短調から始まる半音階を多用したイントロがなんともエキゾチックな雰囲気を持ったこの『神秘の伝道の貴族たち』と題されたスーザのマーチ。ハープも編成に加えられているのが特徴である。アラビア教団のために作曲されたという経緯から、その曲調には納得いくものがある。この曲を聴いて深く感じたことだが、いかなるテーマも自らの手中に収め、極上のサウンドを築き上げるスーザの凄さは、並外れている。

ここで紹介する録音は日本を代表する吹奏楽団、NEC玉川吹奏楽団の録音だ。昨今の不況下の中で、長年にわたり高水準の演奏を保ち続けていることに感服してしまう自分。ライブでの収録ではあるが、吹奏楽団ならではのライブの臨場感は独特であり、この演奏からもひしひしと伝わってくるものがある。


【推奨盤】
乾日出雄とクラシック音楽の臥床

稲垣征夫/NEC玉川吹奏楽団[2000年5月録音]

【CAFUA:CACG-0101】