ベルギー生まれだが、フランスで活躍していたセザール・フランクの代表作を紹介しようと思う。
古今のヴァイオリン・ソナタの名曲の数々の中でも、真っ先に名前が挙がるのがフランクのソナタである。
フランクお得意の循環形式で書かれており、ヴァイオリンとピアノが対等な立場で音楽が進行するソナタといえる。19世紀の最高傑作を、今日はシャハムとオピッツで聴いてもらいたい。
録音当時18歳だったシャハムのアグレッシブな音楽作りはここでも健在。流麗な語り口で聴かせる第3楽章の美しさは、際立っているといえる。名曲に正面から真摯に立ち向かうその姿勢は、大物への予感を感じられる演奏といえ、その後のシャハムの音楽的成長は言わずもがなである。ピアノのオピッツの演奏も美しく、安心して聞くことができるオーソドックスな名盤といえる。
【推奨盤】
ギル・シャハム(Vn)/ゲルハルト・オピッツ(Pf)[1989年6月録音]
【DG:POCG-4123】