飾る | 稲取温泉旅館 食べるお宿 浜の湯 板前の道

飾る

浜の湯調理場デス。

料理を飾ると言う仕事は、
一つ間違いを犯すとたちまちその
料理は下卑た物になり兼ね無い…

味わう前に下品な装飾が成された
料理は食べる意欲が失われる物で
ある。
例えば、日本人が愛してやま無い
お刺身なら大葉や、
花穂、小菊などの飾り花、
紅蓼、水前寺海苔などの添え物など、

主役が霞む程一つの器に盛り付け
られたら、たまった物では無い

いくら、季節感の演出、清涼感などの
表現をしたくとも、主役が霞む飾りは、
趣味が悪く、日本的な美しさの妨げに
しかなら無いのである。

やはり、主役の素材を効果的に装うのが
第一である訳だから、
なるべく単純にそして控え目にするべき
である。

単純でシンプルな美しさは日本人が古く
から追求して来たものである、
茶室の壁に掛けられた、一輪の季節の花
その美しさは、世界中で認められている
日本的な美しさの一つである。

茶室に派手なフラワーアレンジメントが
成されていたら…
その趣味の悪さに胸が悪くなるのはまちが
い無い。

料理の飾りは、
その場や、器の中の料理素材に合わせた
ごくシンプルで控え目に合わせる事を知る、
そこが肝心である。

和敬静寂、
こんなことばに通じる控え目な美にたいする
思いを、
盛り付けに活かしたいものである。