ロシアの作曲家、ミハイル・ミハイロヴィチ・イッポリトフ=イヴァノフ(1859~1935)を代表する作品、『コーカサスの風景』を紹介する。
作曲家としての活動よりもむしろ、教育者としての活動に重きを置いていたため、あまり多くの作品を残していないイッポリトフ=イヴァノフは、ロシア各地の民謡を収集することを趣味としており、この作品はそんな彼を象徴するかのような、コカーサス地方の魅力を音で表現した作品といえる。
作品は4つの曲からなりそれぞれ、「峡谷で」「村で」「回教寺院で」「酋長の行列」と題されている。
「峡谷で」は、谷にこだまする角笛、テレク河の清流の音、駅馬車の警笛等を、自然美あふれるゆったりとした音楽で表現しており、その憧憬は実に雄大である。「村で」は、夕闇に包まれた寒村を想起させるイングリッシュ・ホルンと、中間部のオリエンタリズムに溢れた素朴な舞曲が印象的。「回教寺院で」は、アラビア調の音楽が美しく歌われている。「酋長の行列」は、まさに遠くから近付く酋長の行列を表しており、次第に熱気を帯びてくる殷賑な音楽といえる。
グルシチェンコの演奏も曲の写実的な性格を弁えたもので、滋味ではあるがアジのある演奏を繰り広げているといえる。
【推奨盤】

フェドル・グルシチェンコ/BBCフィルハーモニック[1993年8月録音]
【CHANDOS:CHAN 9321(輸)】
作曲家としての活動よりもむしろ、教育者としての活動に重きを置いていたため、あまり多くの作品を残していないイッポリトフ=イヴァノフは、ロシア各地の民謡を収集することを趣味としており、この作品はそんな彼を象徴するかのような、コカーサス地方の魅力を音で表現した作品といえる。
作品は4つの曲からなりそれぞれ、「峡谷で」「村で」「回教寺院で」「酋長の行列」と題されている。
「峡谷で」は、谷にこだまする角笛、テレク河の清流の音、駅馬車の警笛等を、自然美あふれるゆったりとした音楽で表現しており、その憧憬は実に雄大である。「村で」は、夕闇に包まれた寒村を想起させるイングリッシュ・ホルンと、中間部のオリエンタリズムに溢れた素朴な舞曲が印象的。「回教寺院で」は、アラビア調の音楽が美しく歌われている。「酋長の行列」は、まさに遠くから近付く酋長の行列を表しており、次第に熱気を帯びてくる殷賑な音楽といえる。
グルシチェンコの演奏も曲の写実的な性格を弁えたもので、滋味ではあるがアジのある演奏を繰り広げているといえる。
【推奨盤】

フェドル・グルシチェンコ/BBCフィルハーモニック[1993年8月録音]
【CHANDOS:CHAN 9321(輸)】