改正前民法では、契約自由の原則が規定されていませんでしたが、契約が当事者の申込みと承諾によって成立するという大原則も、規定されていませんでした。

改正法では、国民にわかりやすい民法の観点から、契約の成立と方式に関する明文規定が新設されました。

 

(契約の成立と方式)
第五百二十二条  契約は、契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示(以下「申込み」という。)に対して相手方が承諾をしたときに成立する。  
2 契約の成立には、法令に特別の定めがある場合を除き、書面の作成その他の方式を具備することを要しない。

 

522条1項で申込みと承諾によって成立することが明記され、2項で原則として申込みと承諾だけで成立する(意思主義)ことが規定されました。
したがって、契約は、口頭でも成立しますし、メールやラインでも成立するということになります。

もっとも、契約の成否やその内容について紛争となった場合、裁判において、口頭で契約が成立したと主張しても、それを裏付ける客観的な証拠がなければ、主張を認めてもらうことは難しいということになります。

そこで、不動産取引においては、契約書を作成するのが通例となっており、さらに、宅建業法によって、重要事項説明書の交付も義務付けられているのです。

但し、契約書が作成されていなくとも、例えば、不動産取引で言えば、移転登記や代金の支払がある、契約当事者が物件の引渡しを受けて居住している、というような場合は、契約があったことが推定できることになります。