イギリスの作曲家、グスターヴ・ホルスト(1874~1934)の秘曲といわれる『日本組曲』を紹介する。

組曲『惑星』の作曲の最中だったホルストが、その作業を中断して作曲したと言われているバレエ音楽である『日本組曲』だ。曲は全部で6曲から成っており、それぞれ「前奏曲―漁師の踊り」「儀式の踊り」「操り人形の踊り」「間奏曲―漁師の踊り」「桜の木の下の踊り」「終曲―狼たちの踊り」と題されており、各曲で日本民謡の主題が用いられているのが特徴である。特に、「桜の木の下の踊り」では「江戸子守歌」が用いられているのが印象的だ。


この作品を書くにあたって、ホルストは作曲の依頼者である日本人舞踊家から口伝で日本民謡を採譜したとされ、その「旋律だけ」を基にオーケストレーションを施したと言われている。ホルストらしい壮大さは、『惑星』ほどではないにしろこの作品でも顕在であり、日本人にももっと馴染まれてもいいであろう作品といえる。


【推奨盤】
乾日出雄の揺蕩うクラシック音楽の臥床

エイドリアン・ボールト/ロンドン交響楽団[1970年3月録音]

【LYRITA:SRCD.222(輸)】