーも中堅職員ばかりだ。
廃店となる2店舗の職員がそのまま新店舗へ配属となるため、彼らも普段の仕事に加えてこの開拓活動もしなければならなくて、すでに疲れ切った表情をしている。
彼らが言うには、先週までの宣伝期間とうって変わって、今日からはピリピリとした緊張感の漂う雰囲気になってるらしい。
わざわざ常務さんが本店からやって来て、気合いを入れられる。
五日間、無事に終われるのだろうか…?

僕がこの廃店になる支店に居たのは、平成4年から平成8年までの4年間だった。
転勤してこの町を離れてからもう15年になる。
僕に与えられた開拓地区は、かつて担当していたエリアのひとつだった。
あの頃のお客様たちは、今どうしてるのだろう?
ついつい懐かしく、そして見なれた街を歩いて、とある工務店へ訪問した。
奥様がいた。
僕を見て一瞬きょとんとした表情をしていたが、覚えてくれていたようで、途端に笑顔になってイスに座るように勧めてくれた。
すぐにアイスコーヒーとお菓子を出してくれる。
15年前と変わらない事務所と、少し年を重ねた雰囲気の奥様。
僕も同じように年を重ねている。
15年間のブランクを埋めるように、たくさんお喋りをして、けっきょく午前中ずっと居座ってしまった。
一緒にお昼ご飯も食べようと言ってくれたけれど、昼食は職場が用意してくれているので、お断りした。
すると、せっかく会えたことだし、お喋りだけで終わるのも申し訳ないから、ノルマに協力して下さるとのことで、積立を2件成約していただいた。

かつて担当していた頃、何度お願いしても、もう無理だからとそれ以上増やしてくれなかった積立を、15年経った今日、突然押しかけてきた僕のために作ってくれる。
決して業況がいいわけじゃないのは、よく知っている。
娘さんが離婚して子供を二人連れて帰って来ているとも聞いた。
なおさら生活は楽じゃないはずなのに…

二度と逢うことはないと思っていた人に、逢えただけでも嬉しいのに、なんだか感謝の気持ちで胸が熱くなった。

当時、まだまだ未熟な自分に不満だらけで必死にもがいていたけれど、そんなあの頃の自分が、今日の出来事につながる絆や縁をお客様と築いていたんだと解って、やっとあの頃の僕を誉めることが出来るような気がした。
がむしゃらに働いていた日々は、無駄ではなかったんだと知り、また、今週の開拓活動が近い将来の自分にとって誇れる日々となるように、明日からも頑張りたい。
ゴールデンウィークもあと1日で終わる。
今日は、母と一緒に広島市郊外に住む伯母の家へお邪魔した。
母の姉で、もう何年も前から肺を患っていて、咳が止まらない。
前回は2011年1月17日の日記に登場している。
あの日以降、骨折したところは良くなっているけれど、肺は相変わらず横ばいの状態のようだ。
途中、デパートに寄ってにぎり寿司のお弁当を買って行った。
僕ら二人と伯母夫婦の4人でお昼ご飯に食べるためだ。
数日前から黄砂が舞う広島の空は霞んでいてホコリっぽい。
車は砂まみれだ。
お昼前に到着すると、明るく迎えてくれた。
さっそく4人でお昼ご飯を食べ、いろいろとおしゃべりをして、僕は紅茶を、他のみんなはコーヒーを飲みながらデザートを食べた。
僕は来る途中のお花屋さんで、母の日用の小さなバスケットに入った花を買っていた。
伯母へのささやかな贈り物だ。
僕が子供の頃からなにかとお世話になり、大学の頃も独り暮らしの僕を色々と助けてくれた、第二の母とも言える伯母。
小さいけれどカラフルな花たちを、目を細めて嬉しそうに眺める。
その笑顔が、母をも笑顔にする。
小さな花にも、そんな大きな力があるんだと、あらためて知る。
あっという間に時間は過ぎて、いつものように、折れそうなくらい細い手を振りながら、伯母は僕たちを見送ってくれた。
降り注ぐ黄砂が、彼女の肺に障らなければいいなと心配しながら、僕らも手を振り、家路についた。
2月27日の日記に書いていた、自分自身への誕生日プレゼントとして買うことにしていたスマートフォン。
2、3ヶ月待ちと言われて予約をし、ずっと待ちわびていたのが、この火曜日に入荷したとの連絡を受けて、昨日やっと機種変更の手続きを終えて手にすることが出来た。

開店と同時に子供のようにすっ飛んで行き、ドコモショップで数十分かけて切替えや支払いの手続きをした。
ポイントが4年間貯まっていたのでかなり助かったけれど、それでも4万円出してちょぴりお釣りが返ってきたほどの高額出費。
お店を出て、またわき目も振らず自宅へすっ飛んで帰り、夕方までずっといじくっていた。
歴代所有してきた携帯電話の中でもいちばん大きく重く、そして高性能。
その割に、取扱説明書は分厚くない。
その代わりネットで、紙面に無い説明を閲覧しないといけないみたいだ。
搭載された最新のシステムを僕がどこまで使いこなせるのか、まだ未知数だけど、少しずつ慣れていけばいいと思っている。

4年間使ってきた携帯電話には、大切な想い出の記録がいっぱい詰まっている。
メールや写真、動画などがそのほとんどで、それらは“データ”だからパソコンにでも移しておけば保存は出来る。
でも僕はそうしない。
その携帯電話の中に、それらの“データ”があってこそ、大切な想い出だからだ。
記録ではなく、記憶。
一緒に携帯電話を買いに行った日のこと、旅先でシャッターを押した瞬間の風の香りや笑い声、似合うからと着けてくれたストラップ、4年間やり取りして保護しているたくさんのメールなど、それらを送受信したときの気持ち。
それらは、その携帯電話そのものを手にしていなければ、薄れてしまいそうだ。
メガネや腕時計と同じくらいに、ずっと一緒に過ごしてきた大切な存在。
歴代の機種たちと同じ場所へ、大切にしまってあげました。

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