ギター音楽の古典期を代表する作曲家であり演奏家でもあったフェルナンド・ソル(1778~1839)の代表的な作品、『《魔笛》の主題による変奏曲』を紹介する。


ソルがスペインからイギリスへと亡命したのが1813年。その2年後、ロンドンで接したモーツァルトの『魔笛』の上演に感銘を受けて書いたのがこの変奏曲と言われている。第1幕のモノスタトスと奴隷たちが歌う旋律を主題とし、5つの変奏とコーダで締めている作品である。


ギター界の巨匠、ナルシソ・イエペスの演奏は、清楚なまでに洗練されている無駄のないもの。晩年の録音ではあるが、衰えを一切感じさせず、ギターの表現力を最大限に生かした名演といえる。


【推奨盤】
乾日出雄の揺蕩うクラシック音楽の臥床
ナルシソ・イエペス(G)[1989年1月録音]

【DG:POCG-7029】