ドヴォルザークの交響曲といえば第8番と第9番であるが、この第7番も侮れない魅力に溢れた作品である。ブラームスの交響曲第3番を聞いた後に書かれたといわれており、全体的に重厚な趣ではあるものの、それまでに書いた6つの交響曲に聞けるボヘミア色はそんなに色濃くはない。ここで紹介するジュリーニの録音で聞くと、そのブラームスから受けた影響は明晰に表出してくる。特にを悲劇的な雰囲気に包まれた第1楽章と第4楽章では、「ジュリーニ節」が全快しており、どっしりと構えた演奏は安定感に満ちている。叙情的な第2楽章は、ゆったりとした自然美を感じさせてくれるもの。第3楽章はドヴォルザークお得意の民族色が強く、少し陰気臭い空気も魅力的である。

ジュリーニの演奏は、往々にして堅牢、重厚な音楽になりがちではあるが、この7番の交響曲ではうまく態に収まっている。ジュリーニの魅力を最大限に体験できるであろう一曲である。



【推奨盤】

乾日出雄の揺蕩うクラシック音楽の臥床


カルマ・マリア・ジュリーニ/ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団[1993年2月録音]

【SC:SICC 238】