自分がまだ中学生の頃、リヒャルト・シュトラウスの『ツァラトゥストラはかく語りき』に興味を持って一枚のCDを買った。カラヤンが指揮するベルリン・フィルの録音で、いわずと知れた名盤だ。『ツァラ』を聞き終え、ホッとした瞬間、間髪入れずに次の曲が大音量でスピーカーから流れ始め、度肝を抜かれた。その瞬間からクラシックの虜になってしまった自分である。それがリヒャルトの『ドン・ファン』である。
このカラヤンの煌びやかな弦楽器のイントロから一気に高揚し炸裂する、音の洪水のように押し寄せるリヒャルトのサウンド、カラヤンだからこそのクオリティで体感できるこの録音は、初心に帰りたいときにいつも無意識のうちに手に取ってしまう。最近はそんな日が続いている自分である。
ヘルベルト・フォン・カラヤン/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団[1983年録音]
【DG:POCG-7071】