ドヴォルザークが残した演奏会用序曲の中で、代表的な作品といえる序曲3部作『自然と人生と愛』の中の一つを紹介する。

3部作の中では、「人生」を表現している『謝肉祭』であるが、ボヘミアの民族的な要素が色濃い作品といえる。夕暮れ時、謝肉祭が繰り広げられているボヘミアの町の人間模様を表現しており、民衆が踊りに興ずる様は実に闊達に、タンブリンとトライアングルを用いて描かれているのが特徴的な作品である。「自然」を表現した『自然の中で』や、「愛」を表現した『オセロ』とは比較にならないほどに演奏機会に恵まれており、そのリズミカルで快活な曲調から多くのファンを持つドヴォルザークの代表作といえる。

名指揮者、フリッツ・ライナーとシカゴ交響楽団の演奏は、快活なスピード感で民衆の躍動を表現した演奏といえ、数ある録音の中でも際立って勢いを感じる演奏といえる。


【推奨盤】
乾日出雄の揺蕩うクラシック音楽の臥床

フリッツ・ライナー/シカゴ交響楽団[1956年7月録音]

【RCA:09026-62587-2(輸)】