ルーマニアの作曲家、グリゴラス・ディニク(1889~1949)の小品を紹介する。
クラシックの作曲家ではなく、ロマの作曲家として当時は活躍しており、ジプシー楽団を率いてレストラン等で演奏していたヴァイオリニストでもある。彼の『ホラ・スタッカート』もまた、そのジプシー楽団により演奏されていたものであり、今日演奏されるヴァイオリン独奏用に演奏されているものはロシアの名ヴァイオリニスト、ヤッシュ・ハイフェッツが編曲したものが殆どといえる。
そもそも、ハイフェッツがニューヨークのレストランでディニクの演奏に接した事により興味を持ち、編曲するに至ったという経緯がある。ハイフェッツの編曲はスタッカートを駆使した技巧的なもので、難曲好みのハイフェッツらしさを窺い知ることもできる作品といえる。
ここで紹介するフェラスの録音も、安定した技巧でこの曲を難なく演奏しており、ロマの雰囲気も存分に感じる事のできる録音といえる。
クリスチャン・フェラス(Vn)/ジャン=クロード・アンブロシーニ(Pf)[1968年録音]
【DG:POCG-7088】