パパと幼いキミの
お祈りの後の、
おやすみなさい
囁き合う前の楽しみ
「今夜はどんな夢、
一緒に見ようかな?」
でも
キミはいつからだろう
不思議な事を言い出したのは.....
嗚呼、きっとあの一枚
僕の四歳の頃の幸せ
家族愛に満たされて
全てに満たされた頃
庭で犬や草花と遊んでいた
キミにそっくりな少年の
安心した微笑みの
写真達にキミは
虜に成ってからだろう
「夢の中で手を繋いで
小さな頃のパパに
逢いに行こうね!」
夢の中でもいつも一緒
離れ離れにならないで
時空の狭間で迷子に成らない様に
僕らは手を握り締めながら
ほぼ同時に微睡んだ
古びた写真の幸せの残光は
この宇宙の何処かに
きっと旅をしてる筈
夜空の星々の瞬きは
ずっと昔の光の如く
地球からも発する光に
ほんの僅かな
分子間の衝突の光の様な
儚い光の中に.....
この写真の幸せの光が
永久に封じ込められて
未来永劫旅していると
僕は想像する
自由に生きる
パパの手を握り締めて
不思議な夢を求め
夢世界で時空を超えて
あの日の庭にたどり着いた.....
嗚呼、本当にキミそっくりだ.....
幼い僕は僕らに
囁いたそうだね
「久しぶりだね!」って.....
でも
女の子はパパに似るって本当だね!
キミはボーイッシュだけど、
パパは何を着てもずっと
女の子に見られてね
でも.....
不思議な写真がある
そう、この写真は涙顔
両親の知り合いの結婚式で
男の子ばかりの中で
僕だけ女の子に見られてさ、
子供向け引出物が
僕だけピンクだったから
それがショックで泣いているのさ.....
シルバーのブレザーだけど
髪が長いからかな.....
中身は男の子なのに
だから余計悔しくて
やりきれなかったよ
でも、楽しいね
パパと我が娘が
おんなじ歳で
おんなじ顔で
お庭でお砂遊びして
おしゃべりな我が子は
やっぱり女の子じゃん!
大人しいパパは
圧倒されっぱなし
うんうん頷くばかり
これは今も同じだね
ただニコニコ微笑んで
同じ頬でキミを抱き締める今と.....
嗚呼、おばあちゃんだ
まだ天国に召される前
若くて元気な頃だ.....
僕に一番優しくしてくれた人だ.....
おばあちゃん、
僕はやっと
幸せを一杯感じて
生きられる様に成ったよ!
ねぇ、僕とおんなじ顔
してるでしょう!
そう、おばあちゃんが産んでくれた
僕の母とそっくり
びっくりでしょう!
この子がいつも
いつも僕の胸の刺
抜いてくれてるんだ
もうすぐ僕の胸の刺
少年時代の寂しさと
苦しみの記憶全て
完全に癒されるよ
だから安心してね
嗚呼、覚えてる.....
寂しさに打ちのめされた
幼過ぎた真冬日の
たった独りの夕暮れに
皺だらけの手で僕だけに
暖かいお握りを作ってくれた
人間の価値は
権力でも財産でも
まして名誉でもない
孤独な幼子の涙
拭える優しさ溢れる
真心こそが
人間の価値さ
やがて砂と欠片に成る
僕の大好きなおばあちゃんに
我が子を抱いて
幸せ一杯微笑む
僕を見せて上げられて
胸一杯さ.....
本当に良かったよ
これはみんな
我が子のお陰
幼子の
想像の自由が
僕をラクに
してくれたからさ
だからおばあちゃんも
安心して待っていてね.....
大好きなおばあちゃん
幼き僕自身よ.....
また来るね
言い終えて満ち足りた
僕はママと共に
我が子の手を握り締めて
カーテンの隙間から
朝の光を浴びていた
今度は三人で
時間旅行しよう
パパとママの
結婚式に呼べなかった
天国の皆様と共に
あの繁華街のオアシスで
永久に時空を旅する
四歳のキミのパパが
ずっと待っている
あの日の庭で
純白の姿で
永久の家族愛
想像しよう
どんな権勢でさえも
奪う事すら不可能の
想像の自由さえあれば
いつでも行ける
あの日の庭に
もう逢えない
そう思い込んでいた
今は亡きあの人も
もちろん
あの日
まだ優しかった
天国の父も
ずっとずっといる
あの日の庭に
想像の力
さえあれば
必ず行ける.....
僕を赦し
解放して
早く楽に
成るために
必ず
行こう
(C)詩月ひかる
追記
今年最後の投稿に成りますが、
最後迄お読み下さった
全ての皆様に、
最大級の感謝を捧げます
来る年が
素晴らしい一年で
あります様に
ありがとうございました